新型コロナウイルス感染症により、私たちの生活は大きく変わった。仕事の減少による収入の減少、リモートワークによる在宅時間の増加、在宅時間の増加による光熱費等の支出の増加、それに加えて自宅で食事をする回数が増えたことによる食費の増加……変化が続く中で気付いていないかもしれないが、物価も上昇している。
どのような商品やサービスが値上がりしているのだろうか。また、コロナはこれらの値上がりに影響しているのだろうか。
なぜコロナが不況に繋がるのか
2020年の日本の食料自給率 (カロリーベース) は、38%だ。残りの62%は輸入に頼っている状況だ。2020年だけが低いわけではなく、近年横ばい傾向で推移している。つまり、輸入が滞ると日本国内の食料は減少し、値上がりにつながる可能性があるということだ。
新型コロナの影響で、輸送が停滞した国もあった。それに加え、輸入するための船舶の燃料となる原油価格の高騰が続き、輸送コストが今まで以上にかかっている。このようなインフラへのダメージが値上がりにつながっているのだ。また、コロナの影響で労働者が不足していることも否めない。
とはいえ、値上がりの対象となる商品やサービスの全てが、コロナのせいというわけではない。アメリカでは天候不順により、例年通りに大豆の収穫ができず、2021年1月には大きく値上がりした。また、南アメリカにおいてもラニーニャ現象による乾燥で、大豆の収穫が減ることが見込まれている。油脂製品の元となる菜種も、カナダでの夏場の高温により生産量が減っている。
近年続く天候不順などによる原材料の不足に加えて、今回はコロナによる輸送へのダメージも影響し、より値上げ方向に強く働いているということだ。
しかし、食品の値上げは日本だけの話ではない。国連は、世界の食料価格が2020年12月に6年ぶりの高水準となり、2021年に入っても値上がりが続く可能性が高いと発表している。食料を輸入に頼っている日本には厳しい現実だ。
実際に値上げした・値上げを予定している商品やサービス
実際に値上げした商品、またはこれから値上げが予定されている商品は、砂糖・マーガリン類・ショートニング類・バタークリーム製品などである。
また、水道やガス、電気は供給設備を保持するために莫大な資金がかかる。そして、多くの自治体で設備の老朽化が進み、対策のために光熱費の値上げを検討せざるを得なくなっている。コロナの影響で私たちの生活にはゆとりがなくなりつつあるものの、それでも設備を更新しないことにはインフラが止まってしまうため、値上げせざるを得ない状況だ。
水道代については、神奈川県横浜市では平均12%の値上げ、埼玉県川口市では平均25%の値上げ、千葉県白井市では平均15%の値上げを決定したり検討したりしている。しかし、コロナの影響で支払いが厳しい家庭には免除や減額を用意している自治体もある。
今後上昇する可能性のある商品やサービスは ?
今後、値上げの対象となる可能性のあるサービスや商品には、鉄道・航空業界、火災保険や地震保険、医療保険、ペット保険などが考えられている。また、サービスや商品ではないが、特に給与所得者の住民税が高くなる可能性もある。
住民税は、給与収入から給与所得控除額を差し引き、さらに所得控除を差し引いた額に税率を乗じて算出する。2020年以降、給与所得控除額が減額されている。また、所得控除のうち、誰でも一律の額で適用できた基礎控除額が所得に応じて減額され、高額所得者になると適用できなくなった。
所得税には、所得が少ない場合には小さな率を乗じ、多い場合には大きな率を乗じる超過累進税率が採用されているが、住民税は一律10%だ。所得によっては住民税の負担が大きくなることになる。
減った支出は極力使わず、今後の値上げに備えよう
コロナが終息したとしても、値上げが続く可能性は十分に考えられる。自粛生活によって食費負担が大きくなっている以外に、ストレス発散や飲食店応援のために高級食材などを購入することも増えたかもしれない。そうした支出は、本来であれば使っていたはずの外食費やレジャー費などで賄えるかもしれないが、今後の値上げに備えて、ステイホームで減った支出分はできるだけ使わずに貯めておいた方がいいだろう。
(提供:大和ネクスト銀行)
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