本記事は、渡辺千晶氏の著書『45歳はもうオワリですか?』(扶桑社)の中から一部を抜粋・編集しています

突然やってきたモヤモヤ事件! 主婦がイベントってどういうこと?

イベント,カフェ
(画像=Ushico/PIXTA)

ある日の夕方、ママ友から一本の電話がかかってきました。

「千晶さん? 今度の集まり、私休むね。ちょっとイベントがあるの」

「はーい、了解です。ちなみにイベントって何? 広川さん(仮名)がするの?」

「そう。私が主催するイベントなの。だからお休みするわね。じゃあまたね!」

電話の内容は今度の集まりは休みます、というごく普通の連絡でした。でも、確か広川さんは普通にパートをしていたはず? 〝広川さんがイベントを主催する〟ってどういうこと? 一度気になり出すと気になって仕方がなくなりました……。

晩ご飯の支度をしながらモヤモヤ。

ご飯を食べながらもモヤモヤザワザワ。

その日の夜は「私が主催するイベント」という言葉に胸がずっとモヤモヤザワザワしました。主婦なのにイベントを主催するってどういうことなんだろう?

このモヤザワの正体はいったいなんだろう? 毎日毎日、クタクタになるまで仕事をしている自分とイベントを主催している彼女。比べるものではないけれど、なぜか比べている自分がいました。「イベントを主催している」と言っていた彼女の声の高揚感、ワクワク感が脳裏に焼き付いて離れません。

先日まで同じようにパートをしていた彼女が、今はイベントを主催している……。

その情景を想像するだけで、私の心の中にも同じようなワクワクが広がっていったのでした。彼女が何をしているのか気になって仕方がありません。それと同時にその言葉からくる「ワクワク感」を感じとっていたのかもしれません。もしかしたら私も彼女のようにワクワクする世界に行けるかもしれない。そう思うと心が勝手に踊り始めたのです。

そして1週間後、広川さんに会った私は、勇気を出して彼女にこんな質問を投げかけました。

「広川さん、先日電話で『イベントを主催している』って言っていたけれど、あれはどういう意味なの?」

すると、彼女は、

「カフェで話そう!」と言って、近所のカフェで時間を作ってくれました。そこで「イベントの主催の謎」をやっと知ることが出来たのです。

実は彼女、半年ほど前から起業しているのだとか。

「起業?」聞きなれない言葉でした。意味がよく分かりません。

さらに詳しく聞いてみると、パート勤めを辞め、「自分の好きなことで起業している」と。ますます意味が分かりません。

さらに話を詳しく聞いてみると……。

彼女の仕事は「イベンター」と言って、お茶会などのイベントを開いていて、お客さんを素敵なカフェに招待し、そこにいろんな分野の専門家の先生を招き、話をしてもらうという仕事でした。もちろん、そのお茶会は有料で、このお茶会を月に何度も開催しているのだと教えてくれました。

そんな世界があるなんて!

なんだか今までの自分が知らなかった新しい世界を垣間見ているようで、ワクワクドキドキが止まらなくなっていました。彼女の話を聞いているだけで心ときめきます。

できることなら、もしできることなら、私も好きなことで仕事をしてみたい!

何をどうしたらそうなるのか、今はさっぱり分かりません。ただ単純にワクワクしている自分がいました。

そしてさらに質問を続けました。

「どんな感じで働いているの?」

「出勤日はどんな感じなの?」

「聞きにくいんだけど、その仕事ってどのくらいの収入になるの?」

すると、広川さんはニコニコしてどんな質問にも答えてくれました。

「会社勤めじゃないので、出勤日ってないのよ。イベントの開催は月に4~6回くらいだから、人前で話をしなくちゃいけないというか、稼働日は月4~6日。そのほかは自宅で仕事をしたり、打ち合わせに出かけたりかな。収入はフルタイムのパートでもらっていたのと変わらないくらいだと思う」

会社勤めでもなく、パートでもない仕事がこの世にあったなんて!

そして私は、こんな質問も彼女にぶつけてみました。

「そうは言っても仕事なんだから、嫌な思いとかするでしょう?」

「嫌な思い? 仕事上で? うーん(2秒)。ない! むしろ楽しい!」

ニコニコして答えてくれました。

えーーー! そんなことがありえるの? 私は学生時代のアルバイトからOL時代まで「仕事とは面倒なもの」「仕事とは楽しくないもの」「仕事は早く終わってほしいもの」としか思ったことがありませんでした。そういう思い出しかありません。

特に事務をしていたOL時代は「仕事は辛い。辛いからお給料をもらえる」と考えていましたし、当時働いていたパートも「仕事はクタクタで大変。クタクタになるから給料をもらえる」という方程式は揺るぎないものでした。

というか、私はそれ以外の経験をしたことがありませんでした。給料の発生する仕事は辛くて大変、だからお給料が支払われる。結婚前、実家で「今日も楽しかったー」と言って仕事から帰ってきた父の姿を見たこともありません。

それどころか父は「仕事で疲れてるんだから」という大義名分を抱えてすぐにゴロンと横になっていました(笑)。それが当たり前の日常でした。しかし今、広川さんから聞いた世界は、そうではない世界です。もはや私の理解を超えていました。

広川さんを目の前にしてもなお、心のうちでは、

(おかしい。仕事に「辛い」以外の価値観があるのだろうか。辛いどころか「楽しい」? 本当に? いや、目の前に実際にそう言っている人がいる……)

と懐疑心でいっぱいでした。

そんな世界が本当にあるのだろうか? 本当にあるのであれば、私もそこに行きたい。私もそんな人生を送ってみたい!

もし、変えられるのであれば、今すぐこの人生を変えたい。毎日毎日こなしているだけのこの世界を変えたい!

45歳はもうオワリですか?
渡辺千晶(わたなべ・ちあき)
1970年大阪で生まれ、三人姉妹の次女として育つ。現在は横浜市在住。二人の男の子のママ。2015年、45歳のときに専業主婦からの卒業と起業を決意。2016年4月、イメージコンサルタントとして起業する。コンサルつきのカラー診断やメイクレッスン、お買い物同行があっという間に話題となり、起業後3ヶ月には「予約の取れないイメージコンサルタント」と呼ばれるようになる。これまでに500回以上のコンサルを行う。2018年6月、女性起業家向けに「夢を叶える話し方の講座」、同年11月「夢を叶える外見と話し方の講座」を開催。2019年9月、主婦の起業を応援するコミュニティ「Sense of beauty(センス)」を立ち上げ、翌年4月にはオンラインサロン版の「Sense of beauty Salon」をスタート。2021年11月現在の会員数は373名。本書が初めての著書である。

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