会計とは、企業の財政状態や経営成績を表す計算処理だ。中小企業経営者のなかには、財務担当者任せにして会計知識が薄かったり、関心がなかったりする人もいるかもしれない。会計を理解すると、会社の実態をある程度把握できる。これは、自社だけでなく他社の実態を把握するのにも役立つ。国が変わっても同様だ。
近年では、外国企業と取引をする日本の中小企業も増えてきているため、時代の流れに合わせて国際会計基準にも関心を持つようにしたい。ただ国や地域ごとに会計ルールが少し異なる。今回は、国際会計基準の概要をはじめ、日本の会計基準との違いなどを簡単に解説していく。
目次
国際会計基準とは?
国際会計基準(IFRS)とは、International Financial Reporting Standardsの略で和訳すると「国際財務報告基準」と呼ばれ国際会計基準審議会(IASB)が策定する会計基準のことである。各国では、自国の会計基準を策定しており、企業はこの会計基準にもとづき決算書(財務諸表)を作成し、株主への報告、税務申告などを行う。
しかし国境をまたいで事業活動を行う企業も多くなっていることから、どこの国の企業であっても共通のモノサシで企業の実態を把握できることを目指して「世界共通の会計基準」として作成された。わが国でも国際会計基準の適用企業は毎年増え続けており、2023年2月時点で251社が適用済み、適用の決定をしている企業は9社ある。
個々の国際財務報告基準および国際会計基準は、国際会計基準審議会が定款の適切な手続にもとづいて順次改訂していった。すべての基準をまとめて呼ぶときはIFRSを用いる。
中小企業経営者が知っておきたいポイント
そもそも中小企業は上場企業に比べて経理人員が少なく、高度な会計処理に対応できる十分な能力や経理体制が整っていないところも少なくない。また会計情報の開示先が限定されていたり会計実務が会計基準に定められていなかったりするケースもある。
そのような事情もあり、中小企業の実態により沿うと考えで作られた「中小企業会計指針」および「中小企業会計要領」といった会計ルールが別途作成されている。ただなかには、少子高齢化が進む日本よりも海外の需要を掘り起こそうと考えている中小企業経営者も多いのではないだろうか。
実際、国外に取引先を持つ中小企業も増えてきている。そうであれば「世界共通の会計基準」である国際会計基準について概要だけでも理解しておくことがおすすめだ。なお「中小企業会計指針」「中小企業会計要領」といった中小企業独自の会計ルールは、中小企業の会計基準適用を妨げるものではない。
企業経営者は、日本の会計知識にも関心を持ち国際会計基準との違いを認識しておくのが望ましいといえる。