本記事は、渡辺千晶氏の著書『45歳はもうオワリですか?』(扶桑社)の中から一部を抜粋・編集しています
夢は叶ったはずなのに? あふれる涙に向き合った夜
起業後の私はイメージコンサルタントとして、順調すぎる毎日が続いていきました。お客様は本当にたくさんいらしてくださいましたし、毎日毎日、イメージコンサルタントの仕事をしない日はないというくらい仕事をする日が続きました。もちろん自分の大好きな仕事です。あんなにも思い描いていた未来が、現実となっているのです。
あれほど憧れ、想像していた未来……のはずでした。
なのに、夜中に一人、リビングのソファーに座っていると、なぜか涙が溢れてきます。涙の意味が分かりません。
私、好きなことを仕事にしているよね? 何が悲しいの? どうした私? なぜ涙が出るの?
自分でも理解できない涙の原因をそっと胸に手を当てて聞いてみることにしました。すると、聞こえてきた心の声は、
「本当にあなたがやりたいことは何?」
でした。
もう少し、当時のことをお話ししますね。
イメージコンサルタントとして、外見をその方の理想に近づければ、お客様の理想の未来は早く実現する。そう思って疑わなかった私でしたが、実は自分の力のなさも同時に少しずつ感じはじめていたのです。それは「外見を変えただけでは思うように理想未来に近づかない」という現実でした。
もう少し詳しくお話しすると、私のお客様のほとんどが、高い技術やスキル、きちんとした資格をもっているにもかかわらず、それを上手く活かしきれていない、表現しきれていない方が多かったのです。
最初は見た目を変えて、「主婦」の雰囲気から「プロフェッショナル」の雰囲気に変えることが何より大切だと思っていました。もちろん、そうすることで多くの方が次のステージに進みます。
やがて、イメージコンサルティングを受けて外見を整えたお客様から次々に「千晶さん、私、初めてのセミナーを開きます!」と連絡が来るようになりました。
私にはどのお客様も思い入れが深いので、セミナーには応援がてら参加していました。
しかし、セミナーや勉強会を開いても、みんなそこで終わってしまうのです。つまりお客様が次のステップに進んでいなかったのです。
次のステップとは、「商品の購入やサービスへの申し込み」です。
原因は人によって異なりますが、大きな原因は「自信」だと感じました。
ビジネスをするうえで「自信」をつけるために、外見を磨いてきました。でも、どうやらそれだけではないようなのです。
それまでの私は、お客様の夢を叶えるお手伝いがしたい。それに役立つことを提供していたと思い込んでいました。
でも私、全然みんなの夢を叶えてあげられてなかった! これは私の責任だ!
そのことに気づいたのは応援で参加していたあるセミナーの最中のことでした。最後列に座っていた私は涙が溢れてきました。
見た目を変えれば夢は叶えられる!
そう信じていたのに。でも現実はそうではなかったのです。
私、全然できてない。私、みんなの夢を全然叶えられてない!
外見を整える、というイメージコンサルタントという仕事の枠に限界を強く感じた瞬間でした。
2つ目の夢、『夢を叶える話し方の講座』を開催する!
私が起業してすぐ、たくさんのお客様にイメージコンサルティングを申し込みいただいたのは、どうしてだったのだろう? そんなことをぼんやり考えていました。すると、一つ思い当たる答えが浮かんできたのです。それはパートとして幼児教室でやっていた「講師」の経験です。
講師として働いたことで、自分でも気が付かないうちに、「人前で話をする技術」が身についていたのです。たしかに朝から晩まで、幼児たちの注目を惹きつけながら話していたわけですから、当然かもしれません。
ということは……。専門家ではない私でも、人前で話すコツを伝えられるかもしれないと思うようになりました。
これまでのように外見をよくするだけでなく、その人の話し方もレベルアップさせてあげられるかもしれない!
そう閃くと、ふたたびワクワクとドキドキが同時にやってきました。私がわかっている「話し方・伝え方」についてもみんなに伝えればいいんだ!
それからはまず、自分がもっている話し方のスキルを補強したくて、プロのアナウンサーが開く講座へ通ったり、会話スキルを上達させるための学びを深めていきました。こうして、自分が「外見の磨き方」だけでなく「話し方・伝え方」も教えられるように準備しました。
こうして2018年6月、「夢を叶える話し方の講座」を開講しました。
私の2つ目の夢です。
初めての講座には8名の受講生が集まってくださいました。参加者はほとんどイメージコンサルティングをしたお客様。そして全員、主婦の起業家たちです。
この方たちにしっかりと話し方のスキルが身に付けば、未来がどんどん拓けて、もっと理想の世界が実現するはず! そう思うとワクワクが収まりません。
参加者の職種は、マリッジアドバイザー(結婚相談)、ジュエリー作家、整理収納アドバイザー、テーブルコーディネーター、自宅でサロンを運営している方、マヤ暦アドバイザー、アロマとハーブの専門家など、多岐にわたっていました。
この講座は、単に話し方のスキルを伝えるだけで終わるのではなく、とにかく「人前で話す経験」をたくさん積んでいただきました。
「自分の夢を語る」 「自分のエピソードを語る」 「自己紹介をする」
どれを話すときも「自分の想い」を乗せて語ってもらいました。
人前で話をすることが「得意に」なる必要はないのです。話すことに緊張したり、苦手意識をもつことなく、「当たり前」になれば仕事はうまくいくのです。その秘訣は「想いを乗せる」こと!
そして、「夢を叶える話し方の講座」の参加者たちは私が作りたかった世界そのものでもありました。参加者どうしみんなが互いに応援しあうようになっていたのです。
誰かが夢を語る → それを聞いた他の参加者が大喝采の拍手を贈る!
これが講座のスタイルになっていきました。
あるときなど講義中の拍手がうるさいと他のセミナールームからクレームが入ってしまうくらいでした(その節は大変申し訳ありませんでした!汗)。
こうして私は、イメージコンサルタントとしての仕事に加え、話し方も少しずつお伝えするようになっていきました。
この2つに共通しているのは「目の前の人が夢を叶える応援」をするということ。
この「夢を叶える話し方の講座」は、その後進化し、「夢を叶える外見と話し方の講座」になりました。受講生さんたちが講座中、どんどん変化していく姿を見て、嬉しくなると同時に、次なる課題も見えてきました。
それは起業する時には誰もがぶつかる壁なのですが「最初のお客様がいない」という現実です。
これは私自身も最初にぶつかった壁でした。
勉強すれば誰しも資格までは取れます。でも「いったい私のお客様はどこにいるの?」。あの不安をみんなが同じように経験するのです。この壁、私がなんとかしてあげられないだろうか? そう考えだしていました。
気づいてしまった「もう一度、仲間と一緒に何かがしたい」想い
そんなある日、心理学のセミナーに参加したときのことです。セミナーにこんなワークがありました。
Q 今まで生きてきた中で、一番楽しかった出来事、充実していた出来事はなんですか?
じっくり考えてみました。私が一番楽しかった出来事ってなんだろう?
あれだ! 私は白い紙に大きくこう書きました。
A うちの子の幼稚園時代にお手伝いした卒業対策委員会(卒対)です。
仲間と一緒に1年かけて作り上げた謝恩会でのステージとその仲間との時間です。
長男が年長さんの頃、仲間とともに泣いたり笑ったりしながら過ごしたあの時間の記憶がありありと浮かんできたのです。当時のそれは仕事ではなく、完全なボランティアでしたが、お互いが得意分野を担当し、いつもみんなでアイデアを出し、みんなで結論を出し、みんなで完成させました。
いつもみんなで笑いあって、助け合って、最後はみんなで感動して泣いて抱き合いました……。
間違いなくあの経験が「生きてきた中で一番楽しかった出来事」でした。キラキラと輝く宝物のように思い出されました。
そして、私の頭の中にこの言葉が浮かんできたのです。
「もう一度、仲間と一緒に何かがしたい」
会社という「組織」で仕事をしていた頃、多くの人と関わるストレスから「一人」での起業を選んだつもりでいました。でも、次の行動を考えるのはいつも自分一人です。何か決断するのも自分一人。仕事がうまくいって喜ぶのも自分一人。そして、思わぬ失敗で落ち込むのも一人ぼっちなのです。
一人で起業するのは、いちいち誰かの承諾を取らなくてもよいという気楽さと引き換えに仲間と喜びを分かち合うことができないのです。
そのことに、セミナーのワークを通して気がついてしまったのです。
それからの私は、一人起業というスタイルはそのままでしたが、「いつか仲間と一緒に何かをしたい、何かを作り上げたい」と漠然と考えるようになりました。
今の私にもっと出来ることはないだろうか? もっと何かを届けることは出来ないだろうか? そんなことをいつも考えるようになっていました。
私が45歳で起業しようと決意したとき、何からはじめればいいのかさっぱりわかりませんでした。資格を取ればいいの? 何をどうしたらいいの?
そのときの私と同じように、起業しよう、新しい自分を探そう、そう考えたとき、主婦たちが気軽に聞ける場所、相談できる場所、安心できる場所があったらいいのに。
そんな場所を先駆者としてつくりたい。みんなをまとめてしっかり応援したい。
未来に向かって立ち続けるのは実はすごく勇気がいることです。周囲の強い反対にあったらあっという間に折れてしまう細い勇気です。
変わろうとする主婦たちによって頼りになる場所。
実現したい夢を宣言さえすれば丸ごと応援してくれる仲間のいる場所。
か細い勇気を温かく包んでくれる場所。
私、そんな場所、「コミュニティ」がつくりたい!
心からそう思えました。
こうして私はイメージコンサルタントを卒業する決意をして、45歳の日の私と同じような主婦たちが夢を叶えるための「コミュニティ」を作る決意をしました。
こうして2019年6月、女性限定のビジネスコミュニティを作る準備に取り掛かり始めました。
※画像をクリックするとAmazonに飛びます