本記事は、益田緑氏の著書『幸せなお金を引き寄せる 44の心理学レッスン』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています
金の亡者という病
世間ではビジネスとして、次から次へとお金を稼ぐ方法が出没しています。「最先端のビジネス手法」や、「楽してお金が儲かる方法」が常に登場し、ちょっとしたブームになって、しばらくすると終息する…。そんなサイクルがずっと繰り返されています。目新しいお金を稼ぐ方法が出るたびに、多くの人たちがこぞって情報に飛びつき、踊らされ、そして失敗もしています。例えば近年大流行した「仮想通貨」も然り。投資の基礎知識が何もないまま「億り人」というキーワードに乗せられ、なけなしのお金を投入し、大きな負債を抱えてしまった方たちの話を、当時たくさん耳にしました。
何を隠そう、私も「お金」を追い求めていた1人です。特に若い頃は「お金持ちになれば幸せになれる」という思い込みが強く、32歳の起業当時の目標は「お金をたくさん稼ぐこと」でした。会社を設立して1年後には年商1億、2年後には2億と、自分が想像していたよりもはるかに速いスピードで目標を次々にクリアしていきました。大金持ちとはいかないまでも30代半ばだった私には十分なお金を手にして「最高に幸せ―!!!」。
そのはずでしたが、現実は全く逆、億を超えたその先には私が予想もしていなかった不幸な出来事が待っていました。
お金があるのに貧しい生活
「大金を稼ぐ」という目標を達成した当時の暮らしは、私の人生の不幸ベスト2です。因みに一番の不幸な出来事は何かというと、10歳の時に性犯罪に巻き込まれたことです。分不相応な大金を手に入れることは、幼少期のトラウマに匹敵する強烈なダメージを私に与えました。
32歳でアパレルショップを経営、半年で1500万円を稼ぎ、その3年後に会社を設立しました。当時はアパレルショップでウィッグも販売していました。その時にエクステンションのご要望があり、始めたところ大当たり! 次にエクステンションとパーマを同時にできるサービスにするため、美容室経営に乗り出しました。短期間でいかに多くの売上を上げられるか? を追求して作った3つのサロンは、スタッフ60名、年間延べ1万5千人が訪れる人気店となり、まさに破竹の勢いで売上を伸ばしました。
ところが、それに反比例するように、私の心はみるみる疲弊していきました。お金はあってもお茶すら飲む時間がなく、接客、スタッフの勤務管理、広告の出稿、それに経理…。一気に従業員がふくれ上がったお店は常にトラブルを抱え、家に帰っても心休まる時はありませんでした。当時付き合っていた今の夫ともケンカばかりで、体調は常に絶不調。ひどい偏頭痛に悩まされ続ける毎日だったのです。
「普通の人よりたくさんお金を稼いでいるのに、なぜ毎日こんなに辛いんだろう?」答えが出ないまま、ひたすら走り続けた結果、私はついに重度の鬱「ウツ」を発症。仕事に行くことすらできなくなり、ワンマン社長だった私が不在になると、当然のごとく店の売上は急降下していきます。
全てが万事休す。こんな状況になって初めて私は、「お金をたくさん稼ぐ!」ことが目標であった自分の考え方が間違っていたことに気が付きました。お金だけでは豊かになれないんだ。幸せを感じることができる「心」があって初めて、真の豊かさが手に入るのだと実感しました。起業したばかりの私のファーストレッスン。それは、「心を粗末に扱うと貧乏になる」という世の理(ことわり)を知ることでした。
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