レベニューシェア型契約は選択肢のひとつ

最後に紹介した事例のように、レベニューシェア型契約はIT以外のビジネスにも広がりつつある。ただし、すべてのビジネスに適した契約ではないため、あくまで選択肢のひとつとして考えることが重要だ。

ほかの契約のメリット・デメリットとも比較しながら、それぞれのシーンに最適な契約を結ぶようにしよう。

レベニューシェアのよくある質問集

レベニューシェア型契約を結ぶ前には、契約の仕組みや特徴、メリット・デメリットを正しく理解する必要がある。あくまで選択肢の一つなので、自社の立場を踏まえてほかの契約と比較することが重要だ。

以下ではおさらいの意味も含めて、レベニューシェアのよくある質問集を紹介しよう。

Q1.レベニューシェアのやり方は?

一般的なレベニューシェア型契約は、以下のような流れで履行される。

  1. 双方が合意できる内容で契約を結ぶ
  2. 受注側が無償で開発や製造を進める
  3. システムやソフトウェア開発の場合は、保守作業まで請け負う
  4. 製品によって売上が生じると、依頼者から報酬が支払われる

無償で開発・製造を進めると、受注側は大きなリスクを抱えることになるため、売上に関わらず安価の報酬が支払われるケースもある。

Q2.レベニューシェアの具体例や成功例は?

レベニューシェア型契約は、アプリ開発やWebサイト制作、システム開発などのIT分野で多く活用されている。

近年の成功例としては、配信プラットフォームの切り抜き動画が挙げられる。例えば、有名なYouTube配信者の中には、他ユーザーによる動画の切り抜き行為やアップロードを公認し、切り抜き動画による収益を分配するような契約を結んでいる。

Q3.レベニューシェアのメリットとは?

レベニューシェア型契約のメリットは、契約を結ぶ立場によって異なる。

<発注側のメリット>
・初期費用の負担を軽減できる
・ビジネスチャンスを獲得しやすい
・事業失敗のリスクを抑えられる

<受注側のメリット>
・成約率が高い
・事業が成功すれば、安定的かつ長期的な収益を得られる
・高いモチベーションを維持しやすい

活用できる業種や業態は限られるが、いずれの立場でもビジネスチャンスにつなげやすい特徴がある。

Q4.レベニューシェアのデメリットとは?

レベニューシェア型契約のデメリットは、以下の通りである。

<発注側のデメリット>
・売上が増えるほどコストも増える
・コストの予測が難しい
・単独で意思決定を下せなくなる

<受注側のデメリット>
・コストを回収するまでの期間が長い
・初期費用を負担する必要がある
・期待した収益を得られないことも

発注側・受注側のいずれも「コスト」が障害となるため、将来的に回収できるかを慎重に判断する必要がある。

Q5.レベニューシェアの注意点は?

レベニューシェア型契約は、業務内容や責任の所在、契約期間などが曖昧になりやすい。双方に不満が生じない契約を結ぶには、契約書に以下の点を明記する必要がある。

・業務内容
・責任の所在
・報酬の割合
・発生するコストと負担割合
・契約期間

特にコストや分配する収益の範囲はトラブルになりやすいため、契約前に細かい部分まで話し合っておこう。

Q6.レベニューシェアの支払いは?

レベニューシェア型契約では、製作物によって収益が生じた場合に、その一部が発注者から受注者に支払われる。例えば、製作したECサイトで商品を売り上げた場合は、その売上を発注者・受注者で分配する形となる。

分配割合に関するルールは特に存在しないため、契約書の段階で明記しておくことが重要だ。

Q7.レベニューシェア金融とは?

レベニューシェア(revenue share)とは、製作物による収益を受注者・発注者で分配する成功報酬型の契約である。国内では「レベニューシェア型契約」と呼ばれており、「レベニューシェア金融」という用語はない。

主にIT分野で多く活用されており、例としてはアプリ開発やECサイト制作などが挙げられる。

Q8.レベニューシェアの類義語や言い換えは?

レベニューシェアの類義語としては、「アフィリエイト」が挙げられる。アフィリエイトは、個人ブログやウェブサイトなどに掲載する成功報酬型の広告であり、広告を通して商品・サービスが購入された場合に、その収益の一部が掲載者に支払われる。

なお、広告以外の方法(ECサイトや動画配信など)で収益が発生する契約は、アフィリエイトではなく「レベニューシェア型契約」と呼ばれる。

著:片山 雄平
1988年生まれのフリーライター兼編集者。2012年からフリーライターとして活動し、2015年には編集者として株式会社YOSCAに参画。金融やビジネス、資産運用系のジャンルを中心に、5,000本以上の執筆・編集経験を持つ。他にも中小企業への取材や他ライターのディレクション等、様々な形でコンテンツ制作に携わっている。
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