財務省は、世界各国が議論を活発化させているデジタル通貨(CBDCを含むステーブルコインや暗号資産)への取り組みを本格化させるため、体制を強化する検討に入った。16日、ロイターが報道した。

財務省、デジタル通貨部門の人員体制を強化
(画像=月刊暗号資産)

財務省は、通貨を管理する同省の理財局国庫課の人員を拡充することを念頭に入れ、近く正式に予算を要求するという。

ロイターによると、複数の政府関係者の話として、財務省と金融庁は日銀が今春設置した「デジタル通貨に関する連絡協議会」に参加したことが判明。またデジタル通貨の開発・発行に関して全国の銀行協会などの関連団体とも協議を重ね、専門の担当官を新たに増員する必要性があると判断した模様だ。

金融庁では庁内の市場企画局に「デジタル・分散型金融企画室」を8日付で新設した。新たなポストを作ることでデジタル通貨に関する協議を加速化させる。

ロイターの取材によると、金融庁の関係者は「新たなポストを新設したのは事実だが、何を議論していくかは現時点で決まっていない」と述べたという。

なお、ロイターによるとこの件について財務省からコメントは得られていないという。

日銀は今年4月、CBDCの実証実験を開始した。当時は「現時点でデジタル通貨を発行する予定はない」と言及したものの、技術的に実現可能かを検証する「概念実証フェーズ1」と称している実証実験を始めることを発表した。

2022年3月まで、約1年をかけて行われるフェーズ1では、CBDCのシステム的な実験環境を構築し、決済手段としての中央銀行デジタル通貨の中核機能である「発行」「送金」「還収」等に関する検証を行うことを明かした。

日銀では実験が順調に進んだ場合、フェーズ1で構築された周辺機能を検証する「概念実証フェーズ2」を経て、民間事業者や消費者が実地に参加する形での「パイロット実験」の実施も検討する予定だ。

今回、財務省や金融庁のデジタル通貨部門の人員体制を強化することで、実証実験に弾みをつけたい模様だ。(提供:月刊暗号資産