この記事は2022年5月6日にSBI証券で公開された≪米国株が乱高下!≫どうなる日本株!? 逆行高を目指せそうな好業績銘柄は?を一部編集し、転載したものです。
目次
米国株が乱高下!どうなる日本株?
5月6日(金)の東京市場は、落ち着いた値動きとなりました。しかし、足元のNYダウは乱高下しています。同月2日(月)、同月3日(火)に計151.58ドル上昇した後、同月4日(水)に932.27ドル高と大幅続伸しましたが、同月5日(木)には1,063.09ドル安と大幅反落し、直前3営業日の上昇をほぼ帳消しにしてしまいました。
同月4日(水)結果発表のFOMCで、FRBが、市場に根強かった次回6月会合における0.75%幅の利上げについて否定的な見方を示したことで、「本年最大の上げ」となりました。
しかし、同月5日(木)に原油先物(WTI)相場が4月18日(月)の短期的高値水準を突破してきたことや、労働生産性の低下を受け、「2020年6月11日(木)以来の大幅下落」となりました。インフレ指標の目立った低下が見られない限り、当面米国市場は不安定な状態が続きそうです。
ナスダック総合指数は5月5日(木)現在で、52週高値からの下落率が23%に達し、テクニカル上は「弱気相場」の形になっています。
今後注意すべきことは、米国の金融引き締めが強すぎて、景気後退に陥ることです。さらに、株価変動率の拡大自体が株式投資のリスク増大とみなされる可能性もあります。
一方、同月6日(金)の東京市場が、比較的落ち着いた動きになっているのは、同月5日(木)の米国主要株価指数終値が、前月末比ではほぼ横ばいとなったためと考えられます。
また、同月6日(金)は米雇用統計発表、同月9日(月)にはロシア「対独戦勝記念日」などの重要日程が控えており、今後も米国株を中心に海外市場が不安定なままの可能性があります。さらに、日本でも決算発表が佳境に入り、目を離せない材料が多く、東京市場でも神経質な展開が続きそうです。
このような中、物色対象についてはどう考えればよいでしょうか。
東京株式市場では、3月決算企業の決算発表が本格化し始めており、決算内容や新たに公表される業績予想の数字をみて、個別に反応する展開になっています。インフレ・金利上昇懸念や、混迷するウクライナ情勢等、外部環境は確かに厳しいとみられます。
しかし、市場の期待に応えた決算数字や、市場の期待を上回る業績見通しを発表する企業も散見され、好決算企業の中には、株価が上昇する銘柄も見受けられます。
そこで、今回の「日本株投資戦略」では、4月末までに決算発表を実施した3月決算企業を対象に、好決算銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。
逆行高を目指せそうな好業績銘柄は?
それではさっそく、好業績銘柄のスクリーニングを行いたいと思います。条件は以下の通りです。
(1)東証上場銘柄
(2)時価総額1千億円超
(3)4月末までに決算発表を実施した3月決算企業
(4)2022/3期の営業利益が事前の会社予想営業利益を上回っていること
(5)2023/3期の会社予想営業利益が事前の市場予想営業利益を上回っていること
(6)2023/3期の会社予想営業利益が2022/3期実績に対して増益の見込み
図表の銘柄は、(1)~(6)のすべてを満たしており、会社予想営業増益率が高い順です。営業利益を簡単に説明すると「本業のもうけを示す利益」であり、企業業績の「実力」を示していると考えられます。
富士通(6702)
4月28日(木)に決算を発表し、2022年3月期の営業利益が2,192億円(前期比17.7%減)となり、3月8日(火)に発表された業績予想下方修正後の会社予想営業利益である2,100億円を上回った形です。
新たに発表された2023年3月期の会社予想営業利益は4,000億円(前期比82.5%増)と、市場コンセンサス(3,332億円)を上回りました。早期退職募集の影響で人件費の減少が見込まれることに加え、海外拠点を活用した効率化でITシステム開発の採算向上が予想されるようです。
市場の驚きとなったのは、自己株式を除く発行済み株式総数の6.11%に相当する1,200万株を上限に自社株買いを発表したことです。決算発表日の終値は1万8,685円でしたが、5月2日(月)には一時、2万0,670円まで上昇するなど、決算発表後の上昇ぶりが目立つ銘柄となりました。
アルプスアルパイン(6770)
4月28日(木)に決算を発表し、2022年3月期の営業利益が352億円(前期比168.6%増)となり、事前の会社予想営業利益は、1月28日(金)の業績予想上方修正後の305億円を大きく上回りました。
スマホやゲーム機向けの振動部品が好調でした。原材料費・物流費の上昇が100億円ありましたが、吸収する形となりました。新たに発表された2023年3月期の会社予想営業利益は475億円(前期比34.9%増)であり、市場コンセンサス(404億円)を上回りました。
発行済み株式総数の1.21%に相当する250万株を上限に自社株買いも発表しています。決算発表日の終値は1,155円でしたが、5月2日(月)には一時、1,324円まで上昇しています。
アマノ(6436)
4月26日(火)に決算を発表し、2022年3月期の営業利益が128億円(前期比29.8%増)となり、事前の会社予想営業利益125億円を上回りました。働き方改革やテレワークの普及に伴い、就労管理システムの販売が伸びました。2023年3月期の会社予想営業利益は165億円(前期比28%増)であり、市場コンセンサス(154億円)を上回りました。
発行済み株式総数の1.35%に相当する100万株を上限に、自社株買いも発表しています。決算発表日の終値は2,183円でしたが、5月2日(月)には一時、2,543円まで上昇しています。
富士電機(6504)
4月28日(木)に決算を発表し、2022年3月期の営業利益が748億円(前期比54%増)となり、事前の会社予想営業利益720億円を上回りました。
旺盛な需要に対応してパワー半導体の生産能力増強を前倒ししたことや、設計変更等により代替え部材に対応して部材調達難を吸収できたことなどが貢献しました。新たに発表された2023年3月期の会社予想営業利益は820億円(前期比9.6%増)であり、市場コンセンサス(818億円)をわずかですが上回りました。
村田製作所(6981)
4月28日(木)に決算を発表し、2022年3月期の営業利益が4,240億円(前期比35.4%増)となり、事前の会社予想営業利益4,100億円を上回りました。主力の積層セラミックコンデンサー(MLCC)や圧電製品など幅広い電子部品が好調でした。
新たに発表された2023年3月期の会社予想営業利益は4,400億円(前期比3.8%増)であり、市場コンセンサス(4,346億円)を上回っています。5G向けのスマホや自動車向けに電子部品が伸びる見込みです。
発行行済み株式総数の2.5%に相当する1,600万株を上限に自社株買いも発表しています。決算発表日の終値は7,794円でしたが、5月2日(月)には一時、8,391円まで上昇しています。
光電気工業(6967)
2022年3月期は、主力のクリップチップタイプパッケージが好調で大幅増益となりました。増産投資をテコに2023年3月期は前期比19.1%の営業増益を見込みます。
日本ガイシ(5333)
自動車の回復で排ガス浄化用セラミックスが伸びた他、半導体製造装置向け部品が好調でした。
コメリ(8218)
2023年3月期に32店舗の新規出店と、10万坪の既存店改装を計画しています。あわせて、発行済み株式数の1.1%を上限とする自社株買いも発表しています。
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