ESG投資の銘柄を選定する方法は?具体的な銘柄も紹介!
(画像=hogehoge511/stock.adobe.com)

ESG投資の拡大を受けて、ESG銘柄を自分で選定して投資を始めたい方もいるだろう。そこで今回は、ESG投資における銘柄の選定方法と具体的な銘柄を紹介していく。ESG投資を始める際のマニュアルとしてもぜひ役立ててほしい。

目次

  1. ESG投資では銘柄を選定してもらえる
  2. ESG銘柄を選定する4つの方法
    1. 方法1.企業の発信情報を確認
    2. 方法2.第三者のコンテンツをもとに銘柄を確認
    3. 方法3.ESG関連指数に連動するETFの構成銘柄を確認
    4. 方法4.ESGファンド(投資信託)の投資先を確認する
  3. ESG投資の銘柄3選
    1. 銘柄1.キーエンス
    2. 銘柄2.HOYA
    3. 銘柄3.ダイキン工業
  4. ESG投資では銘柄に関する一次情報を確認

ESG投資では銘柄を選定してもらえる

近年はグリーンボンドとも呼ばれるESG関連の債券市場も拡大しているが、ESG投資といえば一般的に株式投資をさすことが多い。

株式投資に焦点をあてるとESG投資の方法には、ESGに関連した投資信託(ETF含む)を購入する方法がある。

投資信託の購入であれば、ファンドマネージャー(運用会社)がESG銘柄を選定してくれるため、イチから自分で選定する必要がない。

一般的に投資信託は複数の銘柄に投資をしている。しかし、それらの銘柄を自分で定期的にウォッチしておく必要もない。運用会社が必要に応じて銘柄を入れ替えたり、保有株数を増減したりしてくれるためだ。

ESGに関連した投資信託に限った話ではないが、少額でもたくさんの銘柄に分散投資できるのもメリットだろう。

ESG銘柄を選定する4つの方法

ESG投資では、ESG銘柄を自分で探して株式を購入する方法もある。ESG投資の銘柄を自分で選定する方法を具体的に解説していく。

方法1.企業の発信情報を確認

企業の発信情報としては、コーポレートサイト内のESG関連ページ、ESG関連ニュース、有価証券報告書、決算説明資料、決算説明動画、経営者のメッセージなどが挙げられる。

企業によっては、ESGに関連するレポート(データブック)を作成している場合もある。

これらの情報はいわゆる一次情報にあたるため、企業側のミスや悪意がない限り、信頼できる情報源だ。ただし、できるだけ自社をよく見せたいというバイアスがかかりやすい点には注意したい。第三者の解説もないため、掲載情報を客観的に分析する必要もある。

また、上場会社は3,700社以上(2021年9月執筆時点)も存在する。そのため、すべての企業情報に目を通すのは現実的ではない。

深く調べてみたい投資候補となる企業をピックアップしたあとに、企業情報を確認するとよいだろう。

方法2.第三者のコンテンツをもとに銘柄を確認

ESG関連の第三者コンテンツを探し、掲載されている銘柄を確認する。

ESG関連の第三者コンテンツとは、企業が発信する一次情報ではなく、報道機関が掲載している記事や、金融関連企業がまとめているレポートなどの二次情報をさす。

第三者がある程度まで銘柄を絞ってくれたり、選定理由を解説してくれたりするため、参考になるはずだ。

報道機関サイトの検索欄に「ESG」と打ち込んで検索をかけ、ESGの関連ニュースを一覧化し、有望な銘柄をピックアップする方法も想定される。

二次情報によって銘柄を抽出して企業を調べるのもよいが、第三者のリサーチ力やESGに対する知識などは不確定である。ときには一次情報の確認も重要だろう。

方法3.ESG関連指数に連動するETFの構成銘柄を確認

ESG関連指数に連動するETF(ETN含む)の構成銘柄を確認する方法がある。

近年は国内外を問わず、さまざまなESG関連指数が組成されており、それに連動するETFも多く上場している。たとえば、東京証券取引所のESG関連指数連動型のETFとETNの一覧は、日本取引所グループのサイトより確認できる。
参考:ESG関連商品(日本取引所グループ)

具体例で考えてみよう。各業種から女性活躍度の高い企業を選定する「MSCI日本株女性活躍指数」との連動を目指すETFに、「ダイワ上場投信-MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」がある。女性活躍はESGの「S」に該当するといえよう。

2021年8月時点において構成比が高い上位5銘柄は、比率が高い順にトヨタ自動車、リクルートホールディングス、HOYA、信越化学工業、KDDIであった。

組入銘柄は随時変更される可能性があるが、構成比が高い上位銘柄は投資候補先となるだろう。

方法4.ESGファンド(投資信託)の投資先を確認する

ESGファンド(ESGをテーマとするアクティブ型投資信託)の投資先を確認する方法だ。ESGファンドが投資している銘柄は、金融専門家のスクリーニングを通過していることから投資候補先となるだろう。

ESG関連指数も金融のプロが選定しているので一定の安心感があるが、ESGがテーマとなっているアクティブ型投資信託は、ファンドの運用成績がファンドマネージャーや運用チームの評価に直結する。

そのため、銘柄の分析が深く、銘柄の入れ替えも機敏だと予想される。二次情報主体の投資方法のなかでは、ESG分析の精度が高いといえよう。

【ESGファンドの例】
証券業界大手の野村グループの傘下企業である野村アセットマネジメントのウェブサイトを参考に、ESGファンドの例を挙げてみたい。

ESG投資の銘柄を選定する方法は?具体的な銘柄も紹介!

そのほかにも多くのESGファンドが存在する。ESGファンドが投資している銘柄を参考に自分でもリサーチし、納得したうえで投資を決断するとよいだろう。

ESG投資の銘柄3選

野村アセットマネジメントの「世の中を良くする企業ファンド(野村日本株ESG投資)」が投資をしている37銘柄のうち、3つの銘柄の概況を見ていく。なお、これらの銘柄を推奨しているわけではない。

銘柄1.キーエンス

キーエンスは日本を代表する大手製造企業だ。FAセンサなど検出・計測制御機器を扱っている。

商品における環境負荷低減と、事業活動における環境負荷低減を目指しているのが特徴だ。

前者に関しては、「より小さく」「より強く」「よりエネルギー消費が少ない」環境負荷の低い商品を開発するほか、商品のリサイクルにも取り組んでいる。

3Dプリンタの導入によりサンプル制作に費やす時間を大幅に削減したり、従来は後付けが困難であった流量センサの簡単取付を実現したりしている。

後者に関しては、回収・リサイクル、CO₂削減、環境配慮型車両の導入、物流拠点における廃棄物削減などの取り組みも行っている。

銘柄2.HOYA

HOYAは、眼鏡レンズや半導体用マスク基板などに強い精密機器の製造企業だ。

2019年8月には、グループの長期的な成長に資する項目の特定やそれらの開示促進、ESG活動推進を目的としてESGコミッティを設置した。

気候変動問題に対しては、2019年度を基準年度として2021年度から2025年度末までに、CO₂排出量を売上原単位で16%削減するという中期目標を制定し、達成に向けて目標値やアクションプランの設定を行っている。グループ全体でESGに取り組んでいることが伺えよう。

銘柄3.ダイキン工業

ダイキン工業はグローバルな総合空調専業企業だ。

空調の普及は電力使用量を増加させ、地球温暖化に影響を与える。ダイキン工業は、新興国の経済発展にともなって、空調需要が2050年に現在の3倍になると予測している。

快適な空気環境を世界中へ提供しながら、温暖化影響を限りなく低減することが、同社の社会的使命だとしている。

そこでダイキン工業は、未来のありたい姿を起点としたバックキャスティングにて、2025年を目標年度とする戦略経営計画「FUSION25」を策定した。

「カーボンニュートラルへの挑戦」として、2050年の実質排出ゼロに向けた中間目標も設定している。2030年には、温室効果ガス実質排出量を2019年度基準のBAU(未対策のまま事業が成長した場合の排出量)比で50%以上の削減を目指すという。
参考:マンスリーレポート 2021年9月30日(野村アセットマネジメント)

ESG投資では銘柄に関する一次情報を確認

大企業になるほど、ESGへの取り組みは規模が大きく、複雑化しやすい。その点、ESG関連指数を構成している銘柄や、ESGファンドが投資している銘柄は、金融専門家のスクリーニングを通過しているため、一定の安心感がある。

だからといって、必ずしもESG投資が成功するわけではない。投資は自己責任であることを深く認識したうえで、一次情報を確かめてから投資を決断しよう。

投資家から高い評価を受けるために、環境に配慮しているように見せるグリーンウォッシュにも注意したい。ESG投資では、複数の情報源から多角的に検証しよう。

文・菅野陽平(ファイナンシャルプランナー)

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