国が働き方改革を進めていることもあり、社員の副業解禁に乗り出す企業が日本国内でも徐々に増えている印象だ。そんな中、実際に副業を始める人も多いが、せっかくなら助成金や補助金の制度をうまく活用したい。コストを抑えて副業を成功させるための助けになるからだ。
副業でも申請可能な助成金・補助金はある
多くの人が、副業でも申請可能な助成金や補助金があることを知らない。しかし実際には、会社を起業していなくても申請が可能な助成金や補助金は複数ある。
この記事では副業でも申請可能な助成金や補助金を紹介していくが、その前に「助成金」と「補助金」の違いについて触れておこう。この2つは厳密には似て非なるもので、利用する制度を選ぶ際にこの違いに関する知識は必須のものとなる。
助成金と補助金の違いは?
まず、助成金と補助金はほとんど変わらない意味で使われる場合と、異なる意味で使われる場合がある。異なる意味で使われる場合は、それぞれ以下のような意味合いを有する。
助成金:諸要件を満たせば受給できる可能性が高いもの
補助金:採択件数や金額があらかじめ決まっているもの
また、助成金も補助金も、原則として返済をしなくてよいお金だ。だたし、注意したいのは、多くが「後払い」であり、副業を始める際にある程度お金がかかる場合、助成金や補助金をあてにしていると資金が足りなくなるケースがある。
税務署に「開業届」を出しておこう
ちなみに副業で助成金や補助金を申請する場合、「開業届」の提出を求められるケースが多い。開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」で、個人事業を開業したという申告のための届出となっており、提出先は税務署だ。
開業届を提出していなくても申請が可能なケースはあるが、より広く助成金や補助金を活用したいのであれば、副業を始めると同時に開業届を出しておくようにしよう。ちなみに所得税法上は開業から1ヵ月以内に開業届を出す必要がある。
副業でも申請可能な補助金・助成金を紹介
ここからは具体的に、副業でも申請可能な補助金や助成金を紹介していく。
小規模事業者持続化補助金:補助額は上限50万円、補助率は3分の2
「小規模事業者持続化補助金」の「一般型」では、小規模事業者などが経営計画を策定して取り組む販路開拓などが補助対象となっている。具体的に補助対象となるコストは、店舗改装費やチラシ作成費、広告掲載費などで、補助額の上限は50万円で補助率は3分の2だ。
補助率が3分の2ということは、補助対象の取り組みに60万円の経費がかかった場合は、40万円(60万円×2/3)が補助されるということだ。一方で、120万円の経費がかかった場合は80万円(120万円×2/3)ではなく50万円が補助される。補助額の上限が50万円だからだ。
そして、ここでいう「小規模事業者」の定義だが、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業なら従業員の数が5人以下)といった具合に業種別に決められている。いずれにしても開業届を出していれば、従業員を雇っていない個人事業主でも申請することは可能となっている。
IT導入補助金:補助率は2分の1以内、補助額は申請額によって異なる
「IT導入補助金」も中小企業や小規模事業者が申請可能な補助金だ。制度については「自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートするもの」と説明されている。
具体的には、ソフトウェアの導入費用などが補助対象となり、補助率は2分の1以内となっている。補助金の申請額によって「A類型」と「B類型」に分かれ、A類型の補助額は30万~150万円未満、B類型の補助額は150万~450万円以下と決められている。
ちなみにどんなソフトウェアを導入しても補助金の対象となるわけでなく、この補助の対象となる事業者のソフトウェアを導入する必要がある。補助対象となる事業者についてはIT導入補助金の公式サイトから確認できる。
なお、ここでの中小企業や小規模事業者の定義は、業種によって資本金や従業員数が細かく決められているため、注意が必要だ。
創業に関する助成金・補助金:助成率は経費の3分の2以内、補助額100万〜300万円
地方自治体や行政機関では、創業に対する助成金制度や補助金制度を用意しているケースも多い。内容は自治体や行政機関によって異なるが、副業の規模を大きくする際などに活用されるケースが多い。
例えば、都内で創業を予定している人や創業後5年未満の中小企業者(一定の要件あり)を対象にしている東京都中小企業振興公社の創業助成金は、賃借料や広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費などが対象経費となっている。助成率は経費の3分の2以内、補助額は100万〜300万円である。
「知っているかどうか」が大きな分かれ目
助成金や補助金を利用できるかどうかは、その制度を知っているかどうかが大きな分かれ目となる。この記事で紹介した以外にもさまざまな助成金や補助金の制度が存在するので、副業を始めようという人は定期的に国や自治体、行政機関の公式サイトをチェックするようにしよう。
(提供:manabu不動産投資 )
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