ビットコイン価格は引き続きウクライナ情勢を巡って乱高下している。記事執筆時点では443万円前後を推移しており、前日高値の約460万円から17万円ほど価格を落としている。
ウクライナとロシアは日本時間28日午後にも停戦協議を行うものとみられ、交渉の行方を見極めたいとの思惑から、暗号資産(仮想通貨)だけでなく日経平均など株式市場においても値動きは狭い。
先週末、停戦協議に向けた準備が進められているとの報道もあり、ダウ平均価格が834ドルもの上昇を記録。この動きに暗号資産、株式市場は下支えされていると言えるだろう。
しかし、停戦協議の行方次第では再びダウ平均が下落する可能性も大いにある。米株との連動性が高まっている暗号資産市場も価格を落とすことが十分考えられるため、予断は許さない。
一方、為替に目を向けるとルーブルの価格が急落している。対ドルで1ドルあたり110ルーブル台になるなど、ルーブル安は深刻さを増している。
これに伴い、ロシア中央銀行は政策金利を従来の9.5%から20%へと、2倍以上引き上げると発表した。国際決済銀行(BIS)などによると、アルゼンチンの政策金利42.5%に次ぐ高さになるという。
一連の値動きは、ロシアのウクライナ侵攻により日欧米らが経済制裁を強化していることが要因となっている。27日には、国際銀行決済システム・SWIFTからロシアの銀行を排除することが決定した。
SWIFTは国際的な金融取引をつなぐネットワークで、世界200の国と地域で約1万1000以上の金融機関が利用している。このSWIFTからロシアの銀行を排除することにより、貿易決済を困難にする狙いがある。
さらに、ロシアによる為替介入を防ぐための動きも強まっていることから、ルーブル売りが加速していると言える。世界各国から金融制裁が相次ぐことで、世界金融におけるロシアの孤立は一層増していくこととなる。
また、こうした動きのなかでウクライナに対する暗号資産を用いた寄付金額は増加の一途をたどっている。先日にはウクライナ政府が暗号資産での寄付を公式に可能にし、すでにビットコインだけでも記事執筆時点で5億円相当が集まっている。
ウクライナでは富裕層などを中心に資産保護の一環で暗号資産を保有する動きも強まっており、ビットコインはデジタルゴールドとしての能力を発揮しつつある状況だ。
現在、ビットコインや暗号資産の需要が高まりつつあるものの、今後もウクライナ情勢に大きく左右されるものとみられることから、引き続き市場は不安定な動きを見せていくと考えられる。(提供:月刊暗号資産)