きんざいOnline
(画像=PIXTA)

1カ月以上ゼロが続いた米国レストランの利用状況

(オープンテーブル「レストラン利用状況」ほか)

オールニッポン・アセットマネジメント 金融商品部 次長 / 坂根 学
週刊金融財政事情 2021年6月15日号

 レストランのオンライン予約サービス企業「オープンテーブル」は、昨年5月下旬から各国のレストランの利用状況を公表している。先週の本欄で紹介したアップルの「人々の移動量データ」と同様、世界各国の保健当局が外出自粛要請の効果を検証する取り組みを支援するためだ。

 オープンテーブルのデータは、欧米を中心に世界約6万軒のレストランについて、「オンライン予約」「電話予約」「予約なしの立ち寄り」を集計したものである。2019年の同じ曜日の数字に対する変化率を20年2月分から毎日、2日遅れでウェブサイトにアップしている。データの速報性に加え、同じ曜日との比較データという精緻さから、新聞記事等で目にしたことがある方も多いのではないだろうか。世界7カ国・60州・60都市を対象としたもので、残念ながら日本の情報は含まれていない。

 レストラン業界も、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛や移動制限の影響を大きく受けた。オープンテーブルのデータによると、米国全土では昨年3月下旬にかけてレストランの利用者がほぼゼロ(=前年比マイナス100%)まで激減した(図表)。先週の本欄のとおり、これとほぼ同じ時期には、アップルが計測している自動車の運転者と歩行者の移動量が前年比マイナス60%、公共交通機関の利用者の移動量が同マイナス80%程度まで激減しており、レストランはおろか街中を出歩く人すらまばらな状況であったことがうかがえる。

 これまで本欄で触れたとおり、米連邦準備制度理事会(FRB)による無制限の量的金融緩和政策が発表された20年3月23日をボトムに米国株式市場は反転上昇を始めた。「商用航空機の前年比の減便幅」「人々の移動量の前週比」も、このタイミングで悪化の勢いが和らぎ始めた様子がうかがえた。

 しかし、米国レストランの利用状況は株価のように反転とはならなかった。オープンテーブルが公表するレストランの利用状況データの週次変化は20年3月18日にボトムを付けたが、これは利用者がゼロに近づいたためである。その後、ほぼゼロに達してから、その状態が1カ月以上にわたって続いた。21年に入ってからも米国のレストラン利用状況は19年対比マイナス50~60%の水準が続いた。足元では、ワクチン接種の広がりなどに伴う経済の正常化の進展により、足元では同マイナス8%程度まで回復してきている。

1カ月以上ゼロが続いた米国レストランの利用状況
(画像=きんざいOnline)

(提供:きんざいOnlineより)