最終更新日:2024/10/02

 

マンション経営は一時的に赤字になっても心配する必要はありません。高所得者にとってマンション経営は節税に役立つといわれているからです。それでは、節税効果を得るにはどのような方法があるのでしょうか。

本記事では、税金ごとに節税方法を解説し、併せて節税になる具体的な効果を、数字を挙げてシミュレーションします。また、マンション経営にかかる諸経費についても概要を紹介し、節税の注意点を確認します。

「赤字でもいいんです!」マンション経営でしっかり節税
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目次

  1. 1.なぜ高所得者の節税にマンション経営が役立つのか
    1. 1-1.所得が高いと税金も高くなる
    2. 1-2.マンション経営による節税の仕組み
  2. 2.節税効果を得る方法
    1. 2-1.所得税と住民税を節税
    2. 2-2.都市計画税を節税
    3. 2-3.固定資産税を節税
    4. 2-4.相続税を節税
    5. 2-5.贈与税を節税
  3. 3.マンション経営の節税シミュレーション
    1. 3-1.マンション経営が赤字になることによって節税できるケース
    2. 3-2.更地にマンションを建てることによって節税できるケース
    3. 3-3.相続財産の現金を賃貸マンションにして節税できるケース
  4. 4.マンション経営における必要経費
    1. 4-1.租税公課(都市計画税、固定資産税、印紙税、不動産取得税)
    2. 4-2.登記費用
    3. 4-3.火災保険料
    4. 4-4.修繕費
    5. 4-5.修繕積立金
    6. 4-6.減価償却費
    7. 4-7.借入金利子
    8. 4-8.交通費
  5. 5.マンション経営で節税を目指す時の注意点とリスク
    1. 5-1.マンション経営の一番の目的を節税にしない
    2. 5-2.値下がりリスク
  6. 6.節税対策向けのマンションなら「ブランドマンション」がおすすめ
  7. 7.Q&A
    1. 7-1.Q.マンション経営ではどのような税金を節税することができますか?
    2. 7-2.Q.高い節税効果が狙えるマンションはありますか?

1.なぜ高所得者の節税にマンション経営が役立つのか

「赤字でもいいんです!」マンション経営でしっかり節税
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日本の所得税は累進課税になっており、所得が増えるほど税率の区分が上がる仕組みになっています。すなわち、所得が高くなるほど税金を多く払わなければならなくなります。

税率を少しでも低くするには、課税所得を減らす工夫が必要です。その有力な方法の一つがマンション経営です。なぜ高所得者にマンション経営が有利なのでしょうか。

実は高所得者に対する控除が縮小されているという事情があります。「配偶者控除」は所得が1,000万円を超えると適用されず、「基礎控除」は所得が2,500万円を超えると適用されません。

また、給与所得控除も控除上限と適用所得が段階的に引き下げられています。高所得者にとって所得圧縮の手段がほとんどないのが現状です。そこで、後述するいろいろな節税方法を使用するにはマンション経営が必要になるのです。

1-1.所得が高いと税金も高くなる

【所得の速算表】

課税される所得金額税率控除額
1,000円〜194万9,000円まで5%0円
195万円〜329万9,000円まで10%9万7,500円
330万円〜694万9,000円まで20%42万7,500円
695万円〜899万9,000円まで23%63万6,000円
900万円〜1,799万9,000円まで33%153万6,000円
1,800万円〜3,999万9,000円まで40%279万6,000円
4,000万円以上45%479万6,000円

はじめに、所得税の税率区分と所得税額をシミュレーションしてみましょう。
例えば課税所得100万円の場合、税率区分は5%ですので、100万円×0.05=5万円が所得税額となります。

課税所得が300万円になると区分税率は10%に上がるため、300万円×0.1-9万7,500円=20万2,500円と負担感が大きく増します。もし一律5%であれば15万円の税額で済んでいることを考えると、累進課税による負担の大きさを実感できるのではないでしょうか。

ただし、300万円になったからといって全額10%の税率が課されるわけではありません。日本では「超過累進課税制度」をとっていますので、5%の税額区分で計算される195万円を超えた部分のみに10%の税率が課されます。そのため、195万円×0.05=9万7,500円を控除して計算する仕組みになっているのです。

1-2.マンション経営による節税の仕組み

マンション経営には節税につながるさまざまな仕組みがあります。代表的なのが「損益通算」です。損益通算とは、赤字の所得を黒字の所得から差し引くことで相殺することをいいます。

例えば、1,200万円の高額所得者は何もしなければ速算表の税率区分は33%です。しかし、マンション経営をして400万円の赤字があれば所得は800万円となり、税率区分は23%に下がります

1,200万円 × 0.33 - 153万6,000円 = 242万4,000円
800万円 × 0.23 - 63万6,000円 = 120万4,000円

所得が半分に減ったわけではないのに、税金は約半分になります。もちろん毎年赤字では経営が成り立ちませんが、初年度は初期投資や購入諸経費が多くかかるため、赤字になるのが普通です。

初年度はとくに損益通算で節税できる可能性が高いといえます。2年目以降は初期費用がなくなり、黒字化して軌道に乗っていくのが一般的です。

また、一般的な収入の方でもマンション投資による節税効果は期待できます。詳しくは以下の記事をご覧ください。

【関連記事】
サラリーマンでも節税ができる区分マンション投資

2.節税効果を得る方法

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税金には所得税や固定資産税のように毎年課税される税金と、相続税や贈与税のように財産を受け継ぐときだけ支払う税金があります。税金ごとに節税の方法がありますので、よく調べたうえでより節税効果の高い方法を選ぶようにしましょう。

2-1.所得税と住民税を節税

所得税と住民税は、毎年の所得に応じて課税されます。所得税は所得金額によって異なりますが、住民税は一律10%です。

所得税と住民税の節税には先に紹介した「損益通算」のほかに、「減価償却費」の計上があります。
減価償却とは、不動産などの固定資産を購入した場合、それを使用する期間にわたり、分割し費用を計上することをいいます。

マンションの購入費用は高額ですが、一度に経費計上するのではなく、建物の法定耐用年数で割った金額を毎年経費として計上することが可能です。帳簿上は赤字となりますが、実際に現金が出ていくことはないため、その分の現金が手元に残って節税になります。

・青色申告による節税
青色申告とは、所得税の確定申告方法の一つで、一定の要件を満たし税務署に申請することで、特別控除や赤字の繰越など白色申告にはない税制上のメリットが受けられる制度です。

青色申告を選択することで、青色申告特別控除が利用可能です。
これは、帳簿を適切に整備し、確定申告を行うことで、最大65万円の所得控除が受けられる制度です。この控除により、課税所得が減少し、結果的に所得税や住民税が軽減されます。

さらに、青色申告には赤字の繰越や繰戻しといった特典もあります。
たとえば、マンション経営が赤字となった場合、その赤字額を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の利益と相殺することが可能です。また、赤字が発生した場合、その赤字を前年に繰り戻して税金の還付を受けることもできます。

また、家族への給与を経費として計上できることも青色申告の大きなメリットです。
これにより所得税の課税対象額を減らすことができます。

2-2.都市計画税を節税

都市計画税は、毎年1月1日時点で市街化区域内に土地・家屋を所有している人に課税される税金です。計算式は次の通りです。

都市計画税の計算式
固定資産税評価額 × 都市計画税の制限税率

制限税率は市区町村によって税率が異なりますが、法律で上限が0.3%と決められています。都市計画税は、所有している土地に住宅を建てることで節税できます。

・200平方メートルまで
200平方メートルまでの土地は小規模住宅用地と呼び、固定資産税評価額が3分の1に軽減されます。

・200平方メートルを超え
200平方メートルを超え、家屋の床面積の10倍までの部分を一般住宅地と呼び、固定資産税評価額が3分の2に軽減されます。

2-3.固定資産税を節税

固定資産税は、毎年1月1日時点で固定資産(土地、家屋、償却資産)を所有している人全員に課税される税金です。計算式は次の通りです。

固定資産税の計算式
課税標準額(固定資産税評価額 - 軽減率)× 1.4%

固定資産税には都市計画税に比べて、多くの軽減措置が用意されています。主な軽減措置は以下の通りです。

・住宅用地の軽減措置
小規模住宅用地(200平方メートル以下)は固定資産税が課税標準額の6分の1に軽減されます。また、一般住宅地(200平方メートル超)は課税標準額の3分の1に軽減されます。

・併用住宅の特例
マンションのなかには、テナント(店舗)と居住用を併用している「併用住宅」があります。併用住宅の場合も該当する部分は下表のように住宅用地の適用割合が決められています。

対象の住宅居住部分の割合住宅用地の率
専用住宅すべて1
地上5階以上・耐火建築物の併用住宅4分の1以上2分の1未満0.5
2分の1以上4分の3未満0.75
4分の3以上1
上記以外の併用住宅4分の1以上2分の1未満0.5
2分の1以上1

例えば、「地上5階以上・耐火建築物の併用住宅」では居住部分の割合が4分の3以上なら100%の土地に特例が適用され、居住部分が4分の1以上2分の1未満の場合は50%の土地に特例が適用されます。

・新築住宅の軽減措置
居宅、併用住宅、集合住宅を新築した場合、床面積等の要件を満たすと新築住宅の軽減措置が受けられます。

軽減措置は120平方メートルに相当する税額について、固定資産税が2分の1に軽減されます。軽減措置の期間は2階建てまでの建物が3年間、3階建て以上で耐火・準耐火建築物(マンション等)が5年間となっています。

・長期優良住宅の減額措置
一定の床面積の要件を満たす場合、120平方メートルに相当する税額について、固定資産税が2分の1に減額されます。

減額措置の期間は一般住宅が新築後5年間、3階建て以上で耐火・準耐火建築物(マンション等)が新築後7年間となっています。

減額の適用を受けるには下記2つの条件を満たす必要があります。

1. 「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の施行日(平成21年6月4日)から2022年(令和4年)3月31日までに新築されたもの

2. 同法の規定に基づき、耐久性・安全性などの住宅性能が一定基準を満たすものとして所管行政庁の認定を受けて新築された住宅であること

2-4.相続税を節税

不動産は相続税対策にもなります。マンション購入のための借入金は相続財産から差し引くことができるので、相続税の財産評価の引き下げにつながります。

タワーマンションの購入が相続税対策として人気を集めていたのは、土地面積に対する戸数が多く、取得金額のほとんどが建物部分だったため、相続税の財産評価額を引き下げられるからです。

また、被相続人が貸付事業用にしていた宅地(アパートやマンションの敷地及び駐車場)は、200平方メートルまでが減額適用になります。

ひとつ考えなければいけないのは、相続物件がアパートで相続人が複数存在した場合、分割の問題が生じることです。特定の一人を相続人とした場合、相続人同士でトラブルが起こることが想定されます。また、共有名義にすると売却するために全員の同意が必要となり、大変な手間がかかります。

その点、マンションの区分所有は相続がしやすく、相続人同士のトラブルの回避に役立つことでしょう。特に、都心のマンションは流動性が高く、現金化しやすいので、納税の準備もスムーズです。

相続税の節税対策について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

【関連記事】
マンション経営で相続税の節税対策をするメリットとデメリット

2-5.贈与税を節税

贈与税は個人から財産を贈与されたときにかかる税金です。1年間に受け取った財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いた金額に対して課税されます。マンションを贈与された場合に節税する方法として「相続時精算課税」があります。

この制度を利用すると贈与された額の合計が2,500万円まで贈与税が非課税となります。2,500万円を超えた部分には一律20%課税されます。60歳以上の親や祖父母から、20歳以上の子や孫に贈与するときに利用できます。

ただし、相続時精算課税という名前の通り、贈与された財産は相続が発生したときに改めて相続財産に加算されます。加算される金額は時価ではなく贈与されたときの金額です。

したがって、東京都心の好立地マンションなど将来値上がりが予想される物件を贈与しておけば、相続時に時価が高くなった場合に差額を節税できるというメリットがあります。

3.マンション経営の節税シミュレーション

マンション経営が節税に役立つ理由と方法を具体的に解説します
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マンション経営ではどのような形で節税することができるのでしょうか。3つのケースについてシミュレーションしてみましょう。

3-1.マンション経営が赤字になることによって節税できるケース

マンション経営が赤字になった場合、給与所得や事業所得と損益通算することができます。

【シミュレーション】

給与所得額給与所得のみ不動産所得が200万円の赤字節税効果
500万500万円×税率20%
-控除額42万7,500円
=所得税額57万2,500円
300万円×税率10%
-控除額9万7,500円
=所得税額20万2,500円
37万円
700万700万円×税率23%
-控除額63万6,000円
=所得税額97万4,000円
500万円×税率20%
-控除額42万7,500円
=所得税額57万2,500円
40万1,500円
1,000万1,000万円×税率33%
-控除額153万6,000円
=所得税額176万4,000円
800万円×税率23%
-控除額63万6,000円
=所得税額120万4,000円
56万円
1,500万1,500万円×税率33%
-控除額153万6,000円
=所得税額341万 4,000円
1,300万円×税率33%
-控除額153万6,000円
=所得税額275万4,000円
66万円
2,000万2,000万×税率40%
-控除額279万6,000円
=所得税額520万4,000円
1800万円×税率40%
-控除額279万6,000円
=所得税額440万4,000円
80万円

上記の表はそれぞれの給与所得の人がマンション経営で200万円の赤字が出た場合の所得税額の違いを表しています。

表にある通り、所得が高いほどより高い節税効果が期待できます。

3-2.更地にマンションを建てることによって節税できるケース

単純に更地を所有していると、固定資産税だけ無駄に支払うことになります。更地にマンションを建てることで固定資産税および都市計画税を節税できます。

「小規模住宅用地の特例」を使うと、200平方メートルまでの土地の固定資産税が1/6、都市計画税が1/3に軽減されます。マンションの場合は1戸あたり200平方メートルのため、10戸なら2,000平方メートルで計算されます。ほとんどの場合、土地全体が小規模住宅用地として認められるので有利です。

【シミュレーション】

土地の評価額更地のみマンションあり節税効果
2,000万円2,000万円×1.4%
=28万円
2,000万円×1/6×1.4%
=約4.6万円
約23万4,000円
3,000万円3,000万円×1.4%
=42万円
3,000万円×1/6×1.4%
=7万円
35万円
4,000万円4,000万円×1.4%
=56万円
4,000万円×1/6×1.4%
=約9.3万円
約46.7万円
5,000万円5,000万円×1.4%
=70万円
5,000万円×1/6×1.4%
=約11.7万円
約58.3万円

上記の表はそれぞれの土地の評価額で更地のままとマンションが建っている場合の税額の違いを表しています。

表にある通り、土地に建物をたてるだけで大きな節税になります。

3-3.相続財産の現金を賃貸マンションにして節税できるケース

相続対策にもマンション経営は有効です。現金は相続税評価額が100%です。しかし、賃貸マンションを購入すると相続税評価額は固定資産税評価額の60%程度に軽減されます。内訳は土地が70%、建物が50~70%程度です。

【シミュレーション】
配偶者と子ども1人が1億円を現金で相続する場合と、賃貸マンションで相続する場合の相続税額の違い

・1億円を現金で相続した場合
1億円-基礎控除4,200万円=5,800万円

配偶者は1/2の2,900万円を相続しますが、配偶者控除を使えるので非課税。子どもは1/2の2,900万円を相続し、2,900万円×税率15%-控除額50万円=相続税額385万円になります。

・1億円を賃貸マンションで相続した場合
6,000万円-基礎控除4,200万円=1,800万円

配偶者は1/2の900万円を相続しますが、配偶者控除を使えるので非課税。子どもは1/2の900万円を相続し、900万円×税率10%=相続税額90万円になり、現金で相続する場合より295万円節税できます。

【相続税税率表】

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%-
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円以超55%7,200万円

4.マンション経営における必要経費

「赤字でもいいんです!」マンション経営でしっかり節税
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節税効果を得るには、不動産所得を少しでも圧縮することが大切です。不動産所得は、家賃や礼金、敷金、更新料などから、必要経費を差し引いて計算されます。

マンション経営では、どのような費用が必要経費として計上できるのでしょうか。主な必要経費として以下のものがあげられます。

1. 租税公課(都市計画税、固定資産税、印紙税、不動産取得税)
2. 登記費用
3. 火災保険料
4. 修繕費
5. 修繕積立金
6. 減価償却費
7. 借入金利子
8. 交通費(ガソリン代・交通費)

4-1.租税公課(都市計画税、固定資産税、印紙税、不動産取得税)

税金の支払いは勘定科目では「租税公課」と呼ばれています。都市計画税や固定資産税、印紙税、不動産取得税などがあげられます。

・都市計画税
毎年1月1日時点で不動産を所有している場合に課税されます。ただし、課税されるのは、市街化区域内にある不動産のみです。税額の計算式は「都市計画税=評価額(課税標準額)×標準税率0.3%」です。標準税率は自治体によって異なる場合があります。

・固定資産税
毎年1月1日時点で固定資産課税台帳に登録されている固定資産に課税されます。税額の計算式は「固定資産税=評価額(課税標準額)×標準税率1.4%」です。標準税率は自治体によって異なる場合があります。

・印紙税
経済取引の際に伴う契約書や領収書を作成したときに課税される税金です。契約書や領収書に印紙を貼付する形で納税します。

【印紙税税額表(不動産)】

記載された契約金額税額
1万円未満非課税
10万円以下200円
10万円を超え50万円以下のもの400円
50万円を超え100万円以下のもの1,000円
100万円を超え500万円以下のもの2,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの1万円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの2万円
5千万円を超え1億円以下のもの6万円
1億円を超え5億円以下のもの10万円
5億円を超え10億円以下のもの20万円
10億円を超え50億円以下のもの40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円

・不動産取得税
マンションなどの不動産を購入したときにかかる税金です。税率の計算式は下表の通りです。

本則税率軽減税率(2026年3月31日)
宅地固定資産税評価額×4%固定資産税評価額×1/2×3%
住宅固定資産税評価額×4%固定資産税評価額×3%

4-2.登記費用

不動産の名義人を変更するには登記費用がかかります。費用のうち登録免許税の税率は下表の通りです。

登記の種類登録免許税の税率
所有権移転登記土地購入 評価額×2.0%
土地相続評価額×0.4%
建物相続評価額×0.4%
中古建物購入評価額×2.0%
所有権保存登記新築建物購入 評価額×0.4%

登記手続きを司法書士に依頼する場合は、司法書士報酬がかかります。報酬の相場は上表にある登記の種類によって異なります。種類ごとの相場は下記司法書士連合会のホームページのアンケート調査で確認することができます。

参照:日本司法書士連合会「司法書士の報酬」

4-3.火災保険料

マンションを購入すると火災保険に加入します。火災保険料の相場はマンションでフルカバーの保証の場合、年間8,000円~1万1,000円程度です。近年は地震も頻発していることから、併せて地震保険にも加入しておく必要があるでしょう。

地震保険の保険料は保険金額1,000万円あたり非耐火で年間1万1,000円~3万6,000円程度、耐火で6,000円~2万2,500円程度が目安となります。

参照:火災保険節約術「保険料相場と適正価格」

4-4.修繕費

マンションは経年とともに建物の劣化が進むので、修繕費を確保しておく必要があります。毎月のキャッシュフローが黒字であれば残金から積み立てておくのもよいでしょう。入居時にもらった礼金を修繕費として保管しておく方法もあります。

4-5.修繕積立金

分譲マンションを購入すると、共用部分の工事や維持管理のために修繕積立金を支払います。オーナーが管理費と一緒に管理組合に支払うのが一般的です。月1~1万5,000円程度が相場といわれています。

4-6.減価償却費

マンション建物の法定耐用年数によって減価償却費を計上しますが、土地部分は減価償却できません。土地は劣化することがないからです。法定耐用年数は建物の構造や用途によって細かく規定されています。鉄骨・鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造の住宅で47年です。

例えば、新築マンションで建物部分の価格が4,700万円の場合は、4,700万円÷47年=100万円を毎年減価償却費として計上できます。

4-7.借入金利子

毎月返済する不動産投資ローンのうち、利子部分は必要経費として計上できます。借入金元本は経費にならないので、計上しないように注意が必要です。

4-8.交通費

物件の視察に必要な交通費も経費になります。電車・バス・タクシーの乗車料金の他、自家用車のガソリン代も必要経費になります。

この他にマンション経営のセミナーの参加費用や、そのために購入したテキスト代も計上できます。経費に計上できるものはすべて計上し、不動産所得を減らすようにしましょう。

5.マンション経営で節税を目指す時の注意点とリスク

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マンション経営で節税を目指す人もいるでしょう。節税効果を得られる場合もありますが、注意点も念頭に入れておく必要があります。

5-1.マンション経営の一番の目的を節税にしない

マンション経営で節税できるケースの一つに損益通算があります。所得が多いサラリーマンが節税を目的にマンションを購入し、不動産所得が赤字になったときに給与所得から赤字分を差し引けるので所得税が節税になるというものです。

確かにマンション購入初年度は初期費用が多くかかるため赤字になる可能性が高いですが、2年目以降は初期費用がなくなるため、収支が落ち着いてくるのが普通です。マンション経営は利益を上げるのが本筋なので、節税を一番の目的にしないことが大事です。

5-2.値下がりリスク

どんなマンションでも値下がりするリスクはあり、節税効果があったとしても物件が値下がりすれば効果は半減します。

マンションの値下がりには様々な原因があります。

  • 物理的要因
    物件の物理的環境の変動によりマンションの値下がりが起きる場合があります。具体的には、建物の老朽化、管理状態の悪化、周辺地域の変化などです。 築年数の経過や管理が行き届いてなかったことによって建物自体の価値が下がったり、競合マンションや大規模な開発、大掛かりなインフラ工事などで立地の価値が下がることがあります。

  • 経済的要因
    市場や経済の動向によってマンションの値下がりが起きる場合があります。具体的には、需要と供給のバランスの変化による市場変化や、経済不況による需要低下や金利低下などです。

これらの要因は予測することが難しいですが、事前に調査したり対策を打っておくことが大切です。

マンションの購入が明らかに節税になるのは、相続で評価額100%の現金を、評価額60%程度のマンションに変えるなどのケースに限られます。通常は、値下がりリスクの少ない好立地マンションを購入して利益を上げるのがマンション経営の王道といえます。

6.節税対策向けのマンションなら「ブランドマンション」がおすすめ

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マンション経営を行うことで、しっかりとした節税対策になることがわかりました。ここまで見たように、マンション経営を始めた年は初期費用が多く赤字になるリスクがありますが、赤字になっても「損益通算」で所得税と住民税を節税できます。

また、「減価償却費」を計上して利益を圧縮できるだけでなく、その分が手元に残るのも大きなメリットです。

節税対策を目的としたマンション購入にはブランドマンションが最適です。ブランドマンションは、大手デベロッパーが自社の統一ブランド名を冠して販売する、高品質で投資に適したマンションです。

利便性の高い一等地に建築されているケースが多いことに加えて、デザインや設備にこだわった長期の需要が見込める物件が多く、空室リスクが少ない安定した経営が期待できます。資産価値が落ちにくいのも人気の理由です。

ブランドマンションを購入して節税効果を得るだけでなく、経営が軌道に乗れば同じブランドシリーズから2棟目のマンションを購入し、複数経営の夢が広がるのもブランドマンションならではの魅力です。

【関連記事】
新築マンション投資のメリットとは?ブランドマンションの特徴も解説

7.Q&A

マンション経営が節税に役立つ理由と方法を具体的に解説します
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7-1.Q.マンション経営ではどのような税金を節税することができますか?

A.以下の税金を節税することが可能です。

1.所得税
2.住民税
3.都市計画税
4.固定資産税
5.相続税
6.贈与税

7-2.Q.高い節税効果が狙えるマンションはありますか?

A.節税対策を目的としたマンション購入にはブランドマンションが最適です。デザインや設備にこだわった長期の需要が見込める物件が多く、空室リスクが少ない安定した経営が期待できます。資産価値が落ちにくいのも人気の理由です。

(提供:Dear Reicious Online



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