前回「(その投資信託が)信じるに足るかどうかを判断するのは自己責任」とお伝えしたら予想以上に反響があった。要約すると「素人にそんな判断が出来るわけがないだろう。結局は仮に損しても投資家の自業自得だということなら、それは金融機関側の論理と一緒ではないか」という感じだ。大丈夫、決してそこまで突き放したりはしない。そもそも投資信託というのは「素人(本当にこういう呼び方が適切なのか疑問だが)」でも、或いは「投資初心者」でも安心して任せられるというのが金融商品としての大きな特徴だからだ。そこがもし否定されるのならば「信託報酬」を払ってまでも他人に委ねる必要などない。

ただそうは言っても最低限、投資信託を購入するならいくつかの点については自ら能動的に動くべきだ。それが正に「投資信託と賢く付き合う方法」の第一歩と言える。ただそれは「必ず経済新聞ぐらいは毎日目を通すべき」とか、「株価の仕組みぐらいは知っておくべき」ということではない。勿論知識や経験があるに越したことはないが、必要条件ではない。また誤った情報で耳年増になるぐらいならば、むしろ純粋無垢なほうがましだ。そこで先ず自分を素人だと思ったり、知識が足りないと思ったりするならば「信頼出来る相談相手」を見つけることから始めたい。できれば「自分は大丈夫」と胸を張る人こそ、セカンドオピニオンを求めるわけではないが「信頼出来る相談相手」を見つけて欲しいと常々思っている。先ずはそこから始めよう。

アマチュアとプロではリスク・イベント発生時の対処が違う

投資信託,やり方
(画像=FreedomZ / pixta, ZUU online)

余談になるが、筆者はスキューバダイビングのインストラクターでもあるので、時々ファンダイビングのガイドとして伊豆方面にゲストを連れて行ったりもしている。そんな時、一番水中で気を配る相手は、実はベテラン・ダイバーを自負しているお客様だ。むしろ経験の浅いダイバーのほうが安心していられる。何故なら、経験が浅いダイバーはインストラクターの指示に忠実で、また慎重に一生懸命ついてきてくれるからだ。一方、ベテランになる程、ブリーフィングでの伝達事項を聞き漏らしていたり、水中で好き勝手な動きをしたりしてしまう。楽しんで貰うのが目的なので目立ってとやかくは言わないが、何かあったらと思わないわけではない。経験本数は多いがアマチュアのダイバーと、専門の訓練を受けたプロダイバーでは基本の所作、特にリスク・イベント発生時の対処が違う。でもその違いは普段は分かり難いものだ。実は投資の世界でもこれと全く同じことが言える。

インターネットが普及して、いつでもどこでもスマートフォンで簡単に溢れる情報に接することができるようになった現代、最も注意すべきことは「フェイク」を掴まされないことかもしれない。或いは「フェイク」か否かを見抜く術を持っているかどうかが重要だ。ただ残念ながら「フェイク」に踊らされている人々は世界中で増えている。昔は「(多くの)みんながそう言っている」という感覚だけでも、ある程度は正誤チェックが可能だった。ただ昨今はメディアの情報も、ネットの情報も、相当覚悟して真実かどうか見極めようとしないと、いつの間にか「フェイク」に乗せられている場合がある。その最たるものが「新型コロナウイルス」に関するものだと言えば、多くの人が同意してくれるだろう。

例えばテレビ番組で「専門家」として紹介されてコメントする人は大勢いる。だが本当に「新型コロナウイルス」に関して「専門家」という肩書の下にコメントすることに疑問がない人ばかりかというと決してそうではない。時々「医師免許さえ持っていれば誰でも良いの?」とさえ思う時がある。また反対にネットに溢れかえる情報が正しいかと言えば、それも勿論ちがう。間違った説に尾ひれ背びれ、更に胸びれまでついて駆け巡っているものが山のようにある。正に都市伝説だ。記憶の限りでは「熱いお茶」とか「うがい薬」を飲むのが効果的などと言うのがあったように思う。

なぜそうなるかと言えば、やはり生死に関わる問題に誰もが必死だからだろう。「溺れる者は藁をもつかむ」ではないが、少しでも状況を改善する情報を知りたいと思うのは当然だ。新型コロナウイルスに関する間違った知識や情報と同様に、投資や投資信託に関わる情報も玉石混淆、種々雑多な情報が溢れかえっている。そしてそれがビジネスにもなるからこそ、いやらしい話にもなる。

新型コロナの専門家と同類の「投資の専門家」も多い