お金と幸せの相関性は様々な場面で論じられている。そのなかには、「庶民的な年収や資産額を超えると、幸せは頭打ちする」という論調のものもある。お金という定量的な指標と、幸せという極めて定性的な指標を比べているのだから、様々な意見が出て当然だろう。今回は、そんな「お金と幸せの相関性」について考えてみよう。

お金持ち,幸せ
(画像=タカス/PIXTA)

内閣府でも幸福感を測る調査が行われている

近年、国際連合や OECD といった国際機関において、幸福度指標を測る試みが実践されている。日本でも2017年骨太方針にて「人々の幸福感・効用など、社会のゆたかさや生活の質(QOL)を表す指標群の作成に向け検討を行い、政策立案への活用を目指す」とされ、2018年骨太方針でも「国民の満足度、生活の質が向上されるよう、満足度・生活の質を示す指標群を構築するとともに、各分野のKPIに関連する指標を盛り込む」とされた。

これらを受け、内閣府でも幸福感を測る調査が行われている。それが令和元年5月24日に発表された【「満足度・生活の質に関する調査」に関する第1次報告書】だ。生活満足度について、1万人を対象にWEB調査を実施したという。

このなかに、「世帯年収と満足度」「世帯金融資産残高と満足度」の調査結果もある。まずは結果を確認していこう。なお、調査は「現在の生活にどの程度満足しているか」について、0 点から 10 点の 11段階で満足の度合を質問し、「全く満足していない」を 0 点、「非常に満足している」を 10 点として実施している。

世帯年収と満足度の関係

「世帯年収と満足度」の結果は以下の通りだ。世帯年収が「100万円未満」から「2,000万円以上~3,000万円未満」までは綺麗に満足度(総合主観満足度)と世帯年収が相関するが、世帯年収3,000万円以上からはゆるやかに逓減する。

コラム1
(画像=内閣府【「満足度・生活の質に関する調査」に関する第1次報告書】より引用)

このデータだけを見れば、「世帯年収3,000万円までは、世帯年収が上がれば上がるほど幸せになる」ということになる。ほとんどの人は世帯年収3,000万円以下であるため、世帯年収3,000万円以上からはゆるやかに逓減することは、一旦は無視して良いだろう。

ラフな結論として、「世帯年収が上がれば上がるほど幸せになる」ということが言える。前述のように、お金と幸せの相関性は様々な場面で論じられているが、「庶民的な金額を超えると、幸せは頭打ちする」という論調とは異なる結果になっている。

世帯金融資産残高と満足度の関係

それでは、「世帯金融資産残高と満足度」はどうだろうか。