本記事は、浜口隆則氏の著書『生き残る会社をつくる「守り」の経営』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています

ストレスマネジメントの重要性~会社の継続性を最も危うくさせる脅威~

メンタルヘルスケア,経営課題,ストレスコントロール
(画像=PIXTA)

社長のパフォーマンスにとって重要な「健康レベル」に最も大きな影響を与えているのが、社長業の大敵とも言える〈ストレス〉です。

現代はストレス社会と言われています。特に社長業は様々な事情からストレスが蓄積しやすい仕事になっていますから、気をつけないといけません。ストレスを管理していく「ストレスマネジメント」を「社長の仕事」の一部として考えていくべきです。

会社の司令塔である社長がストレスで心身ともに悪い状態であれば、良い戦略などを提示できなくなりますし、アクションの質と量も下がります。それらはチーム全体に暗い影を落とします。

ストレスは社長のモチベーションにも深く影響を与えます。あまりにもストレスが大きく積み重なってくると「社長を辞めたくなる」ような瞬間も頻繁に出てくるようになってしまいます。長く経営を実践している経営者なら一度や二度はそんな経験をしているでしょう。

社員はモチベーションの維持を上司や経営者に委ねることができます。しかし、社長はモチベーションの維持を社内の誰かに委ねることができません。自らを鼓舞し続けていく必要があります。社長のモチベーションを上げようと考えてくれる社員は滅多にいません。そんな社員がいたら素晴らしい社員なので、大切にしてあげてください。たいていの場合は逆で、社長のモチベーションは社員によって削られていくことのほうが圧倒的に多いです。

そうやって社長のモチベーションは低下していきます。そうなれば会社のパフォーマンスは中長期的には確実に低下します。ですから、会社の守りにとって「社長のストレスマネジメント」は重要な課題なのです。

ストレスの定義

ストレスとは、外部から刺激(ストレッサー)を受けたときに生じる緊張状態であり、それによって身体や心に負荷がかかり「歪み」が生じることです。それらが積み重なることによって様々な身体への不調を引き起こす原因になります。

ストレス自体は悪いことだけではありません。人は身の危険を感じたときや狩猟のようなリスクをとってでも行わないといけない何かがあったときに、一時的に体をハイパーモードにする構造を培ってきました。しかし、命を守るためのハイパーモードを断続的に続けることによって「体のバランス」が崩れてしまうのです。

ですから、一時的なストレスはプラスにも働くので、多少のストレスは仕方のないことだとしても、それらが増え過ぎたり、継続的に続き過ぎると注意が必要だということです。

社長のストレス状態は簡単にレッドゾーンに入ってしまう

ストレスの測定方法として「ライフイベント表」というものを使った方法があります。

この診断では【260点以上】が「ストレスが多い要注意の段階」で【300点以上】が「病気を引き起こす可能性があるほどストレスが溜まっている段階」とされています。

ここで自己診断をしてみるとわかるのですが、経営者は260点以上を簡単に超えてしまいます。300点以上になる経営者も多いでしょう。私自身もITベンチャーを経営していた頃は軽く300点を超えていました。

経営者は、そういう状態に慣れてしまっているかもしれませんが、一般的に考えると、ストレス的には「危険な状態」です。社長はストレス耐性自体は強い傾向にはありますが、ストレスの発生源は増加していますから、やはり注意が必要です。

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(画像=『生き残る会社をつくる「守り」の経営』より)
生き残る会社をつくる「守り」の経営
浜口隆則(はまぐち・たかのり)
会計事務所、経営コンサルティング会社を経て、1997年に「日本の開業率を10%に引き上げます!」をミッションとするビジネスバンク社を20代で創業。シェアオフィスのパイオニアとして業界を牽引していくなかで多くの会社が失敗する現実を見て、高収益事業だったシェアオフィス事業を売却して経営者教育を始める。数千社という会社経営の現実を見てきた経験から生み出された「経営の12分野」「社長力の10分野」「幸福追求型の経営」などのプログラムを提供する〈プレジデントアカデミー〉は累計参加者が3万人を超える「社長の学校」となっている。早稲田大学でも教鞭をとり「ビジネスアイデアデザイン」「起業の技術」「実践起業インターンREAL I&Ⅱ」などユニークな講義で人気に。著書に『戦わない経営』『社長の仕事』『起業の技術』(かんき出版)などがあり、海外でもベストセラーに。大企業の社長から若い起業家まで多くのファンに支持されている。横浜国立大学教育学部卒業、ニューヨーク州立大学経営学部卒業。株式会社ビジネスバンクグループ 代表取締役、スターブランド株式会社 代表取締役、PE&HR株式会社 社外取締役。現在も複数事業を経営する実践者であり続けている。

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