重大な病気を予防するために健康診断は欠かせない。しかし、年1回しかない職場の健康診断や国民健康保険の定期健診だけでは、次回の健診までに病気の発見が遅れるリスクがある。富裕層は健康維持を投資と考え、「会員制高級人間ドック」での検診を利用しているという。どのような検査内容なのか、気になるその料金は?

富裕層が健康維持を投資と考える理由とは?

富裕層が通う会員制高級人間ドックの総費用は年収中央値の〇倍以上!
(画像=photowahn/stock.adobe.com)

ある程度の金融資産を持つ富裕層は、資産形成を継続するためのコストを必要な経費と考えている。では、資産形成を継続するために重要なことはなにか。そのうちの1つは健康でいることだ。

いくら資産形成が順調であっても、途中で大きな病気をすれば働けなくなってしまうからだ。そうなると、結果として資産を増加あるいは維持できなくなる。ようするに、健康維持に自己資金を投下することは利益(資産形成の継続)のためである=投資(利益のために自己資金を投下すること)と考えているのだ。

トレーニングジムに通って体を鍛えるのも投資の1つだが、トレーニングだけで病気を防ぐことはできない。そこで富裕層は病気を未然に防ぐ、早期に発見するための方法の1つとして「会員制高級人間ドック」に通っている。

一般の人間ドックと会員制高級人間ドックは何が違うのか

富裕層が通う会員制高級人間ドックとは、提携する医療機関が医療サービスを提供し、事業会社が運営・管理する人間ドックである。ホテル並みのサービスを受けながら、高級感ある空間で健康診断を受けることができる。

大きな違いは検査料金、その差はなんと〇万円!?

一般の人間ドックとの違いは、一般ドックは検診と結果を見た医師からのアドバイス以外にとりたててサービスはないが、会員制ドックは検診以外にも異常があった場合の治療サポートや、検診後のフォローアップ検査、コンシェルジュサービスなどを受けることができる(施設によって細かいサービス内容は異なる)。

受診するための料金も大きな違いがある。総務省統計局が公表している2022年1月の「小売物価統計調査」によると、全国平均の人間ドック受診料は5万8,850円である。これに対し、会員制高級人間ドックにかかる費用はいくらか。

A施設の例で、なんと年会費だけでも55万円(税込)である。その差は約50万円だ。

会員制高級人間ドックでは最先端医療機器で検査される

会員制高級人間ドックでは、検査内容も一般の人間ドックで行う基本的な検査のほかに、高精度な検査機器を使った検査を受けることができる。PETとMRI、PETとCTを組み合わせて、がん細胞の位置や大きさ、細胞レベルの活動をチェックする施設もある。このような最先端医療による検査を受けられることを考えると、会費分の価値はあると考えることができるだろう。

驚くべき会員制高級人間ドックの総額費用とは?

会員制高級人間ドックの費用は全体ではいくらくらいかかるのだろうか。代表的な会員制高級人間ドックの料金体系は下表のとおりである(価格は税込)。入会金には差があるが、月当たりの会費にはそれほど大きな差はない。

A施設B施設C施設
会員資格期間15年終身15年
入会金165万円220万円330万円
月会費5万5,000円5万600円
年会費55万円66万円
出典:各施設のHPより株式会社ZUU作成

最も高額な施設の総費用は年収中央値の〇倍以上!?

入会時には多くの施設で入会金がかかり、入会金の代わりに登録料がかかる施設もある。入会金は上記3施設の例では165万円~330万円とかなりの高額である。最も高額なC施設の場合、総費用はいくらになるのか。

15年の会員期間中に支払う月会費910万8,000円と入会金を合わせると、なんと1,240万8,000円の総費用である。厚生労働省が発表する「厚生労働省2020年家計調査」によると、所得の中央値は437万円である。最も高額なC施設の総費用は所得中央値のおよそ2.8倍だ。

一方で、登録料がかかるD施設では、登録料3万1,500円、月会費3万6,750円(年間44万1,000円)、一括払い42万円とやや低い価格帯となっている。

会費には月会費と年会費がある

会費は月会費と年会費があり、両方から選択できる施設もある。選択制の場合は年会費にしたほうが1ヵ月程度安くなる場合があるので、検討するとよいだろう。ただし、年会費制の場合、途中で退会したときに返還されるのかは、あらかじめ施設に確認する必要がある。

見学会やお試しドックもある

富裕層が対象とはいえ料金が高額なので、いきなり入会するのは不安という人もいるだろう。入会した先が必ず自分の感性に合った施設とは限らない。施設見学会やお試しドックを実施している施設があるので、まずはお試しドックを体験して、納得したうえで入会を決めたほうが無難かもしれない。

富裕層は健康維持にお金をかけるから長生きする可能性がある

東京23区の区別世帯年収中央値と男性平均寿命の関係性を調べるため、総務省の「平成30年住宅土地統計」、厚生労働省の「平成27年市区町村別生命表」のデータをもとに下図を制作した。

相関係数は+0.702と比較的高いものであった(相関係数+1.0は完全相関を示す)。収入の高さがどのように平均寿命の高さに結びついているかまではこの結果からは断言ができないが、収入が高いことで食に気を使ったり、ジムなどの健康維持にお金を使えたり、質の良い医療を受けることができたりすることが影響しているのかもしれない。

富裕層が通う会員制高級人間ドックの総費用は年収中央値の〇倍以上!

会員制高級人間ドックの会費は富裕層以外の人が見れば驚きの料金だが、富裕層はそういった健康維持にお金をかけるから長生きにつながっているのではないだろうか。

一般の人間ドックだけでは細かいがん細胞まで発見するのは難しいだろう。会員制高級人間ドックなら最先端の検査によりがんを早期発見できる可能性が高くなる。体調に異変があった場合も24時間すぐに電話で相談できるので、ほかの病気の予防にも安心だ。

人間ドックは予防医療の1つである。病気にかかってから支払う医療費とは異なり、人間ドックの費用は病気を早期発見するためにかけるコストと考えるべきだ。人生100年時代を生きるには健康維持が絶対条件になる。会員制高級人間ドックを健康への投資と考えればその費用は決して無駄にはならないだろう。

(提供:manabu不動産投資

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