毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるかと思われます。このコーナーでは、読書家が集まる本の要約サービス「flier(フライヤー)」にてアクセスの多かった書籍を、金融業界のユーザーに絞って毎月ランキング形式でご紹介しております。皆様の書籍選びの参考になれば幸いです。

やる気を出すために8割の仕事は手抜きがよい? 2021年12月に読まれた「ビジネス書の要約」トップ10
(画像=PIXTA)

第1位:面倒くさがりの自分がおもしろいほどやる気になる本(内藤誼人著、明日香出版社)
第2位:ムダな努力を一切しない最速独学術(三木武信著、PHP研究所)
第3位:怒りが消える心のトレーニング(安藤俊介著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第4位:「普通」に見えるあの人がなぜすごい成果をあげるのか(越川慎司著、KADOKAWA)
第5位:「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。(藤吉豊 小川真理子著、日経BP)
第6位:超 話し方図鑑(五百田達成著、飛鳥新社)
第7位:早く読めて、忘れない、思考力が深まる 「紙1枚! 」読書法(浅田すぐる著、SBクリエイティブ)
第8位:職場の問題地図(沢渡あまね著、技術評論社)
第9位:幸せに生きる方法(平本あきお 前野隆司著、ワニブックス)
第10位:繊細な人  鈍感な人(五百田達成著、PHP研究所)

※本の要約サービス「flier」の有料会員のうち、金融業界に所属するユーザーを対象にした、2021年12月の閲覧数ランキング

「面倒くさい」と感じなくさせるテクニック

12月の第1位は『面倒くさがりの自分がおもしろいほどやる気になる本』でした。銀行、証券、保険の全分野において、最も多く読まれました。

家から出るのが面倒、こたつから出たくない、何をするにも何となくおっくう――。そう思ってしまうのは、ある意味で自然な人間の心理でしょう。面倒と感じるのは心理的な反応なので、精神面の鍛錬で何とかしようと考えがちです。しかし本書には、環境や仕組みを変えて習慣化することにより、「面倒くさいこと」を「面倒くさいと感じなくする」テクニックが満載です。例えば、「仕事で本気を出すのは全体の2割とし、8割は手を抜く」といった統計上の法則に基づいたコツなど、「面倒くさい」に効く即効薬がたくさん紹介されています。

2022年、新年の始まりに際し、昨年までのぐうたらな自分にお別れしましょう!


面倒くさがりの自分がおもしろいほどやる気になる本
面倒くさがりの自分がおもしろいほどやる気になる本
内藤誼人
出版社: 明日香出版社
発売日:2020年11月28日
ジャンル:自己啓発・マインド 生産性・時間管理

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ムダなく「学び直し」

大人の学びは「学習デザイン」が9割――。そう表紙に大書された『ムダな努力を一切しない最速独学術』が第2位となりました。特に銀行関連の職場にお勤めの方に多く読まれました。

著者は25歳でソフトバンクに転職し、孫正義社長(当時)の秘書を務めた三木武信氏。同社が次々と新事業に取り組む中、覚えることが多かった経験を踏まえ、大人が最短最速で目標を達成するための「個別最適化された学習プログラム」の大切さを説きます。「学習目標」「学習内容」「評価」の3つの基本要素を相互補完的に組み合わせた「インストラクショナル・デザイン」など、具体的な学習術が紹介されています。

学習に割ける時間が限られている半面、覚えることは日増しに多くなる社会人。やりたいこと、やらなければいけないことが盛沢山、そんな忙しいあなたを救ってくれる一冊です。


ムダな努力を一切しない最速独学術
ムダな努力を一切しない最速独学術
三木雄信
出版社: PHP研究所
発売日:2021年09月28日
ジャンル:スキルアップ・キャリア

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「アンガーマネジメント」≠「怒らないこと」

第3位は『怒りが消える心のトレーニング』でした。「アンガーマネジメント」という言葉が徐々に浸透してきている昨今、その第一人者である一般社団法人日本アンガーマネジメント協会の安藤俊介代表理事による入門書です。

勘違いされがちですが、「アンガーマネジメント」は「怒らないこと」ではありません。むしろ、怒りを抑え込むとストレスがたまり、理不尽な状況に追い込まれることさえあり得ると言います。アンガーマネジメントは、「怒りと適切に付き合い、コントロール下におき、反復練習によって身につく技術」だとして、安藤氏はその習得を勧めています。

本書を読み終える頃には、「怒り」の扱い方が大きく変わっているはずです。以前ならイライラしていたような出来事にも、より心穏やかに向き合えるようになっていることでしょう。

怒りが消える心のトレーニング
怒りが消える心のトレーニング
安藤俊介
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2018年09月30日
ジャンル:自己啓発・マインド

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テッパンの「話し方」を順位付け

ここからは、第4位以下から注目の書籍をピックアップしていきます。

まずご紹介するのは第5位『「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』です。保険業に携わる方々の間で特によく読まれていました。

営業においても社内コミュニケーションにおいても、話し方が大事ということは変わりません。新型コロナウイルスの影響でオンラインコミュニケーションが増える中にあって、その重要性は一層高まっているとも言えます。

本書の藤吉豊、小川真理子両著者は、話し方に関する名著100冊を読み込み、共通する「ノウハウ」を選び抜きました。そのうえで、各書で引き合いに出される頻度に応じ、ノウハウをランキング形式で紹介しています。そのランキングによると、1位「会話は「相手」を中心に」や2位「「伝える順番」が「伝わり方」を決める」など、1位から7位は「すべての人に必要な基本ルールだ」と指摘しています。

数多い「話し方」の関連書の中でも、選りすぐりのノウハウが効率的に吸収できる一冊です。


「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。
「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。
藤吉豊 小川真理子
出版社: 日経BP
発売日:2021年11月22日
ジャンル:スキルアップ・キャリア

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ホワイト企業に近づくために

最後にご紹介するのは第8位の『職場の問題地図』です。副題の『「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方』に、「自分の会社のことだ」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

本書は、職場にはびこる「残業体質」の要因を分解するとともに、その対処法を指示しています。例えば、残業の主因の一つとして「仕事の手戻りが多い」ことを挙げ、「仕事を依頼する・される」ときには「目的・インプット・成果物・関係者・効率」の5要素の確認を励行するよう説いています。そのほか、「「一時作業」と「繰り返し作業」の識別」や「悪い属人化」といった切り口で、残業時間や総労働時間の削減につながるヒントを提供してくれます。

昨年、一昨年より少しでも職場環境がよくなったと胸を張って言えるよう、今から果断に環境を改善していきましょう。


職場の問題地図
職場の問題地図
沢渡あまね
出版社: 技術評論社
発売日:2016年10月25日
ジャンル:生産性・時間管理 リーダーシップ・マネジメント

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編集後記

2021年最後の月間ランキングでは、第2位『ムダな努力を一切しない最速独学術』や第4位『「普通」に見えるあの人がなぜすごい成果をあげるのか』など、「効率的に成果を出す」ための書籍が多くランクインしています。第5位『「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』、第6位『超 話し方図鑑』と「話し方」にまつわる書籍が続いたのも特徴的でした。

2022年の金融業界ではどのような書籍が支持されるでしょうか。引き続き注視しつつご紹介していきますので、本年もflierを何卒よろしくお願いいたします。

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