本記事は、ふかぽん(a.k.a.ボロ戸建てKING)の著書『ヤンチャ大家が教える「最強ボロ戸建て」投資術』(扶桑社)の中から一部を抜粋・編集しています。
内覧時の不動産業者への対応術
これから不動産投資にチャレンジしようとする人にとって、物件内覧時の不動産業者とのやりとりは、心配のタネではないでしょうか。初心者であることを幸いに、ぞんざいに扱われるのではないかと、不安を抱いている人も多いはずです。
ぼくは不動産会社に勤めていた経験があるからわかりますが、どんなに知ったかぶりをしても、あなたが初心者であることを営業マンは絶対に見抜きます。
初心者だとバレないようにしなきゃなどと変に気負わず、謙虚な気持ちで業者とコミュニケーションしましょう。
以前までのぼくも、内覧の際は営業マンに対してかなり警戒していました。
内覧の待ち合わせの15分前に現地に着いて、営業マンを待ち受けるかたちで心理的な優位性を確保したり、物件のあちこちを指して、「あそこが汚い」「こっちは傾いている」と悪口を並べて、とにかく安く買おうとしていたものです。
でも、そう言われた営業マンはあまりいい気分ではありません。相手の気分を悪くするよりも、根拠のある数字を積み上げて希望の金額を伝え、双方で歩み寄るほうがいい。
そう考えを改めた結果、今ではドンと構えて内覧をできるようになったのです。この場合の数字というのは、その物件にかかるだろうリフォーム費用と想定家賃、そして希望利回りです。
とはいっても、初心者は一見しただけでは物件のウィークポイントをくまなく把握するのは難しいでしょう。
その意味でも、営業マンとは良好な関係性をキープしておき、買い付けを入れるのに少しでも懸念点があれば、遠慮せずにバンバン質問をしてください。
リフォームの経験を積んでいくと、物件をひと巡りしただけで、修繕すべきポイントがわかり、見積もりが立てられるようになります。
そうなると、「この物件はリフォームにおおよそ○○円はかかる。たとえばここを直すのに△△円、あっちを直すには◎◎円です。
家賃は□□円で想定しているので、そうなると物件価格が◇◇円以上になると大家業として採算が合わないから、なんとかなりませんか」と、具体的な数字を示しながら、値下げ交渉ができるようになります。これができれば大したもの。一人前です。
まずは96ページからのリフォーム実例集を参考に、最低限修繕すべきポイントとコストを念頭に置きながら、場数を踏んでいってください。そうすれば、次第に自分のペースで営業マンと交渉できるようになれるはずです。
電話だけで物件情報を聞き出す方法
前の章では物件を購入する際に、客付け業者ではなく、元付け業者に直接アタックすることがいかに効果的かを説明しました。ここでは元付け業者との電話のやりとりで、有益な情報を聞き出すためのコツをお教えします。
業者との連絡手段には電話以外にもメールがあります。一般的には、不動産業者にメールを送ったり電話を入れて物件資料を取り寄せ、目を通して内覧希望を申し込むという流れがオーソドックスです。
しかし、そんなやり方をしていては、一向に物件の買い付けなどできません。おいしい物件にはライバルが多く、資料を取り寄せてチンタラ検討していたら、あっという間に競合の大家に先取りされてしまうからです。
そこで身につけておきたいのが、電話での問い合わせの段階で物件情報を聞き出すテクニックです。「資料に目を通さなくても大丈夫?」と心配する人もいるでしょう。
問題ありません。むしろ電話のほうが、物件をお得に買うために必要な情報を引き出せます。ぼくが必ず聞くのは次の3つの項目です。
①ライフライン(とくに給水・排水)
②物件の住所
③売り主の売却理由
まず、①のライフラインは「電気」「ガス」「水道」を指します。ぼくの経験上、基本的にどの物件も電気は通っているので、電気に関してはとくに聞く必要はないと思っています。またガスも同様です。
ぼくたちが狙っているような、都心から距離のあるボロ戸建て物件は、基本的には都市ガスのサービスエリアではなく、ほぼプロパンガス一択なのです。
電気やガスに比べて大事なのは、給水と排水。キーになるのが「公営水道」なのか「井戸水」なのかです。公営水道であれば水道局が管理している安くてきれいな水が供給されるので、無条件でOKです。
かたや井戸水だった場合、井戸の設備には寿命があるため壊れていることがあります。するとイチから作り直さなければならず、多額のコストがかかります。
業者に頼むと、水を引くのに50万円、ポンプ代に40万円ほどかかるそうです。よって、井戸水であるとわかったら、井戸が古いのか新しいのか、機能するのか否かを聞き出してください。
もし少しでも引っかかるところがあれば、初心者のうちは撤退するのが賢明でしょう。90万円もかけて水を引き直すのであれば、もう1軒家が買えますからね。
次に、詳しい住所を必ず聞き出してください。それさえわかれば、グーグルマップのストリートビューで物件の外観が確認できます。築年数に見合った外観なのか、駐車場は確保できそうか、近隣に駐車場はあるのか。
外観から得られる情報は無数にあり、経験を積めば内覧をせずとも、ストリートビューの情報だけで買い付けを即断できます。この方法は第5章で詳しく説明します。
3つ目は売り主の売却理由です。これを聞き出すことが超重要なのです。ぼくは「売却理由はなんですか?」とストレートに聞くようにしています。
そこで、たとえば「投資家の方が売りに出しています」という答えが返ってきたら、手を引いてください。売り主が投資家の場合、できるだけ利益を確保しようとするので、Win‐Winの取引にならない可能性が高いからです。
必ず多少はぼられます。
狙い目なのは、売り主が「資産整理で誰も住んでいない家を早く処分したい」と希望している場合や、「父親が別荘として使っていたが、年をとって利用頻度が減った」などの理由で売りに出されている物件です。
売却理由に「必要なくなった」「早く売りたい」「処分したい」といったキーワードが入っている物件は、ぼくの経験上、より安く購入できます。
クルマでもインテリアでも同じですが、売り主が愛着を抱いているものは値段が下がりにくく、売り主に愛されていないものは値段が面白いくらいに下がります。
「べつに、いくらになろうが、金になりゃいい」というスタンスの売り主さんをぼくはこれまでたくさん見てきました。
とにかく、業者に電話で問い合わせをする際には、必ず売却理由を聞いてください。そして売却理由にキーワードが入っている場合は、より安く買えるチャンスだと思ってください。
ローンを組まず現金で安い戸建てを買い、DIYで安く直して貸し出す手法で、資産を増やしている。現在は25軒の物件を所有し、年間1,000万円以上の家賃収入を得ている。
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