この記事は2022年3月4日にSBI証券で公開された「<「日本株投資戦略」特選>20万円未満で買える『3月株主優待銘柄』はコチラ!?」を一部編集し、転載したものです。


SBI日本投資戦略
(画像=PIXTA)

ウクライナ情勢がさらに混迷の度を深めています。3月4日(金)の日経平均株価は、再び安値が2万6,000円を割り込む波乱の展開になっています。今後も東京株式市場は、ウクライナ・ロシアを中心に国際情勢を横目に見ながら、神経質な展開が続くと予想されます。

投資家に気をつけていただきたいことは、国際情勢だけとは限りません。3月は多くの企業にとって年度末となり、株主優待や配当の権利が確定する季節になります。3月相場を迎えたこともあり、権利が確定する株主優待銘柄について、改めて考え、情報提供することにしました。

目次

  1. 20万円未満で買える「3月株主優待銘柄」
  2. 「3月株主優待銘柄」のご紹介
    1. フランスベッド株式会社
    2. ジェイ エフ イー ホールディングス株式会社

20万円未満で買える「3月株主優待銘柄」

ウクライナ情勢がさらに混迷の度を深めています。日本時間2022年3月4日(金)の午前には、ロシア軍がウクライナにある「欧州最大(世界で3番目)の原子力発電所」といわれる「サポロジェ原子力発電所」を攻撃し、火災が発生しているとの報道がありました。

報道があった日の日経平均株価は再び安値が2万6,000円を割り込む波乱の展開になっています。東京株式市場は、ウクライナ・ロシアを中心に国際情勢を横目に見ながら、神経質な展開が続くと予想されます。

しかし、投資家が気を付けなければならないのは、国際情勢だけとは限りません。3月は多くの企業にとって年度末となり、株主優待や配当の権利が確定する季節になります。「株主優待や配当を享受しながら、中長期的にパフォーマンス向上を図りたい」と考えている投資家の多くにとって3月は、投資方針を見直す大切な月といえるかもしれません。

なお、「3月に権利が確定する株主優待銘柄」のほとんどが3月29日(火)を権利付最終日としています。3月30日(水)以降に買い付けができても、配当および株主優待の権利を確保することはできませんので、ご注意ください。

また、権利付最終日に優待実施銘柄を買い、権利落ち日に売ることで、効率よく株主優待の権利獲得を考える投資家もいらっしゃるのではないでしょうか。ここで注意すべき点は、買い付ける時の株価が予想外に高くなったり、売る時の株価が予想外に安くなったりなど、相当額の売却損がでてしまうケースです。

配当取りも同様で、権利落ち日には配当実施分だけ株価が下がることが多いです。ノーコスト・ノーリスクで株主優待や配当を享受することは難しいでしょう。それでも、コストやリスクを軽減して、株主優待の権利を確保する方法はあります。

それは「つなぎ売り」を活用した取引です。「つなぎ売り」で株主優待をお得に活用する方法については、SBI証券のウェブページで紹介していますので、ご参考ください。

参考:SBI証券>『つなぎ売り』をマスターして、株主優待を「お得に」活用しよう!

しかし、「つなぎ売り」をした場合、信用取引の「売り」により、配当調整金を支払う必要がでて、実質的に配当を受け取れなくなるなど、重要な注意点(*)があります。メリットとデメリットを十分理解した上でのご利用をお願い申し上げます。

*:配当金(現物と信用)受払いの差額
1:権利付き最終日の大引け時点でつなぎ売りをしている場合、現物については税金が差し引かれた配当金(配当金の約80%)を受取り、一般信用売り建玉については配当落ち調整(配当金の100%)金をお支払いいただきます。したがいまして、配当金の約20%の差額をお客さまにご負担いただくことになります
2:現物株式の配当金は、源泉税(20.315%)が差し引かれた金額で支払われます
3:一般信用売り取引の場合は、配当落ち調整金として配当金の100%をお支払いいただきます
4:権利付き最終売買日と権利落ち日をまたいで信用売建玉がある場合、権利落ち日に予想配当金相当額(予定配当調整金)をあらかじめ委託保証金現金から拘束させていただき、配当金が確定後に拘束金から支払いを行います。信用売建玉に対する支払予定配当金相当額合計(予定配当調整金合計)は、「口座管理」>「信用建余力」>「建余力・追加保証金」の「増担保・配当調整金」に表示させていただいております。

今回はつなぎ売りもできる銘柄を対象に、3月優待銘柄を抽出しました。以下、すべての条件を満たす銘柄をSBI証券株主優待検索ページで、閲覧回数の多い順(2022年3月3日時点)に並べたものが下の図表です。

1:東証上場銘柄(銀行、証券、保険などの金融業は除く)
2:3月に株主優待の権利確定を予定している3月決算銘柄であること
3:株主優待の権利獲得に必要な最低投資金額が20万円未満の銘柄であること
4:SBI証券の株主優待検索機能で「一般信用売り」対象銘柄であること
5:3月3日(木)までの10営業日で、1営業日あたりの最低売買高が1万株以上あること
6:株主優待の権利確保に必要な最短保有期間の条件がないこと
7:継続企業の前提に疑義が生じている銘柄でないこと
8:2021年4月~12月期の営業損益および純損益が黒字で、2022年3期(通期)の会社予想営業損益・純損益も黒字の銘柄であること
9:株主優待の権利を享受できる株主が、実質的・地域的に大きく制限されていないこと
10:株主優待の内容が金銭換算可能な銘柄の場合は500円超となること(金額換算不可の優待内容の銘柄掲載あり)
11:3月期末に配当実施を計画している銘柄であること

▽20万円未満で買える「3月株主優待銘柄」

20万円未満で買える「3月株主優待銘柄」 20万円未満で買える「3月株主優待銘柄」
(画像=SBI証券)

「3月株主優待銘柄」のご紹介

ここでは、上の図表でご紹介した銘柄の一部について、業務内容や株主優待内中心に紹介します。

フランスベッド株式会社

介護用ベッド、インテリア家具などの製造販売

フランスベッド株式会社は介護用ベッド、インテリア家具などの製造販売を行っています。売上高(2022年3期・第3四半期累計)の63%を占める「メディカルサービス事業」では、介護・医療施設向けの療養ベッドや車いすなど福祉用具を製造・販売をしています。

この事業では介護福祉用具を「必要な期間だけレンタルする」という、国内初となる試みを展開しています。また「インテリア健康事業」では、家庭用のベッド、ソファなどのインテリア家具、寝具類などを製造販売しています。

「メディカルサービス事業」は、製品を単に販売するのみではなく、個人と長期的契約する部分もあり、ストック型ビジネスとして、安定した収益の確保が可能になっています。

2022年3期第3四半期決算では売上高396億円(前年同期比4.4%増)、経常利益30.2億円(同19.3%増)と好調です。新型コロナウイルスの拡大もあり、在宅介護需要が高まっているようです。

今期は上半期に1株15円の配当を実施し、下半期は15円、通期では30円の1株配当を実施する予定です。3月29日(火)に200株以上を保有する株主に対し、3,000円相当の自社グループ製品が贈呈される予定です。

株主優待に必要な最低投資単位は200株ですが、同投資金額は20万円未満(手数料等の諸コストは未考慮)のため、図表 - 1に掲載となりました。

さらに、1年以上5年未満継続保有の場合、株主専用サイトにて1万円分の利用券または自社グループ優待品、5年以上継続保有の場合は株主専用サイトにて1万5,000円分の利用券または自社グループ優待品との交換が可能です。また、社会福祉団体への寄付も選択可能になっています。

▽フランスベッド株式会社の値動き

フランスベッド(7840)
(画像=SBI証券)

*期間:2021年9月7日~2022年3月4日13時時点(日足)
*当社チャートツールを用いてSBI証券が作成
*上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

ジェイ エフ イー ホールディングス株式会社

予想配当利回りは8%弱、インフレ・金利上昇にも強いバリュー銘柄

ジェイ エフ イー ホールディングス株式会社は、粗鋼生産量で国内第2位の高炉メーカーです。鉄鉱石を原料に、鉄鋼製品を生産する「鉄鋼事業」が主事業です。

鉄鉱石や原料炭の価格などが上昇傾向ですが、大口需要家向け長期契約に関する「ヒモ付き価格」の引き上げや早期価格転嫁の交渉を進めたことで利幅が拡大し、業績は改善傾向です。第3四半期(10~12月期)の経常利益1,106億円(同2.2倍)は改善傾向を維持しています。

時価総額(3月3日)を「親会社所有者に帰属する持分」で割ったPBRは0.6倍(第3四半期末・実績)を割り込み、会社予想EPSに対するPERも4倍を割り込んでおり、典型的なバリュー銘柄と見受けられます。

このため、今後金利が全般的に上昇し、バリュー銘柄優位の投資環境になった場合、相対的に有利な投資環境が長期化するかもしれません。さらに、東証33業種の中で「鉄鋼」は、CRB商品先物指数との相関係数も上位から5番目で、インフレ圧力にも強い銘柄と考えられます。

業績改善を受け、会社側は2月8日(火)付で、上半期の1株60円に続き、下半期に同80円、通期で140円とする配当計画を発表しています。予想配当利回りは会社計画でも8%弱となる見込みとなっています。

3月29日(火)に100株以上を保有する株主に対し、抽選で自社グループの工場見学に招待する計画です。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることもあり、中止されることもある(2021年は中止)ので、十分ご注意ください。

▽ジェイ エフ イー ホールディングスの値動き

ジェイ エフ イー ホールディングス(5411)
(画像=SBI証券)

*期間:2021年9月7日~2022年3月4日13時時点(日足)
*当社チャートツールを用いてSBI証券が作成
*上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

▽当記事の内容について、著者が動画で詳しい解説を行っています。あわせてご視聴ください。

鈴木 英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長
・出身:東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味:ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技:どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物:サイゼリヤのごはん
・好きな場所:秋葉原(末広町)
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的な寄稿も多数