本記事は、浜口隆則氏の著書『生き残る会社をつくる「守り」の経営』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています
ストレスマネジメントの重要性~会社の継続性を最も危うくさせる脅威~
社長のパフォーマンスにとって重要な「健康レベル」に最も大きな影響を与えているのが、社長業の大敵とも言える〈ストレス〉です。
現代はストレス社会と言われています。特に社長業は様々な事情からストレスが蓄積しやすい仕事になっていますから、気をつけないといけません。ストレスを管理していく「ストレスマネジメント」を「社長の仕事」の一部として考えていくべきです。
会社の司令塔である社長がストレスで心身ともに悪い状態であれば、良い戦略などを提示できなくなりますし、アクションの質と量も下がります。それらはチーム全体に暗い影を落とします。
ストレスは社長のモチベーションにも深く影響を与えます。あまりにもストレスが大きく積み重なってくると「社長を辞めたくなる」ような瞬間も頻繁に出てくるようになってしまいます。長く経営を実践している経営者なら一度や二度はそんな経験をしているでしょう。
社員はモチベーションの維持を上司や経営者に委ねることができます。しかし、社長はモチベーションの維持を社内の誰かに委ねることができません。自らを鼓舞し続けていく必要があります。社長のモチベーションを上げようと考えてくれる社員は滅多にいません。そんな社員がいたら素晴らしい社員なので、大切にしてあげてください。たいていの場合は逆で、社長のモチベーションは社員によって削られていくことのほうが圧倒的に多いです。
そうやって社長のモチベーションは低下していきます。そうなれば会社のパフォーマンスは中長期的には確実に低下します。ですから、会社の守りにとって「社長のストレスマネジメント」は重要な課題なのです。
ストレスの定義
ストレスとは、外部から刺激(ストレッサー)を受けたときに生じる緊張状態であり、それによって身体や心に負荷がかかり「歪み」が生じることです。それらが積み重なることによって様々な身体への不調を引き起こす原因になります。
ストレス自体は悪いことだけではありません。人は身の危険を感じたときや狩猟のようなリスクをとってでも行わないといけない何かがあったときに、一時的に体をハイパーモードにする構造を培ってきました。しかし、命を守るためのハイパーモードを断続的に続けることによって「体のバランス」が崩れてしまうのです。
ですから、一時的なストレスはプラスにも働くので、多少のストレスは仕方のないことだとしても、それらが増え過ぎたり、継続的に続き過ぎると注意が必要だということです。
社長のストレス状態は簡単にレッドゾーンに入ってしまう
ストレスの測定方法として「ライフイベント表」というものを使った方法があります。
この診断では【260点以上】が「ストレスが多い要注意の段階」で【300点以上】が「病気を引き起こす可能性があるほどストレスが溜まっている段階」とされています。
ここで自己診断をしてみるとわかるのですが、経営者は260点以上を簡単に超えてしまいます。300点以上になる経営者も多いでしょう。私自身もITベンチャーを経営していた頃は軽く300点を超えていました。
経営者は、そういう状態に慣れてしまっているかもしれませんが、一般的に考えると、ストレス的には「危険な状態」です。社長はストレス耐性自体は強い傾向にはありますが、ストレスの発生源は増加していますから、やはり注意が必要です。
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