新規公開株を購入することを狙う「IPO投資」。公開・上場直後に大きく値上がりすることが期待できるため、多くの人が挑戦する投資法だ。しかし「なかなか当たらない」という話も聞いたことがあるだろう。なぜIPOで当選できる人は少ないのだろうか。

この記事では、IPOに当たらない理由や当選確率を上げる方法がないかを考察していく。「IPOにチャレンジしたい」「今までチャレンジしてきたが当選したことがない」という人は、参考にして欲しい。

目次

  1. IPOに当たらないのはなぜ?
    1. IPOの当選確率は1~2%
    2. 抽選方法が全員に平等ではない証券会社を利用している
    3. 開設口座数が多い証券口座を利用している
    4. 主幹事が少ない証券口座で応募している
  2. IPOに当選するためのポイント
    1. ポイント1 ネット証券
    2. ポイント2 IPOに当選するため口座はたくさんつくる
    3. ポイント3 平等抽選式で取扱数の多い証券会社を組み合わせる
    4. ポイント4 主幹事証券会社から申し込む
    5. ポイント5 あきらめない
  3. IPOにおすすめのネット証券会社
    1. ほぼ100%平等抽選のマネックス
    2. 平等抽選で幹事数が多いSMBC日興
    3. 幹事が多いSBI
  4. IPOは当たらないことがほとんど!あきらめずに申し込みは続けよう!

IPOに当たらないのはなぜ?

IPO,当選確率
(画像=PIXTA)

まずIPOの当選確率や、なかなかIPOに当たらない理由にはどのようなものがあるのかを確認してみよう。

IPOの当選確率は1~2%

IPOは、上場直後に公開価格よりも大きく値上がりすることが多い。例えば2020年12月に上場したヘッドウォータス<4011>は、公募価格が2,400円だったが初値は2万8,560円をつけ、なんと初値騰落率が+1,090%となった。このようにIPO株は上場初日に大きな値上がり益を得られる可能性も高いため、多くの投資家が狙っているといわれている。

一説によると当選確率は1~2%ほどともいわれる。人気が高いゆえに当選が非常に難しいのだ。

抽選方法が全員に平等ではない証券会社を利用している

人気が高いこと以外にもIPOに当たらない理由はある。それは、抽選方法が平等でない証券会社があるためだ。まずは、簡単にIPOの流れを確認しておこう。

IPOの流れ
  1. 東証や証券会社のホームページで株式の上場情報が公示される
  2. 新規上場株式のブックビルディングを取扱証券会社(幹事証券会社)に行う。その際、買付余力の確認される場合もあり
  3. 証券会社で抽選を行い当選者には連絡が行く(証券会社によって異なる)
  4. 当選者は購入意思を表示、預かり残高から代金が引かれる
  5. 上場。売却も可能に。

証券会社によって若干の違いはあるが、おおよそ上記のような流れでIPOは行われる。IPOは人気があるため、ほとんどの場合で抽選が行われるが、その際の抽選が平等でない証券会社もあることは覚えておいたほうがいいだろう。抽選が平等でない例には以下のようなものがある。

・過去の取引実績に応じてステージ分けを行うケース

ステージが高い=「取引が多い顧客」から抽選を行っていく。余ったら取引が少ない顧客で抽選を行う。

・預かり資産に応じてIPO当選確率が変動するケース

証券会社によっては、預かり資産の多い顧客向けにIPO抽選の優遇特典を設けているところもある。当然預かり資産が多いほうが当選しやすく資産が少ない人の当選確率は下がる仕組みだ。このような証券会社でIPO申し込みを行った場合、取引状況によっては抽選に当たる可能性は非常に低いといえる。

開設口座数が多い証券口座を利用している

IPO抽選の優遇特典がない証券会社の場合は、平等に抽選されるが、注意点もある。それは、申込数が多すぎて抽選倍率が高くなることだ。特に口座数が多い証券会社は、それだけIPO申込者も多くなることが予想される。

なかなか抽選に当たらない場合は、申し込む証券会社を見直してみるとよいかもしれない。

主幹事が少ない証券口座で応募している

IPOを取り扱うのは、幹事証券会社のみである。そのため申し込む際は、対象のIPO銘柄の幹事証券会社となっているか確認したほうが良いだろう。特に主幹事となる回数が多い証券会社には要注目だ。なぜならIPOでは、主幹事証券会社に割り当てられる株数が非常に多くなる傾向にあるからだ。ある企業の例では、主幹事証券会社に新規発行株式の約87%が割り当てられ、残り13%を幹事証券会社6社で分け合っている。

最も少ない会社には0.4%しか割り当てられていないのだ。「IPOに当たらない」と悩んでいる場合は、申し込んでいる証券会社が主幹事かどうか、そして主幹事でない場合は割り当て株数まで確認してみよう。

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IPOに当選するためのポイント

ここでIPOに当選するための5つのポイントを紹介する。

IPOに当選するための5つのポイント
  • ネット証券
  • IPOに当選するため口座はたくさんつくる
  • 平等抽選式で取扱数の多い証券会社を組み合わせる
  • 主幹事証券会社から申し込む
  • あきらめない

ポイント1 ネット証券

IPOは、従来の店舗型証券会社だけでなく、ネット証券会社でも取り扱っている。なおネット証券では預かり資産の多寡での抽選優遇特典がない「平等抽選」を売りにしているところも多い。これからIPOに参加したいと考えるのならばぜひネット証券からの申し込みを検討しよう。

ポイント2 IPOに当選するため口座はたくさんつくる

IPOは、1つの証券会社で複数単元(100株単位の株式であれば500株など)申し込めることが多い。しかし抽選権に関しては何単元申し込んだとしても一人1回となっている。抽選権を増やすためには、複数の証券会社で口座をつくりIPO申し込みを数多く行うという方法もある。ただし、重複できない証券会社もあるので注意しよう。

ポイント3 平等抽選式で取扱数の多い証券会社を組み合わせる

資産が少ない状態でIPOを申し込む場合は、預かり資産による抽選の優遇特典を付けていない証券会社を選ぶほうが当たりやすいだろう。平等に抽選を行っているかどうかは、証券会社のホームページに掲載されているため、ぜひ参考にして欲しい。またIPOの取り扱いが多い証券会社で申し込むことも当選確率を上げるためには大切だ。

どの証券会社が幹事になっているのかは、東証のホームページなどで確認できる。証券会社ホームページでも自社のIPO銘柄を紹介しているので確認してみよう。

ポイント4 主幹事証券会社から申し込む

IPOは、幹事証券会社でのみ取り扱っている。その中でも主幹事証券会社への株数の割り当てはIPO発行株数の過半数を超えるほど多くなる傾向だ。そのため当選確率を上げるためには、主幹事証券会社で申し込むのがよいだろう。

証券会社によっては、今までのIPOでの主幹事・幹事数を公開しているところもあるため、過去の実績もチェックすることをおすすめしたい。

ポイント5 あきらめない

IPO関連の情報サイトや個人のブログ・SNSなどでは「IPOに外れた」「当たったことがない」という言葉が並んでいる。それらを見ると「当選は難しそうだから申し込みはやめよう」という気になるかもしれない。しかし申し込みをしなければ絶対に当選することはない。複数の証券会社で申し込むなどあきらめずに何度でも申し込んでみよう。

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IPOを申し込むならば抽選が平等に行われる証券会社を選ぶとよい。抽選が平等に行われることが多いのはネット証券だ。ネット証券には、取引だけでなく口座開設もネット上で行えるというメリットがある。これから証券会社を選ぶ場合は、ぜひネット証券会社を中心に考えてみよう。

ほぼ100%平等抽選のマネックス

マネックス証券は、IPO抽選がほぼ100%平等に行われる。預かり資産や取引状況により抽選結果に差が出るわけではないため、「これから投資を始めてIPOにも参加したい」と考える人にもおすすめの証券会社だ。100%平等抽選以外にもマネックス証券では、以下の点をアピールポイントとしている

・IPO引受実績件数が全証券会社でトップ5。
(2018年度実績)2020年は50件の取り扱い実績あり
・マネックス証券で扱うIPO情報はメールで連絡されるので申し込み忘れを防止できる
・NISA口座でもIPOの申し込みができるため、売却益に税金がかからず非常にお得

積極的にIPOに申し込みたい投資家にとってマネックス証券のIPO情報のメール連絡は、非常に便利なのではないだろうか。またNISA口座でもIPOに参加できるため、非課税投資も可能となる。

平等抽選で幹事数が多いSMBC日興

従来からの店舗型証券会社であるSMBC日興証券だがIPOを申し込みたいのならばぜひチェックしておきたい会社である。なぜならIPO幹事数が多いからだ。例えば2021年5~6月のIPOだけで10以上もの銘柄を扱っている。なるべく多くのIPO申し込みをしたいのならば見逃せない証券会社だ。なお抽選は15%を目処に配分され10%を目処として同一条件、同一確率の同率抽選が行われる

あとは、最大5%を目処としたステージ別抽選だ。ステージ別抽選のステージは、預かり資産や信用取引建玉金額で決定し預かり資産が多いほど抽選優遇がある。またステージ別抽選の対象は、ネットで取引を行う「ダイレクトコース」限定。店舗の担当者を通じて取引を行う顧客は対象外となるため注意したい。

幹事が多いSBI

「IPOに参加したいができればネットのみで取引できる証券会社がいい」という投資家におすすめしたいのがSBI証券だ。SBI証券のIPOの最大のメリットは、IPO銘柄取扱数の多さ。2020年3月期で92社、2021年3月期で86社の幹事証券会社となっている。ちなみにSBI証券のIPOのメリットは取扱数だけでない。「IPOチャレンジポイント」という制度を導入している点もチェックしておきたいところである。

「IPOチャレンジポイント」では、IPO抽選・配分に外れる回数ごとにポイントが貯まる仕組み。IPOチャレンジポイントは、次回以降のIPO申し込みに利用できIPO当選チャンスが上がる。IPOの抽選に外れてもポイントが貯まり次回以降の抽選に活かすことができるため、あきらめずに積極的に申し込みたいという投資家のニーズにかなっている。

またSBI証券のIPO銘柄もNISA口座で買い付けることが可能だ。売却しても利益が非課税となるところは大きなメリットといえる。

IPOは当たらないことがほとんど!あきらめずに申し込みは続けよう!

IPOの株式は、初値で高値を付けることが多く、大きな利益を狙う投資家から人気を集めている。ただしIPOの当選確率は1~2%程度といわれるように当選は非常に難しい。もしこれからIPOにチャレンジしたい場合は、以下の5つを心がけてみよう。

5つの心がけ
  • 平等に抽選する証券会社で申し込む
  • できれば主幹事証券会社で申し込む
  • IPO取扱数が多い証券会社で申し込む
  • 複数の証券会社で申し込む
  • 数回の落選であきらめずに申し込み続ける

「抽選が平等に行われているか」「預かり資産額などで優遇特典を付けているか」などは、各証券会社のホームページで明示されている。今後、証券口座の開設を検討する場合は、これらの情報も加味したうえで利用する証券会社を選ぶとよいだろう。