本記事は、渡辺千晶氏の著書『45歳はもうオワリですか?』(扶桑社)の中から一部を抜粋・編集しています
真剣に叱ってもらえると人は涙が出ます!
華々しい初仕事は2016年3月のことでした。
しかし、繰り返しますが当時はまだイメージコンサルタントのスクールに通っている最中で、卒業さえしていませんでした。
そして並行して学んでいたアフィリエイトの授業はまったく頭に入ってきません。もともと私はパソコンやネットが苦手なのです。ついにアフィリエイトの習得は諦めました。「主婦が1日30分働くだけで月に10万円の収入」は夢と終わりました。まさに二兎を追うものは……でした。
こうしてふたたび収入源のあては「イメージコンサルタント」になりました。
もう腹をくくるしかありません。そして、相変わらずお客様として顔が浮かぶのは数人の数少ないママ友のみの状態でした。
先が見えない不安を抱えたまま、塾の2回目の授業に出席。そのときの講師は『ずるいえいご』『なんでも英語で言えちゃう本』などのベストセラーの著者、青木ゆかさんでした。とっても面白く可愛らしい女性でした。
前回の授業の後、「フジテレビでの初仕事」のチャンスが目の前にやってきましたが、実はこのときも奇跡のような出来事が私の目の前で起きたのです。
青木ゆかさんのとても素敵で楽しい授業を受けた後、いつもの流れで懇親会に参加しました。ゆかさんがたまたま私の目の前の座席に座ったのです。そのとき、塾生の一人が私をこう紹介してくれたのです。
「ゆかさん、この千晶さんね、塾長がフジテレビに出たとき、イメージコンサルとして一緒に行ったんですよー」
「はい、そうなんです、もう私なんかに頼んでもらえてうれ……」
「ちょっと! 千晶さん、今『私なんかに』って言ったよね? 自分のこと『私なんか』って言っちゃいけない。そんな言い方したら、千晶さんに頼んだ塾長がかわいそうでしょ!(怒)」
と、私が「うれしかった」と言い終わらないうちに、ものすごい剣幕で叱られたのです。
私としてはデビュー前だし、経験もない私に頼んでくださった塾長に感謝の気持ちを伝えたくて、そして日本人らしく謙虚な気持ちで、「私なんかに」という言葉を無意識に選んでいました。でも「私なんかに」という言葉には自分を否定した意味合いも含まれます。そのことをゆかさんは叱ってくださったのだと瞬時に理解できました。
それを理解したと同時に、そんな風にきちんと言葉で「自分を大事にする」ことを教えてくれたことに今度は感動し、思わず涙が溢れ出てきたのです。
今まで生きていてこんなに熱く面と向かって「自分を自分で傷つけない! 自分を大事にしなさい!」と言ってくださった方は初めてだったからです。
ゆかさんはこの後、「私も千晶さんのイメージコンサル、全部受けるから!」とみんなの前で宣言してくださり、私のイメージコンサルタントとしての二人目のお客様になったのです。
前回の懇親会に続いての思いがけない展開に、帰りの電車の中で、ふたたび嬉しさでニヤニヤが止まらず、マンションの廊下でもやっぱりスキップしていました。それは起業家デビュー1週間前の夜の出来事でした。
やる気ありすぎ! いきなり3回分も会場を予約してしまった
こんなすごい展開に自分でも信じられない気持ちでいっぱいでしたが、やはり心配と不安の種は尽きません。
イメージコンサルタントのスクールで神津先生から教えていただいたのは、「外見、イメージ力アップのセミナーを出来るようにしておくこと」でした。そこをきっかけにお客様になる方が生まれるとのこと。頭では理解出来ていたのですが、実はある問題が発生していました。当時の私はセミナー資料をつくるためのパワーポイントの使い方がまったく分からなかったのです。
子育てにもPTAの時にも部活の世話役の時にも、パワーポイントを使う機会はありませんでした。これは一大事です。ここで躓つまずいてしまうと、先にコマを進めることが出来ません。そして、勝手に「パワーポイントの使い方は絶対に難しい」と思い込んでいました。
そんなとき、またもや思いもしないところから救世主が現れました。たまたま受けた算命学という占いのやりとりの中での出来事です。
「千晶さんは○○星と○○星を持っています。そして『火』の力を持っている方。ご自分が放っている光で近くにいる周りの方たちが輝き始めます。イメージコンサルタントにぴったりです」
「えー、嬉しい! ありがとうございます。でもなかなか一歩踏み出せないことがあって……。実は私、パワーポイントが使えないのでセミナーの資料がつくれなくて困っているんです」
「パワーポイント? それなら、私が教えてあげようか?」
えっ! いいんですか?(繰り返しますがこれ、占いの最中です。笑)
思いがけない展開で私は占い師さんからパワーポイントの使い方を教えてもらえることになったのです。
数日後、その占い師さんからパワーポイントのレクチャーを受けてみると、それは驚くほど簡単なのでした。さらにその占い師さんからこんな提案まで受けます。
「千晶さん、セミナーやるならレンタルスペース必要だよね。レンタルスペースって知ってる? 私これから講座があって、いつも使っているレンタルスペースがすぐそこだから、一緒に行って見学してみる?」
「セミナー開催はレンタルスペースを使うんですね! ぜひ見学させてください」
思い立ったらすぐに行動するのが私の強みです!
近くのレンタルスペースに到着すると、たくさんの部屋を見学させてもらいました。
10人ほど入る会議室から30人規模の会議室までありました。見学しているうちに、自分がセミナーをしている姿を想像してみました。そして、パワーポイントも大丈夫、会場もある、つまり私はもうセミナーが出来る! と頭の中でイメージが湧いてきました。さっそく、
「私、予約します」
「えっ?」
レンタルスペースの予約状況を確認すると、2週間後の日程がいくつか空いていたので3日分、つまりセミナー3回分の予約をしました。占い師さんの元に戻り、
「私、3回分予約してきました」
「えー? え? え? 3回も? 千晶さん……早い」
「はい! せっかく会場を教えてもらったので」
もちろん占い師さんは相当驚いていました。
起業前の私は、「普通」が何かも知らず、みんなはこうしているなどという常識も情報もありません。なにより会社員時代と違って上司に確認を取って反対されることもありません。とにかく自分の思い通りにやれるのが嬉しかったのです。
後々これは大きな勘違いだったと分かるのですが、このときの私はお客様が集まり過ぎたら困るからという超前向きな理由で、3回分のセミナー会場を予約しました。
こうして2016年4月1日、45歳の私は、ついに起業人生をスタートさせたのです。
一年前の、一本の電話から始まった、好きなことを仕事にする私の起業がついに始まりました。
この先どんな展開になるのか、全く見当もつきません。この時点でご予約いただいているお客様は、青木ゆかさんただ一人です。私に頼みたいという人、本当に現れるのかな? そして勢いとスーパー勘違いで会場を予約してしまったセミナーはどんな展開になるのだろう? そんな不安を抱えたまま、私は小さな一歩を踏み出したのでした。
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