この記事は2022年4月15日にSBI証券で公開された<大幅増益銘柄ランキング>好業績・上方修正、株価上昇期待の銘柄は?を一部編集し、転載したものです。
米国市場では、2022年4月13日(水)、翌14日(木)と大手銀行が決算発表を実施し、いよいよ2022年1月~3月期の決算発表シーズンが幕を開けました。日本でも4月下旬以降、3月本決算銘柄の決算発表が本格化する運びです。
ここでは、2月決算の発表を振り返るとともに、発表が迫ってきた3月決算銘柄について、好業績・業績予想上方修正、株価上昇等が期待できる銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。
2月決算銘柄の決算発表が一巡~大幅増益予想銘柄をランキング
米国市場では、4月13日(水)にJPモルガン・チェース・アンド・カンパニー、翌14日(木)にシティグループ、ゴールドマン・サックス・グループほかの企業が決算発表を実施し、いよいよ2022年1月~3月期の決算発表シーズンが幕を開けました。
日本でも4月下旬以降、3月本決算銘柄の決算発表が本格化する運びです。ただ、2月決算企業はひと足早く、決算発表シーズンを迎え、4月14日(木)には144社の決算発表がありました。日本もすでに、決算発表シーズンを迎えているといえるでしょう。
2月決算で時価総額1,000億円以上の主力企業について集計(試算)すると、2022年2月期の営業利益は前期比18%増となった模様です。
また、2023年2月期の営業利益は13%増の見込み(会社予想ベース)です。市場コンセンサスのある銘柄だけでの比較では、2022年2月期の営業利益は市場コンセンサスに対しマイナス3%、2023年2月期の会社予想営業利益は市場コンセンサスに対しマイナス5%弱と試算されます。
小売企業を主体とする2月決算企業については、増益傾向が続いているものの、やや市場の期待を下回っているケースが多いようです。
ただ、逆に市場の期待を上回っている銘柄は、株価も堅調となっています。
図表1は、2月決算銘柄のうち、時価総額1,000億円以上の企業で、2022年2月期営業利益の実績、および2023期会社予想営業利益がともに、事前の市場コンセンサス(Bloomberg集計)を上回った企業です。ここでは、後者の予想増益率が大きい順にランキングにしました。
決算発表日から4月14日(木)までの株価騰落率をみると、しまむら(8227)がプラス7.6%、ローツェ(6323)がプラス21.4%、ベルシステム24ホールディングス(6183)がプラス5.6%といずれも株価が上昇となりました。4月14日(木)に決算発表のディップ(2379)は、4月15日(金)の東証プライム市場値上がり率上位に顔を出しています。
これらの銘柄は今後も、市場での物色対象になる可能性もありそうです。ウクライナ問題やインフレ・金利上昇懸念を背景に、株式市場自体は不安定な状態が続きそうですが、株式市場全般が下がっているときに押し目を拾う対象として考えてよいかもしれません。
3月決算、3Q大幅増益ランキング
上方修正・好決算、株価上昇が期待できる銘柄は?
さて、日本でも4月下旬以降、3月本決算銘柄の決算発表が本格化してくる予定です。
4月15日(金)現在の発表スケジュール(SBI証券Webサイト参照)をみると、発表予定社数は4月28日(木)に246社と最初のヤマ場を迎え、5月9日(月)~5月16日(月)は毎日3桁以上社数の発表が続く予定です。
5月13日(金)は最大のヤマ場となり、1,281社が発表する見込みです。おもな企業では、トヨタ(7203)が5月11日(水)、ソフトバンクグループ(9984)が5月12日(木)の予定です。
決算発表を控え、どのような銘柄が注目されるでしょうか。前項でご説明した通り、決算発表を経て、利益実績、会社予想営業利益がともに市場予想を上回るような銘柄の株価が上昇する可能性が大きそうです。そこで、「日本株投資戦略」では以下のようなスクリーニングを行ってみました。
1:東証に上場している時価総額(4月13日現在)1,000億円超の銘柄であること
2:2名以上のアナリストが業績予想を公開している銘柄であること
3:3月決算銘柄であること
4:2021年4月~12月期累計営業利益が前年同期比で20%以上の増益になっていること
5:2021年4月~12月期累計営業増益率が2022年3月期市場予想(Bloomberg集計)営業増益率を10%以上の差で上回っていること
6:2023年3月期市場予想営業利益が、2022年3月期市場予想営業利益に対し10%超の増益予想となっている銘柄であること
7:2022年3月期市場予想EPSが過去4週間で上昇している銘柄であること
8:2021年4月~12月期累計営業利益の2022年3月期市場予想に対する進捗率が、前年同期に対して改善していること
9:上記「8」を満たしていない場合、2021年4月~12月期累計営業利益増加額(前年同期比)が、2022年3月期(通期)の市場予想営業利益増加額を上回っていること
図表2の銘柄は、これらすべての条件を満たし、2021年4月~12月期累計営業増益率が高い順でランキングされています。
「日本株投資戦略」では、これらの銘柄は、2022年3月期決算で市場の期待を上回る決算となり、株価が上昇する可能性が大きいとみています。
ただ、業績予想について、読み切ることが難しいのが会社予想業績です。合理的に予想された通りに、会社側が予想を出してくれるとは限らず、市場予想と比べ過度に楽観的であったり、過度に保守的であったり等、会社ごとにクセがあるように思われます。
インフレや金利上昇に対する不透明感が強く、ウクライナ情勢の予想も難しい事業環境下において、企業の2023年3月期の業績予想が保守的になり、市場の事前予想を下回ってくるケースも少なくないと予想されるので、その点は注意が必要です。
日本電子(6951)
半導体向けマルチビーム描画装置で今後市場をリードか?
電子顕微鏡のほか、分析機器、医療機器、産業用機器などの製造・販売・開発・研究などを手掛けています。なお、半導体回路の原板であるフォトマスクに微細な回路パターンを描写する電子ビーム描画装置の分野では、これまで1本の電子ビームを使っていたのに対し、同社の装置は26万本の電子ビームで一気に描画することができます。
世界で独占的な露光装置(ステッパー)のシェアをもつASML社の装置を使う際にも、同社の電子ビーム描画装置が不可欠な存在と言われています。このため、同社の業績はASML社の露光装置の販売増加に連動して成長することが期待されています。
SBI証券 企業調査部も同社をカバーしています。2月22日(火)付のレポートでは、予想営業利益は2022年3月期131億円から、2023年3月期は185億円、2024年3月期は227億円と拡大の予想です。
株式市場全般のグロース銘柄の調整もあり、当社株も大きく下げてきました。SBI証券企業調査部でも、妥当な予想PERを引き上げたため、目標株価は1万2,000円から9,500円に引き下げられています。
それでも、時価は目標株価を大きく下回っています。決算発表で好業績を確認することができれば、株価底打ちから反転を期待することもできそうです。
▽日本電子株式会社の値動き
*期間:2021年10月21日~2022年4月15日15時時点(日足)
*当社チャートツールを用いてSBI証券が作成
*上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
富士電機(6504)
パワー半導体で成長。「カーボン・ニュートラル」の流れも追い風か?
1923年に古河電気工業(5801)と独シーメンスの合弁企業として設立されました。電気エネルギーを効率的に使うパワーエレクトロニクスが当社の技術的基盤です。一般産業向けに広く普及するパワー半導体の他、プリンタに使われる感光体、HDDを構成するメディア媒体、自動販売機、コーヒーマシンなど広範囲にわたる製品を開発し、販売しています。
2021年3月期の売上高は8,759億円(前期比2.7%減)と伸びませんでしたが、営業利益485億円(同14.3%増)、純利益419億円(同45.6%増)と最高益を更新しました。このうち、売上高1,575億円、営業利益177億円を確保した半導体事業がけん引役となっています。
2022年3月期・第3四半期は売上高6,199億円弱(前年同期比10.5%増)、営業利益326億円(同132.1%増)。通期の会社予想営業利益は720億円(前期比48.2%増)ですが、市場では733億円前後を見込んでいます。
半導体事業の中心はパワー半導体です。これは高い電圧を扱うことができる半導体で、発熱・破損しやすい分、電力損失を少なくすることが求められるのが特徴で、パワー半導体の使用により、エアコンの消費電力は10年で40%減少したと言われます。
なお、パワー半導体の世界トップ企業は独インフィニオンテクノロジーで、国内では三菱電機がトップ、同社は第5位とされています。
EV(電気自動車)やハイブリット車では、ガソリン車に対して数倍から10倍程度のパワー半導体が必要になると言われており、今後も市場は拡大し、同社業績も成長しそうです。
SBI証券 企業調査部も同社をカバーしています。3月3日(木)付のレポートでは、予想営業利益は2022年3月期の725億円から、2023年3月期は808億円、2024年3月期は907億円と拡大の見込みです。同レポートでの目標株価は7,100円で、投資判断は「買い」と評価しています。
▽富士電機株式会社の値動き
*期間:2021年10月21日~2022年4月15日15時時点(日足)
*当社チャートツールを用いてSBI証券が作成
*上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
▽当記事の内容について、著者が動画で詳しい解説を行っています。あわせてご視聴ください。