株や債券などの金融資産は市場の変動によって大きく価値を落とす場合もあるので、インフレなどにも強い実物資産を所有することは、金融資産と資金を分散させる意味でも有効な投資先となります。その中でも歴史的価値のあるアンティークコインは投資先として独自のメリットを持っていることから近年注目されている投資方法です。

絵画、クラシックカー、ワインなど投資対象になる実物資産は他にも存在しますが、本記事ではアンティークコインについて解説し、投資先としてのメリット・デメリットも明らかにしていきます。

アンティークコインとは

実物資産への新たな投資「アンティークコイン」の3つのメリット・デメリット
(画像=BjörnWylezich/stock.adobe.com)

アンティークコインは古代や中世など、古い時代に作られたコインのことを指します。コインは現代でもオリンピックや、万博などの記念に作られていますが、具体的なアンティークコインの定義は国によっても異なります。

一般的には100年以上前に作られたコインがアンティークコインとして認識され、一方で100年以内に作られた新しいコインは流通量が多く、希少価値がないので投資対象にはならない場合が大半です。

古く希少価値の高いコインが投資価値のある実物資産であるといえます。アンティークコインの価格もさまざまで、10万円程度で購入できるものから、100万円以上の価値があるものもあれば、中には1億円以上の価格で落札されたコインも存在します。

コインのデザインや、歴史的背景から世界中にコレクターが存在し、根強い人気があります。つまり、唐突に需要がなくなってしまうことも考えにくいので、古く希少価値の高い一部のアンティークコインが投資対象として注目されています。

アンティークコインを投資に利用する仕組み

不動産であれば、主に物件を利用して賃料収入を得る投資方法が有名ですが、アンティークコインはどのように投資に利用するのでしょうか。アンティークコイン投資は長期的な相場価格の上昇を期待して投資します。

10万円の価値があるアンティークコインを購入して、長期的に相場価格が上昇し、20万円になったタイミングで売却すれば10万円の利益が得られます。キャピタルゲインで利益を得るため、アンティークコイン投資では定期的な収入を得る仕組みがありません。

短期では相場価格は大きく変動しにくいので、長期保有を前提に価値の上昇に期待します。株式や債券などの金融資産の価格と連動しにくい資産であるため、金融市場が暴落した際には資産防衛の役割を果たすことが期待可能です。

アンティークコイン投資のメリット

アンティークコイン投資のメリットは3つあります。

・価値が下がりにくい
・管理に手間がかからず持ち運びやすい
・金融資産と値動きが連動しにくい

それぞれ詳しく見ていきましょう。

価値が下がりにくい

アンティークコインは過去に作られたコインであるため、新しく生産されることがないので、現存するコインが減ることはあっても増えることはありません。よって、アンティークコインの価値は下がりにくく、時間が経つほど希少になるので資産価値の上昇も期待できます。

また、世界各国に多くのコレクターが存在するため、仮に一部の国で価値がなくなったとしても、他の国で売却が可能です。世界中にコレクターと売却先が存在するため、急激な価値の低下や、売却先がなくなり手放せなくなるリスクも低いです。

管理に手間がかからず持ち運びやすい

世界に対して需要があり、価値が下がりにくい実物資産は他にもありますが、アンティークコインの最大のメリットは管理やメンテナンスにコストがかからないことがあげられます。

不動産であれば長年保有を続ければ改修工事が必要になり、クラシックカーなどを保有する場合もメンテナンスが必要になるでしょう。資産の価値を維持するためのコストがかからないのはアンティークコイン特有のメリットといえます。

またサイズが小さいタイプもあって持ち運びしやすいため、引っ越しの際には肌身離さず新居に持ち込むことが可能です。

金融資産と値動きが連動しにくい

アンティークコインのコレクターはビジネスや投資先ではなく、趣味として集めている人も多いので、金融商品の値動きの影響を受けにくい投資先です。金投資は多くの投資家が安全資産と認識しているので、株高であれば価値が安く、株安であれば価値が高くなる傾向にあります。

アンティークコイン市場への参加者に株式投資家が多くなれば、株高、株安によって需要が変化する可能性がありますが、趣味で集めている人も多い現状では大きな影響を受ける可能性は低いです。

アンティークコイン投資のデメリット

一方で、アンティークコイン投資のデメリットは3つあります。

・投資対象として付加価値がない
・盗難の被害に遭う可能性がある
・購入時の価値判断が難しい

それぞれ詳しく解説します。

投資対象として付加価値がない

株式であれば配当、不動産投資であれば賃料収入などインカムゲインを得られる仕組みがありますが、アンティークコインにはこのような仕組みがありません。保有しているコインの価値が上昇しなければリターンを得ることができないため、投資対象として付加価値がありません。

売却して利益が確定する以外に利益を得る方法がない上に、短期的に価値が大きく上昇することを期待するのは難しいので、資産を積極的に増やす方法としてアンティークコインを選ぶのは適切ではありません。

盗難の被害に遭う可能性がある

持ち運びやすいということは、反対に考えれば誰かに持ち去られる危険性も高いということです。ポケットに入る大きさであるため、一度誰かの手に渡ることがあれば取り返すのは困難といえるでしょう。金庫で保管するなど、盗難対策は必須になります。

購入時の価値判断が難しい

アンティークコインに詳しくなければ、そのコインが本当に価値のあるものであるか判断するのは困難です。悪徳な取引相手であれば、相場よりも高く売りつけられ、最悪の場合は贋作を掴まされることも考えられます。

アンティークコインに深い知識がない場合は、コインを購入する取引先が信頼できる取引先であるかを見きわめることが重要になります。

アンティークコインを購入する方法

アンティークコインは主に業者やインターネットオークションなどで購入できます。オークションは、出品者の素性が分からず、信用できない取引相手も多いので、コインの相場や真贋に詳しくない方にはおすすめできません。

また、オークションではなく業者であっても信頼できるとは限らないので、信頼できる業者から購入することをおすすめします。業者が信頼できるか判断するには、アンティークコインの業界団体に加盟しているかどうかが一つの基準になります。

海外のアンティークコインであれば国際団体であるIAPN、国内であれば日本紙幣商協同組合に加入しているかどうかです。上記の団体に加入している業者は信頼性が高くなります。

また、所有しているアンティークコインの真贋や、価値を判断する方法にはコイン鑑定会社のNGC(Numismatic Guaranty Corporation)を利用する方法もありますので、購入したコインに不安があれば鑑定サービスも利用しましょう。

アンティークコインは資産防衛に有効な長期的な投資先

アンティークコインは信頼できる購入先を見つけ、盗難対策を徹底すれば他の実物資産にはないメリットを持った長期的に優秀な投資先になります。実物資産による資産防衛を検討している方はアンティークコイン投資を検討しましょう。

(提供:Incomepress



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