「EV」といえば日産やホンダといった大手メーカーはもちろん、中小企業も参入して注目を集めている。2035年にはすべての乗用車をEVにするといった政府の方針がある中で、日本のEV市場は今後、どのようになっていくのだろうか。この記事では、EV普及の鍵を握る「充電」について解説する。
世界のEV普及率
日本は2021年1月の通常国会で、当時の菅義偉首相が「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」と表明した。では、現在の日本のEV普及率はどれくらいなのだろうか。
日本自動車販売協会連合会が発表する「燃料別販売台数(乗用車)」によると、2020年の乗用車販売台数が約250万台であるのに対し、EVは約1万5,000台と普及率は約0.6%である。
<2020年の燃料別新車販売台数(乗用車)と割合>
燃料別車種 | 新車販売台数(台) | 割合(%) |
---|---|---|
ガソリン車 | 138万762 | 55.70% |
HV | 92万275 | 37.13% |
PHV | 1万4,741 | 0.59% |
EV | 1万4,604 | 0.59% |
ディーゼル車 | 14万7,503 | 5.95% |
FCV | 761 | 0.03% |
その他 | 186 | 0.01% |
※「その他」はLPG車等
出典:日本自動車販売協会連合会の統計データ「燃料別販売台数(乗用車)」より株式会社ZUU作成
そのほか、主な国のEV普及率は下表のとおりである。普及が進むノルウェーは半数以上がEVであり、日本の普及遅れがわかるだろう。
<2020年の主な国のEV普及率>
国名 | EV普及率 |
---|---|
日本 | 約0.6% |
アメリカ | 約1.8% |
中国 | 約4.4% |
ノルウェー | 約54% |
出典:各国統計データより株式会社ZUU作成
日本のEVの充電について
日本でEVの普及が進まない理由は主に3つあると言われている。
- 販売価格が高いため
- 航続可能な走行距離が短いため
- 充電するインフラが不十分のため
このうちの充電インフラについて、現状を調べてみた。
充電できるスポットについて
クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金といった国の補助金制度の後押しを受け、充電スポットは急速に増加傾向にある。電気自動車(EV)充電スタンド情報サイト「GoGoEV」を見ると、日本全国の充電スタンド登録拠点数は、急速充電のCHAdeMO(チャデモ)が7,803拠点、100V/200Vの普通充電が13,726拠点、TESLA(テスラ)が216拠点である(2021年12月21日時点)。
充電スポットの主な設置施設は以下のとおりだ。
- カーディーラー
- コンビニ
- 商業施設
- 高速道路などのサービスエリア、パーキングエリア
- 宿泊施設
- 道の駅
充電にかかる時間について
EVの充電方法は主に2つある。家で充電するケースと家以外の外で充電するケースだ。そして、充電システムは「急速充電」と「普通充電」がある。家で充電する場合は、基本はコンセントからの充電で普通充電になる。外で充電する場合は、充電スポットの充電システムによって異なるが、普通充電のほか、前述したとおり急速充電できる拠点も増えている。
急速充電の時間だが、ほとんどの充電スポットでは「1回の充電は最大で30分」と決められていることが多く、30分経つと充電が停止する。そのため、最大30分というのが目安になるだろう。一方の普通充電だが、充電したい量や充電システムの電圧、車種によって充電にかかる時間はさまざまだ。おおむね数時間〜数十時間程度といったところだろう。
具体的に2つのメーカーのEVで、満充電までにかかる時間を比較してみたい。なお、気度やバッテリー残量などの状況によって充電時間は変わってくるため、あくまでも目安と考えておくのが賢明だろう。
車種 | 充電時間 |
---|---|
日産リーフ(40kWhバッテリー) | 3kW普通充電器:約16時間 6kW普通充電器:約8時間 |
Honda e(35.5kWhバッテリー) | 3kW普通充電器:約12時間 |
出典:各メーカーのサイトより株式会社ZUU作成
「EV」は投資テーマとしても今後注目
2035年にEV普及率100%を達成するには、充電インフラの拡充、充電システムの革新は欠かせない。今後は技術が劇的に進化すれば、充電時間の短縮は十分想定されるだろう。
EVは、投資テーマとしても熱い。例えば米国市場では「リビアン(Rivian)」「ルーシッドモーターズ(Lucid motors)」といったEVの新興メーカーが続々と上場している。また、EVの充電関連機器を開発している企業も投資先としては有望だろう。EV市場は、今後も拡大が予想されているため、投資テーマとしてもEVは注目しておきたいところだ。
(提供:manabu不動産投資 )
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