本記事は、和島英樹氏の著書『1万円からはじめる 勝ち組銘柄投資』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています

分ける
(画像=YesPhotographers/PIXTA)

一度に買わない。分けて買う

株は買った途端に下がると気分が悪くなり、いきなり出鼻をくじかれた気分になります。

しかし、買った後にすぐ下がってしまい含み損を抱えてしまった、という経験は、株式投資をしたことのある人なら誰でも一度は味わっているはずです。その悔しさを味わわずに済む方法はないものでしょうか。

一番現実的な解決方法としては、一度に買わないことです

たとえば今、手元に100万円があって、それを株式に投資しようとしているとしましょう。株価は株500円です。したがって、その資金を全額投資したとすると、合計で2000株を保有できることになります。

でも、2000株に投資できるだけの資金力があったとしても、一度に投資しないほうが良いでしょう。理由は、前述したように買った直後に株価が下げる恐れもあるからです。

もし、1株500円で2000株を買った後、マーケットが大きく崩れ、450円まで株価が急落したとしましょう。銘柄によっては1日の取引時間中に、株価が10%くらい下げることもあります。で、株価が450円になったとしたら、それを2000株持っているわけですから、評価額は90万円です。あっという間に10万円の含み損を抱えたことになります。気分、悪いですよね。

では、仮に4回に分けて買ったとしましょう。それぞれの株価は次のようになります。

1回目=500円
2回目=450円
3回目=460円
4回目=420円

100万円を4回に分けて投資するわけですから、1回の投資金額は25万円です。端数が出ますが、買えるだけの株数を買うことにします。ちなみにこの銘柄の1単元株数は100株です。

そうなると、それぞれの回で投資できる株数は次のようになります。

1回目=500株(投資金額:25万円)
2回目=500株(投資金額:22万5000円)
3回目=500株(投資金額:23万円)
4回目=500株(投資金額:21万円)

ということで、投資金額の関係で1単元を買うには端数が生じるため、現金が余ることになります。4回分の投資金額の総額は91万5000円なので、8万5000円がキャッシュとして残ります。もし、4回目の投資が終わった後、株価が500円に戻ったとしたら、170株を買うことができます。ここでは単元株投資を前提にしているので、実際に投資できる株数は100株です。この100株も含めると、5回の買付で購入できた株数は、全部で2100株になります。つまり一度に投資したときに比べて100株も多く投資できるのです。

実は、この100株が結構効いてきます。前述したように、もし株価が1株あたり500円に戻ったとしたら、2100株の評価額は105万円になります。プラス5万円です。

でも、株あたり500円で一括投資した場合は、株価が420円まで下がった時点で評価額が84万円まで目減りして万円の評価損を抱えた後、じっと我慢して100万円に戻っただけです。

これはあくまで一例です。最初に100株を購入し、その後順調に株価が上昇した場合はどうでしょう。500円で100株買ったら、株価が600円に上昇した。売りを考える投資家が多い気がしますが、あなたが有望だと思った企業の株価がその通りに上昇したのは、見立てがあっていたという証拠でもあります。そこで、600円で100株を追加購入した場合、買いの単価は550円(500+600÷)となります。時価よりも50円分の含み益になるなら、追加購入も考えるべきところかもしれません。

これが、中長期で投資する際の思考とも言えます。もちろん、上昇した時点で残りの資金はまた、別の銘柄に資金を振り向けるという選択肢もあるでしょう。

このように、タイミングをずらして投資することを「時間分散」と言います。もちろん、それが常に上手く行くという保証はありませんが、株価が常に上下するものだという前提を考えれば、特に株価が下げたときの「心とお金のリスクヘッジ」という意味で、やはり複数回に分けて投資したほうが良いと思うのです。

●利益確定も分けて行っていい

逆に、利益確定するときはどうでしょうか。

一度に売却して納得し、次の銘柄を探しに行くというのもいいです。一方、買いのときと同様に、何回かに分けて売るという方法もあります。自分の研究の成果が出て売るのですが、仮に4回に分けて400株購入したのなら、まず100株を売ってみるというのは精神的にも良いと思います。まず、一部だけでも利益を確定すれば、残りはそんなに急がなくてもという余裕が生まれるので、焦らずに売り時を探せるかもしれません。売るときにも時間分散していくのもいいかもしれません。

私の知り合いの資産家は、保有していた株を売る際に、最後の単位株だけを残すという手法を継続しています。たとえば100株ずつ4回に分けて買い、その平均買付株価が500円だとします。買付に要する金額は20万円です。そして、株価が1000円に値上がりした時点で利益確定売りをする際、100株だけ残して300株を売ります。すると売却金額は30万円なので、残した100株はコストゼロで買ったようなものです。こういう状況を「恩株」といい、これを蓄積していくのです。

もう価格を気にしなくてよいのですが、気が付くと含み益がさらに増えているのだそうです。この余裕が、資産家の資産をさらに増やしていくのだと思いました。

1万円からはじめる 勝ち組銘柄投資
和島英樹(わじま・ひでき)
経済ジャーナリスト。1985年、日本勧業角丸証券(現みずほ証券)に入社。1988年、株式新聞社(現モーニングスター)に入社。企業へのトップインタビューやマーケット取材などを担当。2000年にラジオNIKKEIに入社。東証記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。35年間でのべ2000社を取材。2020年6月に独立。現在のレギュラー番組は「マーケットプレス」(ラジオNIKKEI)、「攻めのIR」(日経CNBC)、「ストックボイス」(MXテレビ)、「和島英樹のウィークエンド株!」(有料コンテンツ)。会社四季報オンライン(東洋経済新報社)、週刊エコノミスト(毎日新聞出版)、日経マネー(日経BP)、株探などへの寄稿多数。国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)、日本テクニカルアナリスト協会評議委員としても活躍している。

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