本記事は、はっしゃん氏の著書『普通の会社員でも10万円から始められる! はっしゃん式 成長株集中投資で3億円』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています

業績から理論株価を計算しよう

成長株
(画像=Graphs/PIXTA)

ここまで、四季報や月次情報、決算書で過去の業績を確認することができました。

しかし投資判断にあたっては、将来の株価を予想しなくてはいけません。そこで役立つのが理論株価です。

●理論株価が目安になる

理論株価は、利益や資本効率といった企業価値をもとにした「本来あるべき株価」です。短期的には需給に影響される株価も、長期的には適性水準である理論株価へと収斂します。

本書では、成長株が10倍になるまで持ち続けることをおすすめしています。しかし2倍、5倍、10倍と上昇し続ける成長株を、なんの目安もなく長期的に持ち続けることは難しいもの。ある程度株価が上昇すると、「このあたりで利確をしよう」という誘惑にかられます。

そこで理論株価があると、成長株の保有判断を行う目安になります。

理論株価によって企業価値がわかっていれば、「まだ伸びそうだから保有を続けよう」といった長期目線の判断もできるようになるはずです。また、業績が振るわないときは理論株価も下落します。利確や損切りの決断をバックアップしてくれるでしょう。

成長株をテンバガーまで長期保有するうえで、理論株価がその道しるべになってくれるのです。ぜひ、理論株価を上手に活用してください。

●はっしゃん式理論株価

さて、さまざまなメディアや証券会社が理論株価を出していますが、これからご紹介するのは「はっしゃん式理論株価」(以下、「理論株価」)。企業の収益性や効率性にウェイトを置いて算出した、はっしゃん独自の理論株価です。

この理論株価は、資産への評価を示す「資産価値」に、業績への評価を示す「事業価値」を加える計算式で求めます。

資産価値=BPS×割引率
事業価値=EPS×ROA×150×財務レバレッジ補正
理論株価=(資産価値+事業価値)×リスク評価率

複雑なので細かい説明は割愛しますが、この式はEPS、BPS、ROAといった投資指標と時価総額との相関度を全銘柄で統計分析・検証して導き出したものです。

統計を根拠とした理論株価は、根拠のない期待による人気過剰や、需給の歪みによる不当評価を含まない妥当な株価です。そのため、より真の企業価値に近い株価であると言えます。「計算が大変そう」と思われたかもしれませんが、ご安心ください。理論株価を簡単に調べる便利ツールを後ほどご紹介します。(本書内容にて紹介あり)

3-1
(画像=『普通の会社員でも10万円から始められる! はっしゃん式 成長株集中投資で3億円』より)

●株価と理論株価の関係

図4-2は、ニトリの株価と理論株価の推移を示したものです。5年ぶんの理論株価は、四半期ごとに「理論株価電卓」(後述)で算出しました。

3-2
(画像=『普通の会社員でも10万円から始められる! はっしゃん式 成長株集中投資で3億円』より)

これを見ると、ニトリの場合は理論株価と実際の株価が見事に連動しているのがよくわかります。市場から妥当な評価を受け続けている銘柄だと言えるでしょう。

この図には、「理論上限株価」と「資産価値」の推移も載せています。

理論株価は基本的に資産価値と事業価値を合算したものですが、ここで事業価値を2倍にしたものが理論上限株価になります。人気の銘柄では、このラインをはるかに突き抜けて上昇していることも少なくありません。

しかし理論上限株価を超えていると、上がりすぎていることも少なくありません。理論上限株価を上回ったあとに下がり始めたら、売りのタイミングである可能性があります。

また、理論株価の算出で用いた資産価値は解散価値となるBPS(詳しくは後述)に基づいており、成長倒れになったとき、株価は資産価値のラインまで下がるリスクがあります。もし株価が資産価値を下回った場合は評価が低すぎるため、倒産リスクに注意が必要です。

図4-3は、ペッパーフードの推移です。

3-3
(画像=『普通の会社員でも10万円から始められる! はっしゃん式 成長株集中投資で3億円』より)

月次情報で見たように、2016年暮れ以降は右肩上がりの急成長期。先行期待もあり、株価は理論上限株価を超えて上昇しています。しかし、業績が赤字になると事業価値がゼロになり、理論株価は急落します。実際の株価も徐々に理論株価に収斂し、ほぼ資産価値のラインまで下がってきました。

理論株価のポイントは、「連動性」、つまり実際の株価と理論株価が連動して右肩上がりで上昇しているかどうかです。株価のみが異様に伸びているときは、業績の裏付けがない、下落リスクのある銘柄かもしれません。ペッパーフードのように、成長倒れを起こす可能性があります。

このように、理論株価と実際の株価の動きを比較すると投資判断の目安になります。

普通の会社員でも10万円から始められる! はっしゃん式 成長株集中投資で3億円
はっしゃん
エンジニア投資家。持株会をきっかけに株式投資を始め、30代のうちに月次情報投資で資産1億円を達成。3億円達成を機にサラリーマンを退職し、独立起業。リーマンショックや東日本大震災で資産を減らすこともあったが、そのたびに理論株価・決算分析・四季報速読といったユニークな投資法を生み出す。Twitterフォロワー数3.5万人。手がけたブログや「成長株Watch」「月次Web」「理論株価Web」といった監修サイトは、数多くの個人投資家から愛用されている。近年は、投資家Vtuberとしても活躍の場を広げている。

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