東京一極集中や少子高齢化などの社会問題を抱える日本にとって、地方創生はもはや欠かせない取り組みとなっている。今回はそんな地方創生の意味・定義に加えて、中小経営者が知っておきたい現状やメリット、施策などを、事例を交えながら解説していく。
目次
地方創生とは?意味や定義を正しく理解
地方創生とは、首都圏への人口集中などの問題を是正し、それぞれの地域で住みやすい環境を整えることだ。単なる地方活性化ではなく、地方創生では「活力ある日本社会の維持・実現」を最終的なゴールとしている。
地方創生の意味・定義は見落とされがちなポイントなので、まずは主な目的やSDGsとの関係性から確認していこう。
地方創生の2大目的
地方創生の目的は、大きく以下の2つに分けられている。
・人口の減少問題を解決すること
・地域経済を活性化させること
少子高齢化が進んだ現代の日本では、さまざまな地域で人口減少が問題になっている。地域によっては労働人口が極端に減少しており、限界集落(※65歳以上の人口が過半数の集落)の数は2020年3月の時点で2万ヵ所を超えた。
今後もこの状態が続けば、日本経済を支える労働人口はさらに減少することになる。つまり、地方における少子高齢化や過疎化は、さらに深刻な社会問題を引き起こしてしまうのだ。
このような問題を抱える日本において、地方創生は重要な解決策として位置づけられている。
地方創生とSDGsの関係性
地方創生の概念や目的は、2015年9月に採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」にも深く関わりがある。SDGsで設定されている目標(17のゴールと169のターゲット)には、地方創生に結びつくものが多く見られる。
○地方創生に関連するSDGsの目標
・すべての人に健康と福祉を
・働きがいも経済成長も
・産業と技術革新の基盤をつくろう
・住み続けられるまちづくりを
・海の豊かさを守ろう
・陸の豊かさも守ろう
各地域でSDGsの目標を達成できれば、住みやすく働きやすい街が増えるため、地方のさまざまな課題が解決する。そのため、地方創生に関する施策を考える際には、SDGsのゴールやターゲットも意識しておきたい。