この記事は2022年5月11日(水)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「西原宏一氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。
2022年5月11日(水)の午前11時すぎに現役トレーダーの西原宏一さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。
西原宏一 青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラーなどを歴任後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。 |
現在の為替相場の傾向や相場観
2022年5月11日、水曜日。注目イベントは本日の米CPI。4月のCPIは前年同月比8.1%への鈍化が予想されている。ただFOMCはそれでも次回2回の会合で50bp(0.5%)の利上げを実行するだろうと、ブルームバーグエコノミクスは分析。
CPIの発表を控えて、今週の米ドル/円は調整モード。米系短期筋が米ドル/円の売りを仕掛け、一時129.79円付近まで急落。
しかし本邦輸入勢が129円台ではドル買いをしたという噂がマーケットで拡大しており、実際130円割れは短期に終わり、あっという間に130円ミドルまで反発。
仮にCPIの数字が予想より低ければ米ドル/円は再び130円を割り込む局面もあると想定しているが、米国のインフレが高止まりする公算が高く、「米金利高止まり=米ドル/円も堅調」という展開が続くと考えている。
現在の為替相場の戦略やスタンス
マーケットで注目されたのが、下記のブラックロックの報道。
ブラックロックは中国に関する強気スタンスを撤回した。新型コロナウイルス感染を封じ込めるためのロックダウン(都市封鎖)が中国の経済成長を脅かし、株価の大幅下落を引き起こしている。ブラックロック・インベストメント・インスティチュートのストラテジスト、ジャン・ボアバン氏らは9日(月)付のリポートで中国資産に関して、リスクを埋め合わせることができる魅力あるバリュエーションを踏まえて従来は「ややオーバーウエート」としていたと説明。だが今は、感染対策による打撃を反映し中国株・債券に中立的スタンスを推奨している。リポートは「感染抑制のための広範囲なロックダウンで中国の成長見通しが急速に悪化した」ことが変更理由だと説明。「ロックダウンは経済活動を抑制する見込みであり、中国の政策当局者は成長減速を予防するため緩和策を予告しているが、まだ行動は不十分だ」と指摘した。
(出所:ブルームバーグ)
ブラックロックは中国に対し強気で有名だったのだが、突然弱気になったことで注目されているわけだ。この中国に対する弱気な見通しの拡大が豪ドル/米ドルの上値を抑える要因となりそうなので、米ドル/円の押し目買い、豪ドル/米ドルの戻り売りスタンスで臨みたい。
▽米ドル/円の日足チャート
*:当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。