レベニューシェア型契約を成功させるポイント

ここからは、レベニューシェア型契約を成功させるために意識しておきたいポイントをまとめた。発注側・受注側のいずれにも重要なポイントなので、契約を結ぶ可能性がある企業はしっかりと確認しておこう。

1.役割分担や責任を明確にしておく

レベニューシェア型契約は受注側の負担が大きくなりやすいため、契約内容に曖昧な部分があると、思わぬトラブルに発展してしまうことがある。仲違いなどのトラブルが起きると、発注側・受注側のどちらにもデメリットしか残らないため、役割分担や責任の範囲は明確にしておくことが重要だ。

例えば、契約書に以下の内容を記載しておくと、費用面や報酬面などでトラブルが生じにくくなる。

・発生する費用の負担割合
・それぞれがどの業務を担当するか
・成果物の権利はどちらに帰属するか など

上記のほか「協力義務」や「契約解除規定」なども盛り込んでおくと、トラブル発生のリスクをさらに抑えられる。

2.信頼関係を結べるような契約内容にする

相手企業と長く付き合う可能性がある場合は、契約を通して信頼関係をしっかりと築くことが重要になる。本記事では一般的なレベニューシェア型契約の特徴を解説してきたが、結果的に信頼関係を構築できるのであれば、よく見られる形式にこだわる必要はない。

例えば、発注側・受注側が同じ額の初期費用を負担したり、発注側が月額費用を支払ったりすれば、リスクや負担のバランスを調整できる。発注側が有利になりやすい形態とは言え、対等な契約を結べないわけではないので、特に発注側は契約面で譲歩することも検討しよう。

3.配分率については慎重に話し合いを重ねる

レベニューシェア型契約のなかでも、特に「売上の配分率」は揉めやすいポイントだ。最適な配分率は事業内容によって変わってくるため、そもそも相場というものが存在しない。

したがって、配分率については両社が納得できるまで話し合うべきであり、可能であれば「再交渉の時期」についても決めておきたい。契約書に再交渉の時期を盛り込んでおけば、事業の状況が変わった場合に配分率を調整できるようになる。

レベニューシェア型契約の活用事例

レベニューシェア型契約はすでに多方面で活用されており、国内にも有名な事例がいくつか存在する。

特に有名なものとしては、近畿日本鉄道が運営する『あべのハルカス』と、情報サービス事業を営む『パナソニックIS』の契約が挙げられるだろう。どのような内容の契約を結んでいるのか、以下では両社が得られるメリットと合わせてまとめてみた。

レベニューシェアとは?

レベニューシェア型契約としてはよく見られる形であり、一見すると受注側のリスクがやや大きいように思える。しかし、パナソニックISはクラウド型のシステムを提供することで、運用コスト増大などのリスクを巧みに抑えている。

この事例と同じような工夫をすれば、配分率や費用の負担割合などを調整しなくても、受注側のリスクを抑えることが可能だ。ただし、提供する商品・サービスの内容を変える場合は、発注側からの了承を得る必要があるため、交渉や話し合いの場を設けることは必須となる。