長期投資を考えるときに重要なのは、リターンだけを追い求めるのではなく適切なリスク管理です。長い時間を掛けて積立投資をしてきたのに、その金融商品の価値が下がって資産が目減りしてしまうようでは、長年の努力が水の泡になってしまう可能性があります。

そこで注目したいのが、投資の世界で「最強指数」と呼ばれる米国の株価指数、S&P500です。「投資の神様」と称されるウォーレン・バフェット氏も自らの著書で推奨している株価指数だけに名前をご存じの方は多いのではないでしょうか。

このS&P500とはどんな指数で、なぜ最強といわれているのか。これから長期投資を始めたいとお考えの方に知っていただきたいS&P500の知識をまとめました。

最強指数と呼ばれるS&P500とは?

「最強指数」と呼ばれるS&P500とは?最強といわれる理由と具体的な投資方法
(画像=sdx15/stock.adobe.com)

S&P500とは米国の株式市場に上場している中でも主要な銘柄を集め、その株価を指数化したものです。米国の株式市場には他にもNYダウ平均株価やナスダック100指数といった株価指数がありますが、S&P500はその中でも組入れ銘柄数が500でありとても多く、他の株価指数よりも米国の株式市場の趨勢をより俯瞰的に表しやすいといわれています。

S&P500が最強指数と呼ばれる理由

S&P500が最強指数だと呼ばれている理由は、長期チャートを見ると一目瞭然です。それでは早速、S&P500の月足チャートをご覧いただきましょう。こちらは、2003年3月から2021年8月までの長期チャートです。

この約20年間にわたって、一時的な下落はあるものの右肩上がりの値動きが長らく続いていることが見て取れます。ちなみに1回目の大きな下落はリーマンショックで、2回目の大きな下落は新型コロナウイルスの感染拡大によって発生したコロナショックです。

この右肩上がりの上昇がいかにすごいことかを実感していただくために、同じ期間の日経平均株価についても以下の長期チャートをご覧ください。

S&P500と比べると上下に振れていることがわかります。2021年には上昇して3万円を突破した動きもありましたが、その後は反落しています。S&P500のように「一時的な下落はあるものの右肩上がりが継続」という値動きではありません。

この両者の比較からいえることが、1つあります。それは「S&P500が下落したときに買っていればいずれ上がる」という安心感があることです。この安心感は投資家にとっては非常に大きなもので、これもS&P500が最強指数と呼ばれる理由の1つです。

あくまでも「たられば」の話ですが、リーマンショック時の下落時にS&P500と連動する金融商品を購入してそのまま持っていれば、資産を6倍以上に増やすことができた計算になります。この値動きが今後も続く保証はありませんが、少なくとも多くの投資家はS&P500にそれを期待しています。

S&P500の強みを資産増につなげる方法

最強指数と呼ばれるS&P500を、ご自身の資産増につなげたいとお考えの方は多いと思います。ここでは、そのための具体的な方法を解説します。

前項で「S&P500と連動する金融商品」に言及しましたが、それを積立購入していくのが最もリスクが低く、現実味のある方法だと思います。なぜなら、S&P500は右肩上がりの上昇を続けているものの、一時的な下落は今後も十分考えられるからです。無理のない金額で毎月少しずつ購入し続けることによって取得価格が平均化されるため、時間軸でのリスク分散につながります。この買い方はドルコスト平均法と呼ばれ、すでに多くの投資家が実践している資産形成の王道です。

それでは、積立投資で何を買うべきなのでしょうか。最も手軽なのは、S&P500と連動するETF(上場投資信託)でしょう。最強指数と呼ばれるだけあって知名度、人気ともにとても高く、本国である米国だけでなく日本にも多くのETFが運用されています。次項では、その中から代表的なものを5つご紹介します。

S&P500に投資できる日米のETF5選

最初に、日本で運用されているS&P500連動型ETFを2つご紹介します。

・上場インデックスファンド米国株式(S&P500)
・MAXIS米国株式(S&P500)上場投信

これら2つのETF以外にも東証には他にもS&P500連動型のETFが上場しています。次に、S&P500の本国である米国で運用されているETFについても3つご紹介します。

・SPY(SPDR® S&P 500® ETF)
・VOO(Vanguard S&P 500 ETF)
・IVV(iシェアーズ・コア S&P 500 ETF)

こちらの3つについてはいずれも米国で運用されているため、購入する際には米ドル建てになります。上の2つは日本で運用されているため、日本円で購入可能です。もっとも米ドル建てといってもETF購入のために別途米ドルを用意する必要はなく、証券会社の口座内で簡単に両替ができるので、そのうえで米国のETFを購入することができます。

ここで紹介した5つについては、いずれも最強指数のS&P500と連動する値動きになっているので、基本的にはどれを購入しても問題ありません。米国のETFについてはそれぞれソリッドストリート、ヴァンガード、ブラックロックという御三家ともいえるような運用会社が運用しているので運用額がとても大きく、信頼感があります。さらに信託報酬がとても低く設定されています。

たとえば日本のETFとして1つめの挙げた「上場インデックスファンド米国株式(S&P500)」の信託報酬は0.15%程度となっていますが、それに対してヴァンガードのVOOの信託報酬は0.03%です。S&P500のように株価指数と連動するETFはパッシブ型といって指数と連動するように運用するだけなので難易度が低く、その分だけ信託報酬は安いのが一般的です。日本の0.15%という信託報酬でも十分安いと感じるレベルですが、VOOの0.03%はそれを大きく下回っています。この運用コストの圧倒的な差から、日本にいながらにして米国のETFを購入する投資家も多くいます。

S&P500の長期投資はETFの積立がおすすめ

先ほども述べたように、S&P500は長期目線での積立投資が有効です。理由もすでに述べたとおり、一時的な下落があっても右肩上がりの値動きを続けることが見込めるため、少しずつ買い進めながら資産を増やしていくスタイルに適しているからです。

そこで先ほど紹介したものも含めてETFを毎月一定額ずつ積立購入していくのが、最も無難な投資手法です。ドルコスト平均法を実践すると、安い時には多く買い、高い時には少なく買うことになります。これによって取得価格が平均化され、積立投資の期間が長くなればなるほど価格変動のリスクが軽減されます。

日米それぞれのS&P500連動型ETFを紹介しましたが、これのどちらを買い進めるべきか悩んでいる方は、コストの差で選ぶのがよいのではないかと思います。信託報酬だけを見ると、日米のETFにはかなりの差があります。長期投資になるとこの差が大きくなるため、長期目線でS&P500投資をお考えの方はSPY、VOO、IVVの積立を検討してみてはいかがでしょうか。米国など外国のETFから得られる配当収入には2重で課税されるデメリットがありますが、それを差し引いてもメリットは大きいと思います。

米国のETFだからといって米国の証券会社に口座を開設する必要はなく、日本国内の証券会社から簡単に購入することができます。証券会社によってはETFの自動積立機能を提供しているところもあるので、こうしたサービスを設定しておくと毎月決められた日に一定額ずつETFを積み立てていくこともできます。ドルコスト平均法は機械的に同額分ずつ買い進めることでリスク分散効果が得られるので、こうした機能を利用するのも1つの方法です。

最強指数と呼ばれるS&P500はコロナショックの暴落から回復し、今もなお右肩上がりの上昇を続けています。この流れに乗って資産を増やしたいと考えている方は、まずは少額からでもS&P500投資を始めてみてはいかがでしょうか。

(提供:Incomepress



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