地方創生は今後どうなる?押さえておきたい取り組みや補助金等も紹介

近年叫ばれている働き方改革の影響で、近年ではテレワークの導入企業が増えてきた。また、新型コロナウイルス感染症による影響を避けるために、東京から地方へと本社機能を移す企業も少なくない。

これらの現状を考えると、地方創生は今後ますます進んでいくと予想される。ただし、オフィスに適した建物や設備があるなど、企業の進出に適した地域は限られているため、すべての地方都市が活性化するわけではないだろう。

このような地域による格差は、地方に進出する企業側もきちんと把握しておくことが重要だ。中でも政府や自治体が実施する施策は、地方進出を目指す企業にとって大きな手助けとなる。

では、具体的にどのような施策に注目すべきなのか、経営者が今押さえておきたいものを簡単に紹介しておく。

地方創生に関する施策

上記の中でも地域再生制度は、地方創生に関するさまざまな支援を受けられる制度だ。補助金や交付金のほか、各種手続きや税金の負担軽減、事業に役立つ施設の利用といった支援内容もあるので、うまく活用すれば多角的なサポートを受けられる。

また、地域によっては独自の支援制度が用意されているため、地方創生に興味がある方は各自治体の情報も調べておこう。

事業によっては地方のほうが適している可能性も

これまで都市圏で事業を行ってきた企業にとって、地方への移転はややハードルが高い。しかし、地方進出にはさまざまなメリットがあり、事業内容によっては地方のほうが適している場合もある。

自治体による手厚い支援を受けたり、新たな市場を開拓できたりする可能性もあるので、興味のある経営者はこれを機に地方創生への取り組みを検討してみよう。

地方創生のよくある質問集

地方創生に興味のある経営者に向けて、以下ではよくある質問集をまとめた。より有効な施策を打ち出すために、一つずつしっかりと確認していこう。

Q1.地方創生とはどういう意味?

地方創生とは、活力がある社会の維持を目的として、各地域で住みやすい環境を実現するための取り組みである。少子高齢化による労働力の減少や、首都圏への一極集中が進む日本において、地方創生に取り組む意味合いは大きい。

特に地方企業にとっては、人材不足や後継者問題、市場縮小などの解決にもつながる施策である。

Q2.地方創生はいつから始まった?

国内で地方創生が注目されたきっかけは、2014年5月に公表された日本創成会議によるレポートと言われている。このレポートでは、約半数の市区町村が将来的に消滅すると危惧されており、地方の少子高齢化や医療・介護不足などが指摘された。

この流れを受けて、2015年(※地方創生元年と呼ばれる)には当時の内閣が看板政策として地方創生を掲げた。

Q3.地方創生の具体例は?

地方創生の施策は、「ヒューマン」「デジタル」「グリーン」の3分野に分けられる。

ヒューマン:人材支援、企業誘致、テレワークの推進、子育て世帯の誘致など
デジタル:情報通信基盤の整備、デジタル人材の育成支援、DX化による地域課題の解決など
グリーン:環境情報の共有、関連分野への人材支援、SDGsへの取り組みなど

地方創生は政府だけでの推進が難しいため、企業や個人からの協力も必要になる。

Q4.地方創生のメリットは?

社会全体で地方創生に取り組むと、新たな雇用や街の活性化、投資機会などの創出につながる。また、地方進出を目指す企業にも、コスト削減や競争率の低下、充実した助成金制度などのメリットがある。

近年ではSDGsやESGが注目されているため、企業価値を高める意味でも地方創生は重要テーマになりつつある。

Q5.地方創生は何が問題?デメリットはある?

人口が少ない地方に事業展開をすると、企業には以下のデメリットが生じる。

・会社全体でのコミュニケーションが難しくなる
・取引先や顧客へのアプローチが限られる
・インフラが整っていない地域もある

従業員が地方移住を望んでいない場合は、モチベーションや生産性の低下を引き起こすリスクもある。スムーズに地方へと移転するには、移転後のビジョンや目的を明確にした上で、従業員と十分に対話をする必要があるだろう。

Q6.地方創生の基本的な目標とは?

内閣府は地方創生の基本目標として、以下の4つを掲げている。

1 .稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする

  1. 地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる
  2. 結婚・出産・子育ての希望をかなえる
  3. ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる

なお、具体的なビジョンは自治体によって異なるため、進出先の情報はしっかりと確認する必要がある。

Q7.なぜ地方は衰退した?

地方衰退の要因としては、人口減少や少子高齢化が挙げられる。若い労働力人口が減ると、店舗や事業が維持できなくなるのに加えて、企業は後継者問題にも悩まされやすくなる。

地方経済の低迷は、「企業活動の停止→若者の流出」といった悪循環を生み出すため、日本全体の社会問題として危惧されている。

Q8.企業が地方創生のためにできることは?

地方への進出以外にも、企業が地方創生のためにできることは多く存在する。

・テレワークの導入による地方人材の活用
・若者に向けたインターンシップ(就業体験)の実施
・AIやIoTなどのデジタル技術による地域活性化
・性別や年齢に捉われない地方でのダイバーシティ経営 など

ただし、地方によって抱えている問題は異なるため、貢献したい地域に合わせた計画を立てることが求められる。

著:片山 雄平
1988年生まれのフリーライター兼編集者。2012年からフリーライターとして活動し、2015年には編集者として株式会社YOSCAに参画。金融やビジネス、資産運用系のジャンルを中心に、5,000本以上の執筆・編集経験を持つ。他にも中小企業への取材や他ライターのディレクション等、様々な形でコンテンツ制作に携わっている。
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