税制面が調整されたこともあり、近年では日本でも「スピンオフ」による事業再編が注目されている。本記事ではスピンオフの概要やメリットに加えて、スピンアウトとの違いなどをまとめた。国内事例もチェックしながら、スピンオフの基礎知識を押さえていこう。

目次

  1. ビジネスにおける「スピンオフ」とは?
    1. そのほかのスピンオフの意味
  2. スピンオフを実施する3つのメリット
    1. 1.親会社の経営資源を活用できる
    2. 2.経営の自由度が高まる
    3. 3.株式の価値を下げずに子会社や事業を切り離せる
  3. スピンオフにはデメリットやリスクも潜んでいる
    1. 1.中長期的なプランが必要になる
    2. 2.従業員のモチベーション低下につながることも
  4. スピンオフとスピンアウトの違いとは?
  5. スピンオフ実施後の税金は?知っておきたい2つのポイント
    1. 分離させる範囲によって税務上の取り扱いが異なる
    2. 2017年度からは「スピンオフ税制」が適用されるように
  6. スピンオフの国内事例と海外事例
    1. 1.国内初のスピンオフ税制の適用/コシダカホールディングス
    2. 2.企業価値の向上を目指したスピンオフ/東芝
    3. 3.取引先や顧客を拡大するためのスピンオフ/PayPal
  7. スピンオフはあくまで経営戦略のひとつ
  8. スピンオフでよくある質問
    1. Q1.スピンオフ会社とはどういう意味?
    2. Q2.スピンオフとスピンアウトの違いは?
    3. Q3.スピンオフの具体例は?
    4. Q4.スピンオフの成功例を知りたい
    5. Q5.スピンオフのデメリットや問題点は?
    6. Q6.スピンアウトのデメリットは?
    7. Q7.スピンオフすると株価はどうなる?
    8. Q8.スピンオフの税金の仕組みは?
東芝は自社を3分割 ビジネスにおける「スピンオフ」って?
(画像=gustavofrazao/stock.adobe.com)

ビジネスにおける「スピンオフ」とは?

ビジネスシーンにおけるスピンオフ(spin-off)とは、以下の方法によって親会社から事業の一部、もしくは子会社を切り離すことである。

・事業の一部を切り離す場合…新設分割によって実施する
・子会社を切り離す場合…現物配当によって実施する

スピンオフが実施される目的はさまざまだが、基本的には肥大化したグループを再編するためや、ハイリスクな事業を独立させたい場合などに実施される。

そのほかのスピンオフの意味

スピンオフという言葉には、ほかにも次のような意味がある。

・技術転用としてのスピンオフ…特定の技術を他分野へ応用すること
・続編としてのスピンオフ…漫画や映画、テレビドラマなどの続編のこと

「技術転用」はビジネスとも関連がある意味合いだが、ビジネスシーンにおいて「スピンオフ」という言葉を用いる場合は、前述の子会社化(事業の切り離し)を指すケースが多い。本記事でも、これ以降は子会社化を意味するスピンオフについて解説する。