経済再開相場で日本は出遅れ修正、日経平均は3万3,000円へ 供給大幅増で原油価格は反落へ コロナ禍でも堅調な大学生の就職・採用環境
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経済再開相場で日本は出遅れ修正、日経平均は3万3,000円へ

大和証券 チーフ・グローバル・ストラテジスト / 壁谷 洋和
週刊金融財政事情 2021年7月27日号

 新型コロナのワクチン普及により、世界は経済再開を本格化させつつある。欧米では、人々の行動制限が解除されるケースが散見され、今夏以降の経済活動の活発化に期待が高まる。こうした動きを背景に、6月以降の欧米株式市場では、株価が堅調な推移をたどった。米国では直近で主要株価指数が最高値を更新し、欧州でもドイツDAX株価指数が最高値を塗り替えた。

 世界のリスク資産投資に影響を与える米連邦準備制度理事会(FRB)は、金融正常化に向けた重要なステップに差し掛かっている。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、2023年におけるゼロ金利政策の解除と、同年に2回分の利上げを想定する見通し(中央値ベース)が新たに示された。また、FOMC後の記者会見で、FRBのパウエル議長が、量的緩和の縮小(テーパリング)に関する予備的議論が始まったことを明らかにした。市場では、ややタカ派的内容と受け止められ、その後のFRB高官による利上げの前倒しを示唆する発言なども相まって、相場が動揺する場面もあった。

 足元は、FRBの早期の緩和縮小がコンセンサスではないという認識が広がり、相場が再び落ち着きを取り戻している。FRBが緩和縮小に慎重なスタンスを維持することで、経済再開を背景とした相場回復が今夏にもう一段進展する可能性もある。

 ただ、慎重とはいえ、6月FOMCの結果を踏まえると、FRBが年末までにテーパリングの開始を決定する可能性が高そうだ。そこで、前回のテーパリング開始時を参考に、当時の米国株のパフォーマンスを振り返ってみたい。

 前回のテーパリングは13年12月のFOMCで決定され、14年1月からスタート、同年10月に終了した。グロース株の代表格としてのハイテク(情報技術)株、バリュー(景気敏感)株の代表格としての金融・資本財株のテーパリング開始前後の株価は、後者優位であったことが確認できる(図表)。金融政策が引き締めに転じるほどの景気回復局面では、素直に景気敏感業種が選好されたことが、当時の様子からうかがえる。

 前回の経験を踏まえれば、再び景気敏感株が人気化するシナリオが十分あり得る。そのため、景気敏感株の割合が高い日本株が優位性を発揮する可能性がある。加えて、ワクチン接種が進みつつある日本も、いずれは欧米市場と同様、「経済再開相場」に行き着くと考えられる。年後半は日本株の出遅れ修正の動きに注目しており、年末までに日経平均株価で3万3,000円、TOPIXで2,250ポイントに達するとみている。

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(提供:きんざいOnlineより)