本記事は、和島英樹氏の著書『1万円からはじめる 勝ち組銘柄投資』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています

株価のパターンを見極めるテクニカル分析

テクニカル分析
(画像=Graphs/PIXTA)

本記事では、ファンダメンタルズ分析とは対を成す、テクニカル分析を解説します。

テクニカル分析は、「価格にすべての要素が織り込まれている」と考えることを起点にしています。つまり企業業績も財務状況も、あるいは景気や物価などのマクロ経済環境もすべて価格に織り込まれ、現在の株価が形成されていると考えるのです。そのため、株価の値動きを分析することによって、将来予測は可能だとするものです。

両者は、対を成す概念だけあって、投資家の間ではテクニカル分析派とファンダメンタルズ分析派に二分され、お互いに自分たちの正当性を主張しています。テクニカル派はファンダメンタルズ派のことを、「悠長に企業分析などをやっているうちに株価が動いてしまう」などと言って受け入れようとしませんし、ファンダメンタルズ派はテクニカル派に対して「テクニカル分析など単なるオカルトだ」などと言う方もいるようです。この論争は、昨日今日に始まったようなものではなく、もうずっと昔から二手に分かれて論争を繰り返しているのですが、恐らく両者の中でも原理主義的な人たちは、お互いのことを認めることはないでしょう。

しかし、業績などのファンダメンタルズを見ずに株を買うのは、無謀ですし、株価の位置を確認しないで買うのもリスクが高いです

投資の勝率を上げるのに一番大事なのは、たくさんの知識を持つことですので、これは二者択一の問題ではなく、両方とも自分の知識として入れておくべきでしょう

こんな話もあります。米国の大手運用会社で、そこはファンダメンタルズ分析を用いたボトムアップアプローチで知られているのですが、その会社には「チャートルーム」があるそうです。どれだけゴリゴリのファンダメンタルズ派の運用会社でも、投資判断を下す際にはテクニカル分析も併せてチェックするという事例のひとつです。

テクニカル分析は大きなうねりを見る

テクニカル分析はチャート(罫線)といって、価格の推移をグラフで示したものです。「ローソク足」といって、始値、高値、安値、終値というつの価格(四本値)を本の線で表示する罫線が主に用いられています。

まずは、ローソク足の見方から説明していきましょう。

ローソク足とは、実体とヒゲから成っています。基本的に縦に長い長方形の部分を実体と言い、その上下に出ている線の部分をヒゲと言います。

そして、実体部分は白と黒の色があります。とはいえ最近はパソコンやスマホのモニターにカラー表示されるため、必ずしも白と黒とは限りませんが、本書では白と黒で説明していきます。

白を「陽線」といって、始値よりも終値が高かったときは、陽線で表示されます。逆に、始値よりも終値が安かったときは、黒の「陰線」で表示されます。

そして陽線の場合は始値よりも終値が高いので、実体部分の上辺が終値、下辺が始値になります。そして陰線の場合は始値よりも終値が安くなるため、実体部分の上辺が始値で、下辺が終値になります。

以上がローソク足の基本中の基本です。これはチャートを見るときに必要になる知識なので、頭に叩き込んでしまいましょう。

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(画像=『1万円からはじめる 勝ち組銘柄投資』より)

次に日足や週足という時間軸を見ていきましょう。

日足は1日の取引時間中の値動きを示したものです。つまり1本のローソク足で1日の株価の値動きを示します。

これが週足になると、ローソク足1本で1週間での価格の四本値を示します。他にも月足や年足があります。

逆に、短い足もあります。1分足は1分間における始値、高値、安値、終値を1本のローソク足で表示したものですし、他にも5分足や30分足など、時間軸は無限といっていいほどあります。

正直、どれをどう見れば良いのかわからないという方は多いと思います。基本的には、自分が株式に投資する際の時間軸によって、足の長さを変えていく必要があるのですが、テクニカル分析に慣れていない初心者の方がローソク足を見る場合は、「週足」を見るのが一番良いと思います。

週足とは1週間の値動きをひとつのローソク足で表したもの。祝日のない1週間であれば、月曜日の株式市場が開いたときに付いた株価が「始値」になり、金曜日の株式市場が終わるときに付いた株価が「終値」、そして月曜日から金曜日の取引時間中に付いた「高値」と「安値」で四本値がつくられます。

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(画像=『1万円からはじめる 勝ち組銘柄投資』より)

そして、この週足を1年や2年程度の期間だけで見るのではなく、5年、10年といった長いタームでチャートを眺めることをお勧めします。株式を上場してから1年しか経っていない銘柄の場合は仕方がありませんが、中長期投資を前提とすれば、チャートを見る場合はまず、週足を用いてできるだけ長い時間軸で株価のリズムを掴むようにしてください

週足で過去10年くらいの株価の大きなうねりを見ると、サイクル的にここが底ではないかという見当が、何となくつくようになります。

相場環境があまり良くないものの、株価を見ると何となく底を打ちに行っている、つまり下げるだけ下げて、下げ止まって底に突き当たったかのように見えたら、次は決算をチェックしてみましょう。

第1四半期よりも第2四半期、第3四半期よりも第四半期のほうが売上、利益などの決算数字に改善の兆しが見えてきたとしたら、いよいよ業績は反転し、株価も本格的な上昇局面へと向かう可能性が高まります。

つまり株価の値動きが業績の転換点を先取りしていることになります。実際、株価は景気や業績の先行指標と言われており、一般的には半年ほど先行すると言われています。株価が上昇に転じ始めていて、かつ業績にも「底打ち感」が出始めているようなら、いよいよ株価は本格的な上昇局面に入っていく可能性が高まります。

今、チャートを見てから業績をチェックするという順序立てで話をしましたが、これは逆でも構いません。つまり業績から入って何となく業績に底打ち感が出始めているようなら、次にチャートで株価の推移を見てみてください。すでに株価は底を打ち、反転上昇の動きを見せているかも知れません。

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(画像=『1万円からはじめる 勝ち組銘柄投資』より)

このように、テクニカルで値動きを見るということは、対象が株価であったとしても、あるいは業績であったとしても、その変化の兆しを見ることにつながっているのです。

ここで、テクニカルだけ、あるいはファンダメンタルズだけで投資判断が下せるのかどうかを考えてみてください。

テクニカルだけで、いよいよ株価が底値を形成しそうだからと思って買いに行ったら、実は業績はまだまだ改善の兆しがなく、これまでの下げのリバウンドで株価がほんの少し上がっただけというケースも考えられます。この場合、業績に改善の兆しが見られないということになったら、株価が少々リバウンドしたとしても、再び急落する恐れがあります

一方、ファンダメンタルズだけを見た場合、業績が好調だから買いと思ってチャートを見たら、すでに株価は大きく値上がりしていたというケースも、よくあります。いくら業績が好調でも、それが永遠に続くことはありません。必ずどこかで業績は落ちます。それを先取りして株価は下げるので、業績が絶好調のときに投資すると、株価の天井を掴まされる恐れもあるので、現在の株価の位置を把握するためにも、やはりチャートのチェックは必要です。

そもそもチャートは「海図」を意味します。海図を持たずに大海原に乗り出せば、遭難、難破することは想像に難くありません。それは株式市場でも同じです。株価という波に乗るためには、やはりチャートが必要になるのです。

つまり、テクニカル派だからチャートしか見ない、ファンダメンタルズ派だからチャートは見ない、という話ではないのです。株式に投資して利益を得るためには、ひとつでも多くの判断材料を持っていたほうが良いわけですから、テクニカルもファンダメンタルズも、その両方を使えるようにしておくに越したことはないのです。

1万円からはじめる 勝ち組銘柄投資
和島英樹(わじま・ひでき)
経済ジャーナリスト。1985年、日本勧業角丸証券(現みずほ証券)に入社。1988年、株式新聞社(現モーニングスター)に入社。企業へのトップインタビューやマーケット取材などを担当。2000年にラジオNIKKEIに入社。東証記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。35年間でのべ2000社を取材。2020年6月に独立。現在のレギュラー番組は「マーケットプレス」(ラジオNIKKEI)、「攻めのIR」(日経CNBC)、「ストックボイス」(MXテレビ)、「和島英樹のウィークエンド株!」(有料コンテンツ)。会社四季報オンライン(東洋経済新報社)、週刊エコノミスト(毎日新聞出版)、日経マネー(日経BP)、株探などへの寄稿多数。国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)、日本テクニカルアナリスト協会評議委員としても活躍している。

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