この記事は2025年9月5日にSBI証券で公開された「NISA向き?配当利回り5%以上で、安定配当期待の11銘柄」を一部編集し、転載したものです。

NISA向き?配当利回り5%以上で、安定配当期待の11銘柄
(画像=SBI証券)

目次

  1. NISA向き?配当利回り5%以上で、安定配当期待の11銘柄
  2. 一部掲載銘柄を解説!
    1. バイタルケーエスケー・ホールディングス(3151)~東北と関西を地盤とする医薬品卸。DOEを引き上げ
    2. メイテックグループホールディングス(9744)~日本の製造業の「黒子」的存在?高い配当利回りを期待

NISA向き?配当利回り5%以上で、安定配当期待の11銘柄

近年、日本の上場企業では株主還元強化の動きが顕著です 。特に2022年以降、東証の市場区分変更や「資本コスト意識」の要請を受けて、配当方針の見直しが加速。有価証券報告書に配当性向やDOE(株主資本配当率)などの数値目標を明示する企業が増えています。

配当政策については、数値目標提示の増加のみならず、方針も多様化しつつあります。「配当性向のみ」から「総還元性向」や「DOE」との組み合わせ型が増加しているもようで、累進配当(前期以上の配当を保証)を採用する企業も増加しているようです。

そもそも、2024年から始まった新NISA制度は、配当重視の投資にとって有利な環境を提供していると言える面があります。通常、配当金には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座内で受け取る配当金は非課税です(※配当金の受け取り方を、株式数比例配分方式に選択する必要有)。

高配当株への投資はキャピタルゲインを獲得する上でも有効な面もあります。現在、日経平均株価やTOPIXが最高値から下落した水準に位置していますが、日経平均高配当株50指数は過去最高値を更新中です。

今回の「日本株投資戦略」では、5%以上という高配当利回り(東証プライム市場の予想配当利回りは9/3時点で2.49%)を期待できる一方で、具体的な配当政策を有し、減配リスクが限定的な銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。

①東証プライム市場上場
②3月決算銘柄
③9月に中間配当も実施
④会社予想年間1株配当金と終値(9/4時点)で計算される予想配当利回りが5%以上
⑤会社予想中間配当金と終値(9/4時点)で計算される予想配当利回りが、東証プライム市場の予想配当利回り2.49%(年間)より高い
⑥今期会社予想営業、経常、純利益がすべて黒字
⑦期初から会社予想営業、経常、純利益を下方修正していない
⑧配当政策にDOE(株主資本配当率)を採用
⑨取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く

紹介銘柄は上記の条件をすべて満たしています。掲載は、今期予想配当利回りの大きい順です。配当政策について、DOEを採用した場合、赤字等で株主資本が減少しない限り、配当を維持出来るため、減配リスクは相対的に小さくなると期待されます。

NISA向き?配当利回り5%以上で、安定配当期待の11銘柄 NISA向き?配当利回り5%以上で、安定配当期待の11銘柄
(画像=SBI証券)

一部掲載銘柄を解説!

バイタルケーエスケー・ホールディングス(3151)~東北と関西を地盤とする医薬品卸。DOEを引き上げ

■東北と関西を地盤とする医薬品卸

東北と関西を地盤とする医薬品卸。病院や薬局などに医薬品を供給しています。

東北や新潟で高シェアを占める「バイタルネット」と、近畿を中心に事業展開を行う「ケーエスケー」が2009年に経営統合し、誕生した企業です。

調剤薬局や介護など、医薬品卸以外の事業も手掛けており、全売上高(25.3期)の15%、営業利益(同)の8%を占めています。会社の長期目標では、医薬品卸売以外での事業拡大を掲げており、2035年度売上高構成比の20%、同営業利益構成比の40%が目標数値です。薬価改定による収益変動の抑制が期待されます。かつては2年に1度だった薬価改定が、近年では毎年実施されています。また、2025年度は約2,500億円の大規模な薬価引き下げが実施される予定です。

■新規事業開始し、減益見通し

今期は売上高6,200億円(前期比3.3%増)と増収ですが、営業利益51億円(同11%減)、経常利益60億円(同14%減)、純利益72億円(同2%減)と減益となる見通しです。今期(26.3期)から、未承認薬の導入支援を行う製薬事業がスタートし、研究開発費の計上が減益見通しの主因となった格好です。当面は営業利益を押し下げる前提で、長期的価値の向上を目指しています。

■今期から株主還元方針強化!DOE目標は2.0%以上→3.0%以上へ

25年4月に中期経営計画を発表。配当方針は、従来のDOE2.0%以上から3.0%以上に変更しました。安定的な配当実施が期待できる株主還元強化が行われたことで、今期(26.3期)最終利益は前期比減益ですが、1株当たりの配当金は、25.3期:45円から26.3期:68円まで増額となり、4期連続での増配実施予定です。

▽日足チャート(1年)

バイタルケーエスケー・ホールディングス(3151).png
(画像=SBI証券)

▽業績推移(百万円)

バイタルケーエスケー・ホールディングス(3151)
(画像=SBI証券)

メイテックグループホールディングス(9744)~日本の製造業の「黒子」的存在?高い配当利回りを期待

■ハイエンド技術者を正社員として雇用し、派遣

中核事業は、エンジニアリングソリューション事業で、売上高の99%、営業利益の97%(ともに25.3期)を占めています。エンジニアを正社員(25.4.1時点 12,714名)として雇用し、取引先企業(約4千社)へ派遣し、業務のアウトプット(成果)に応じて報酬を得るビジネスモデルです。

同事業の70%がハイエンド向け子会社の売上、27%がミドルエンド向け子会社の売上という構成です。主要取引先(25.3期)はデンソー、三菱重工業、ソニーセミコンダクタソリューションズ、ニコン、日立ハイテク、本田技研工業他、日本を代表する製造企業で、機械系、電気系が多いのが特徴です。

業績は好調。新型コロナ流行の影響が出た21.3期以降、22.3期から25.3期まで4期連続の増収増益となり、最高収益を更新しています。

26.3期は売上高1,373億円(前期比3%増)、営業利益197億円(同4%増)が会社計画。1Q(25.4~6月期)は売上高340億円(前年同期比3%増)、営業利益48億円(同2%増)とおおむね順調なスタートとなりました。主要顧客が次世代を見据えた研究開発投資を行っており、受注が増加しました。

■予想配当利回りは5%超

利益配分を行う前提条件は①充実した自己資本の質・量、②資金残高が売上予想の3ヵ月分となっています。有利子負債ゼロで自己資本比率52%、現金預金530億円(26.3期会社予想売上高1,373億円の4.6ヵ月分(いずれも25.3期末)等から、条件はクリアしているとみられます。

利益配分の形は、PBRが3倍を下回らない限り、配当を基本に考えていますので、PBRが5.8倍(9/4)の現状で今期は配当による利益配分になりそうです。総配分性向は100%以内が目安であり、今期予想EPS(1株利益)は173円。会社計画の年間1株配当は175円ですので、おおむね基本方針に沿った計画と言えそうです。

会社予想1株配当金175円、9/4終値3,324円から計算される配当利回りは5.26%と東証プライム市場の予想配当利回り2.47%を2倍超上回る「高配当利回り」が期待されています。

なお、予想配当の下限はDOE(自己資本配当率)5%で、前期末1株純資産631円で計算される31円は、今期予想1株配当の17%に過ぎません。DOEは、業績が急変した場合の「最後の防波堤」という位置付けになっているようです。

▽日足チャート(1年)

メイテックグループホールディングス(9744)
(画像=SBI証券)

▽業績推移(百万円)

メイテックグループホールディングス(9744)
(画像=SBI証券)

▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。

鈴木 英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長
・出身:東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味:ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技:どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物:サイゼリヤのごはん
・好きな場所:秋葉原(末広町)
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的な寄稿も多数