この記事は2022年3月18日にSBI証券で公開された「<3月株主優待銘柄>10万円未満で買え、好配当も期待の20銘柄は?」を一部編集し、転載したものです。


株主優待
(画像=PIXTA)

東京株式市場が落ち着きを取り戻してきました。ロシアとウクライナの停戦に向けた動きに期待感が強まってきたことや、FOMC(現地時間2022年3月15日~同月16日)が大過なく終わったこと、中国が経済や市場の活性化策を検討し始めたことなどが要因と考えられます。

「3月末に権利が確定する配当・株主優待実施銘柄」の権利付最終日まで、東京株式市場の残る営業日はあとわずかです。

今回は、3月末に配当と株主優待の両方を実施する予定の銘柄について検討し、総合的に株主還元の魅力度が高いと考えられる銘柄を抽出してみたいと思います。

目次

  1. 10万円未満で買える好配当期待の20銘柄
  2. 「3月株主優待銘柄」のご紹介
    1. TOKAIホールディングス ―― エネルギーや情報サービスなどに展開
    2. シード ―― コンタクトレンズ大手、海外にも展開

10万円未満で買える好配当期待の20銘柄

東京株式市場が落ち着きを取り戻してきました。日経平均株価は2022年3月14日(月)から18日(金)にかけて5営業日続伸となり、3月9日(水)の安値からすると、2,000円以上の上昇になりました。

ロシアとウクライナの停戦に向けた動きに期待感が強まってきたことや、FOMCが大過なく終わったこと、中国が経済や市場の活性化策を検討し始めたこと等が要因と考えられます。

現地時間3月17日(木)には、複数の債券保有者により、ロシアからのドルでの利払いが確認されたと報道され、ロシアのデフォルトが当面回避されたとみられることから、さらに安心感が強まっています。

そうした中、東京株式市場では、3月相場が後半戦に突入しました。「3月に権利が確定する配当・株主優待実施銘柄」のほとんどが3月29日(火)を権利付最終日としています。

そこまでの残る営業日はあとわずかです。そこで、3月29日が権利付最終日で、配当と株主優待の両方を実施する予定の銘柄について検討し、総合的に株主還元の魅力度が高いと考えられる銘柄を抽出してみたいと思います。

以下、すべての条件を満たす銘柄を、SBI証券株主優待検索ページで閲覧回数の多い順(3月17日時点)に20銘柄並べたものが下図です。

1:東証1部上場銘柄(証券は除く)
2:3月30日に株主優待の権利確定を予定している3月末決算銘柄である
3:株主優待の権利獲得に必要な最低投資金額が10万円未満の銘柄である
4:3月17日(木)までの10営業日で、1営業日あたりの最低売買高が1万株以上ある
5:株主優待の権利確保に必要な最短保有期間の条件がない
6:継続企業の前提に疑義が生じている銘柄でない
7:2021年4月~12月期の営業損益(同勘定項目がない場合は最終損益)が黒字
8:株主優待の内容がクオカード等金券の場合、1,000円以上、お米券の場合2kg分以上
9:年間予想配当利回りが東証1部市場の予想配当利回り(3月17日現在2.21%)以上である

今回は、配当と株主優待の両方を実施する予定の銘柄を分析対象としており、現物株での投資を前提に検討しております。

配当や株主優待の権利確定の際には、配当落ちや権利落ちにご注意ください。また、信用取引を活用した「つなぎ売り」をした場合、株主優待の権利確保でリスクを下げるメリットが期待できる一方で、実質的に配当を受け取れなくなるというデメリットがあります。これらを含めて下記注意事項に十分ご注意ください。

今回のスクリーニングでは、上記の3にあるように、株主優待の権利獲得に必要な最低投資金額が10万円未満の銘柄に絞っていますので、投資金額(予算)が100万円でも最低10銘柄(諸コスト未考慮)に分散投資することができます。これにより、業績変動等による株価変動リスクにも相当対応できると考えられます。

配当落ち・権利落ちに関するご注意
3月29日(火)が権利付最終日の場合、3月30日(水)以降に買い付けても、配当および株主優待の権利を確保することはできませんので、ご注意ください。
また、権利付最終日に優待実施銘柄を買い、権利落ち日に売ることで、効率よく株主優待の権利獲得を考える投資家の方もいらっしゃると想定します。ここで注意すべき点は、買い付ける時の株価が予想外に高くなったり、売る時の株価が予想外に安くなったりなど、相当額の売却損がでてしまうケースです。配当取りも同様で、権利落ち日には配当実施分だけ株価が下がることが多いです。ノーコスト・ノーリスクで株主優待や配当を享受することは難しいと考えられます。

つなぎ売りのメリット・デメリットについて
コストやリスクを軽減して、株主優待の権利を確保できる可能性のある方法が「つなぎ売り」を活用した取引です。「つなぎ売り」で株主優待をお得に活用する方法については、SBI証券のWebページでご紹介していますので、ご参考ください。ただ、「つなぎ売り」をした場合、信用取引の「売り」により、配当調整金を支払う必要が出て、実質的に配当を受け取れなくなるなど、重要な注意点(下記の注意点も御参照ください)もあります。メリットとデメリットを十分理解した上でのご利用をお願い申し上げます。

つなぎ売りを利用した場合の「配当金(現物と信用)受け払いの差額」について
権利付き最終日の大引け時点でつなぎ売りをしている場合、現物については税金が差し引かれた配当金(配当金の約80%)を受け取り、一般信用売り建玉については配当落ち調整(配当金の100%)金をお支払いいただきます。したがって、配当金の約20%の差額をお客さまにご負担いただくことになります。

*:現物株式の配当金は、源泉税(20.315%)が差し引かれた金額で支払われます
*:一般信用売り取引の場合は、配当落ち調整金として配当金の100%をお支払いいただきます
*:権利付き最終売買日と権利落ち日をまたいで信用売建玉がある場合、権利落ち日に予想配当金相当額(予定配当調整金)をあらかじめ委託保証金現金から拘束させていただき、配当金が確定後に拘束金から支払いを行います。信用売建玉に対する支払予定配当金相当額合計(予定配当調整金合計)は、「口座管理」>「信用建余力」>「建余力・追加保証金」の「増担保・配当調整金」に表示させていただいております

0万円未満で買え、好配当も期待の20銘柄 0万円未満で買え、好配当も期待の20銘柄 0万円未満で買え、好配当も期待の20銘柄
(画像=SBI証券)

「3月株主優待銘柄」のご紹介

ここでは、上の表でご紹介した銘柄の一部について、業務内容や株主優待 内容を中心に、コメントを掲載します。

TOKAIホールディングス ―― エネルギーや情報サービスなどに展開

グループで、LPガス販売や情報通信サービスなど数多くの事業を手掛けています。売上構成比(2021年3月期)は、エネルギー39%、建築設備不動産12%、CATV17%、情報通信26%、アクア4%ほかとなっています。

エネルギー事業では、LPガス小売事業が国内大手です。また、電力小売事業では東京電力HDと業務提携しています。M&A投資枠を設けて積極的に実行し、顧客基盤の拡大を図っています。

1月27日(木)に2022年3月期4月~12月期業績を発表しました。売上高は1,494億円(前期比6.9%増)、営業利益が92.4億円(同6.6%減)でした。主力のエネルギー事業では、顧客増と 販売価格上昇(仕入価格に連増)により 、増収を確保したものの、顧客獲得コストの増加で減益になりました。

2022年3月期(通期)は売上高2,070億円(前期比5.2%増)、営業利益152億円(同0.1%増)の計画です。2021年9月期末に1株15円の配当を実施済みで、2022年3月期末には同15円、年間では計30円の配当を計画しています。3月17日(木)株価894円に対する予想配当利回りは3.36%と計算されます。

3月29日(火)に100株以上を保有する投資家に対しては、下記のいずれかが贈呈される予定です。

  • 天然水(500ml入)12本
  • 天然水宅配サービス(12L入)1本
  • クオカード500円相当
  • 自社グループ食事券1,000円相当
  • 自社グループ会員サービスポイント1,000ポイント付与
  • 自社モバイルデータ通信サービス利用料割引(350円割引×6カ月分)

これらは、300株以上の保有、または5,000株以上の保有でさらに高額の贈呈になる予定です。

なお、100株以上を保有する投資家に対してはさらに、自社グループ結婚式場婚礼10%割引券と、自社グループ食事20%割引券12枚も贈呈される計画です。

▽株式会社TOKAIホールディングスの値動き

TOKAIホールディングス(3167)
(画像=SBI証券)

*:期間 2021年9月22日~2022年3月18日11時30分時点(日足)
*:当社チャートツールを用いてSBI証券が作成
*:上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

シード ―― コンタクトレンズ大手、海外にも展開

コンタクトレンズの研究開発および製造販売を中心に展開し、それに関連したところで、コンタクトレンズケア用品、眼鏡フレームおよび眼鏡備品などを展開しています。

国内コンタクトレンズメーカー市場では、メニコンに次ぎ市場シェアで第2位の大手企業となっています。

コンタクトレンズ事業は主力の一日使い捨てタイプを中心にきめ細かな製品をラインナップしています。海外事業はアジア地域、ヨーロッパ地域を中心に40以上の国と地域に展開しています。

2月10日(木)に2022年3月期4月~12月期業績を発表しました。売上高は213.8億円(前期比0.9%増)、営業利益が9.67億円(同30.4%減)でした。新型コロナウイルスの感染拡大は在宅勤務の定着やマスク着用によるメイク機会の減少をもたらし、当社業績にも逆風となりました。

2022月3月期(通期)は売上高295億円(前期比3.1%増)、営業利益12.5億円(同4.6%増)が会社計画です。

■株主優待は自社商品セット等3つから選択

2022年3月期(通期)は上期配当はなく、2022年3月期末に1株12円の配当を計画しています。3月17日(木)の株価506円に対する予想配当利回りは2.37%と計算されます。

3月29日(火)に100株以上を保有する投資家に対しては、下記のいずれかが贈呈される予定です。

  • 株主優待券
  • 1万円相当の自社商品セット(コンタクトケア用品)
  • 優待1,000ポイント

「株主優待権」は全国の対象施設で利用可能で、コンタクトレンズは優待特別価格販売、メガネは30%割引(割引限度額1万円)になります。

また、「優待1,000ポイント」はポイントに応じて地方名産品・クオカード・寄付と交換が可能です。1ポイントで1円相当になります。1,000株以上の保有で3,000ポイント、3,000株以上の保有で4,000ポイントの贈呈になる予定です。また、3年以上継続保有の株主には、さらにポイントの増額がある予定です。

▽株式会社シードの値動き

シード(7743)
(画像=SBI証券)

*:期間 2021年9月22日~2022年3月18日11時30分時点(日足)
*:当社チャートツールを用いてSBI証券が作成
*:上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

▽当記事の内容について、著者が動画で詳しい解説を行っています。あわせてご視聴ください。

鈴木 英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長
・出身:東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味:ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技:どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物:サイゼリヤのごはん
・好きな場所:秋葉原(末広町)
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的な寄稿も多数