本記事は、浜口隆則氏の著書『生き残る会社をつくる「守り」の経営』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています

社長が経営を学ぶ重要性~社長が学ぶべき、たった1つの理由~

予算,社長
(画像=ryanking999/PIXTA)

経営を勉強する重要性は、多くの社長が十分に理解していません。

経営やビジネスという活動が持つアクティブなイメージが知識との関連性を弱めているのかもしれませんし、経営の現場主義的な行動重視の考えが根強く残っているからかもしれません。

しかし、経営を勉強することは、多くの社長が考えている以上に重要なことです。実際、数千社という経営と数千人の社長の現実と趨勢を見てきた私たちが強く感じることは「成功し続けている社長は、例外なく勉強し続けている」ということです。

経営を勉強する重要性には様々な観点がありますが、最も重要な理由をシンプルにまとめておきました。本書を手に取って読んでくださっているような経営を学ぶ重要性を理解している経営者の方々には必要ないかもしれませんが、とても重要なことなので、復習のつもりで確認してみてください。

最も重要な「社長の仕事」

「社長の仕事」の中で最も重要な仕事は「仮説を立てる」ことです。

「社長の仕事」は〈部分最適〉ではなく〈全体最適〉ですから多岐にわたりますが、最も重要なのは、自分の会社が生き残っていくための正しい戦略を考えて明確にしていくことです。

もちろん、経営を成功に導いていくには「実行力」も重要です。実際、経営は関わる全ての人の行動の集積によって成り立っています。最終的な行動の積み重ねが経営のパフォーマンスを決めているということに異論はありません。

しかし、その「行動の方向性」は社長が立案する「仮説」によって決まります。

失敗=間違った仮説による、間違った行動の累積

社長が「こっちだ」と考えた方向(=戦略)に向かって、全ての社員が動いていきます。「もし、その仮説が間違っていたとしたら?」「全く見当違いの方向だったとしたら?」。全ての社員の行動がムダになります。

実際、多くの会社が失敗する原因は〈行動の量〉ではなく〈行動の質〉にあります。行動の方向が間違っていることが多いのです。

その方向性を決めるのは、社長の責務です。社長が「会社の成否を決めている」と言われるのは、会社の方向性(戦略)を決める役割があるからです。

どれだけ実行力が強くても、どれだけ優秀な社員が揃っていたとしても、行動の方向性(戦略)が間違っていたら、間違った方向に早く到達するだけです。

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(画像=『生き残る会社をつくる「守り」の経営』より)

「間違った仮説による、間違った行動の累積」が失敗を生みます。

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(『生き残る会社をつくる「守り」の経営』より)

もちろん、常に100パーセント正しい仮説を立案するのは不可能です。しかし、仮説が正解に近いほど楽ですし、ムダな行動をしなくて済みます。仮説が間違っていると、社員全員の行動が全てムダになります。そして、間違った仮説を繰り返し、行動のムダを繰り返すと、資源(主にお金)は枯渇し、組織は疲弊していきます。そうやって多くのムダをしてしまい、会社は継続できなくなっていきます。

ですから、仮説の正しさは致命的に重要なのです。完全に正しくなくて良いです。しかし、少しでも正解に近い方向性の仮説を出せないと、成功するまでに多くのムダをしないといけなくなります。

このように考えていくと、社長力(社長が持つべき力)の中で、最も重要なのは正しい戦略を立案できる力、つまり〈仮説力〉だということがわかります。

仮説力を高めるには?

正解に近い仮説を立てられれば、最短で目的を達成できます。組織をムダなアクションで疲弊させることもなく、お金を代表とする資源をムダに浪費することもなく、一歩一歩力強く成功に近づいていくことができます。

それが実現できるかどうかは、社長が持っている仮説力次第です。

では、仮説力を高めるには、どうすれば良いのでしょうか?

仮説力を高めていくために最も重要なのは「経験値」です。経営者として、経験する全てのことが仮説力を高めていきます。経験を積めば積むほど、経験したビジネスの中での仮説力は向上していきます。

外部環境の変化があっても、それらに対応して「次は、こうしていくべきだ」という仮説(戦略)を立案できます。

もちろん、経験値が高いレベルでは成功体験が邪魔になる可能性も考えないといけません。しかし、それは十分に成功しているときの話です。

十分に成功していて成功体験の危険性に気をつけないといけない場合でも9割以上の経験値は役に立ちますから、経験値を積んでいくことは、会社のステージにかかわらず大切なことです。

ただ、気をつけないといけないのは、会社を継続している期間が長くても、経営的な経験が少ない場合があるということです。

なぜなら、社長が経営ではなく、現場で社員と一緒に仕事をしている場合が多いからです。その場合は経験値が低いと見積もるべきです。

経験値の次に大切なのが【経営知識】です。経営を知っていることが重要です。

経営のことを知らないと、経営における正しい仮説(戦略)を立てることができないのは、当然と言えば当然の話です。

特に、経営者として経営をしてきた期間が短く、まだ経験が浅い場合には【経営知識】が重要です。経営を勉強することは、経験値の低さを「補完」してくれるからです。

経営知識のバックグラウンドもなく、自分が思いついた仮説を元に行動をして失敗を繰り返せるほどの豊富な資源と無限の時間があれば、かつ、失敗から効果的に学ぶことができれば、少しずつ成功には近づけるでしょう。

しかし、そんな資源と時間は、ほとんどの社長にはないはずです。ですから、ムダは最小化しないといけません。たいていの社長はムダを嫌います。

そういう素養がないと成功し続けることは難しいです。そんなムダを嫌う社長の多くが「経営を勉強する」ことを嫌って、結局、大きなムダをつくっているのは皮肉な話です。

可能な限り正解に近い仮説を立てられる能力が、社長には求められているのです。多くの人を巻き込んでいるからこそ、仮説(戦略)に対する責任もあります。

それは勉強もせずにできるような簡単なことではありません。

ですから、社長は経営を勉強しないといけないのです。

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(『生き残る会社をつくる「守り」の経営』より)


生き残る会社をつくる「守り」の経営
浜口隆則(はまぐち・たかのり)
会計事務所、経営コンサルティング会社を経て、1997年に「日本の開業率を10%に引き上げます!」をミッションとするビジネスバンク社を20代で創業。シェアオフィスのパイオニアとして業界を牽引していくなかで多くの会社が失敗する現実を見て、高収益事業だったシェアオフィス事業を売却して経営者教育を始める。数千社という会社経営の現実を見てきた経験から生み出された「経営の12分野」「社長力の10分野」「幸福追求型の経営」などのプログラムを提供する〈プレジデントアカデミー〉は累計参加者が3万人を超える「社長の学校」となっている。早稲田大学でも教鞭をとり「ビジネスアイデアデザイン」「起業の技術」「実践起業インターンREAL I&Ⅱ」などユニークな講義で人気に。著書に『戦わない経営』『社長の仕事』『起業の技術』(かんき出版)などがあり、海外でもベストセラーに。大企業の社長から若い起業家まで多くのファンに支持されている。横浜国立大学教育学部卒業、ニューヨーク州立大学経営学部卒業。株式会社ビジネスバンクグループ 代表取締役、スターブランド株式会社 代表取締役、PE&HR株式会社 社外取締役。現在も複数事業を経営する実践者であり続けている。

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