トルコ国旗の図
(Undrey / PIXTA(ピクスタ))

世界的に低金利が続いている。2022年よりFRBが利上げを行う公算が高いとはいえ、日本のメガバンクの普通預金金利は0.001%であり、個人向け国債の利率は0.05%だ(いずれも2021年12月上旬現在)。このような低金利環境だと、高金利通貨建て債券が魅力的に映る人もいるだろう。高金利通貨建て債券であれば、1桁後半の利回りは当たり前で、足元では、利回り23%を超えるものも出てきている。

「利回り23%もあれば負けることはないだろう。絶好の投資チャンスでは?」と感じるかもしれない。しかし、このような高金利通貨建て債券は、本当に投資妙味が高いのだろうか。今回は、高金利通貨の過去の為替レートも参考にしながら、高金利通貨投資の注意点を見ていこう。

高金利通貨建て債券は投資妙味が高いのか?

SBI証券の外国債券ページを開いてみると、メガバンクの普通預金金利や個人向け国債の利率とはかけ離れた利回りが並ぶ(いずれも2021年12月上旬現在)。前述の「利回り23%を超えるもの」とは、以下のトルコリラ建て債券を指している。債券は発行体の信用リスクを負うので、実際はそれぞれの信用リスクを精査する必要があるが、日本円での運用に比べて、高利回りであることは確かな事実だ(表:SBI証券の外国債券ページより。ZUU online編集部作成)。

商品名 参考利回り 残存年数
バークレイズ銀行 南アフリカランド建債券 年8.848% 約10.8年
欧州復興開発銀行 トルコリラ建債券 年23.009% 約2.4年
ラボバンク メキシコペソ建債券 年8.030% 約11.2年
国際金融公社 ロシアルーブル建債券 年7.392% 約1.5年
ロイズ銀行 ブラジルレアル建債券 年10.213% 約2.5年

しかし、だからといって「高金利通貨建て債券は投資妙味が高い」と言い切ることはできない。投資の利益はインカムゲインとキャピタルゲインのトータルで決まるが、利回りはインカムゲインの視点にしか立っていない指標であるためだ。いくら高いインカムゲイン(利息収入)を得ても、それを上回るキャピタルロス(為替差損)を計上してしまっては、トータルリターンはマイナスとなり、投資としては失敗と言える。

14年かけて12分の1になってしまった「トルコリラ・日本円」

典型的なのが、通貨安が止まらないトルコリラだ。「トルコリラ・日本円」の為替レートは、足元で8円30銭くらいだが、2020年4月は約16円であった。つまり、2年も経たずに、通貨の価値が半分になってしまったわけだ。どんな高い利息を受け取っていても、2年も経たずに為替差損で投資元本が半分になってしまっては、トータルリターンをプラス圏にもってくるのは難しいだろう。

実は、トルコリラの下落は今に始まった話ではない。