この記事は2022年2月25日にSBI証券で公開された「3月に権利確定の「好配当利回り銘柄」~20万円未満で買える銘柄のランキングも」を一部編集し、転載したものです。


SBI日本投資戦略220301
(写真=m.mphoto/stock.adobe.com)

2月第4週(21日~25日)の東京株式市場では、日経平均株価(週足)が一時、前週末比5%以上下げるなど、続落。

ウクライナ情勢については、ロシアが同国への軍事衝突に踏み切る中、西側諸国が経済制裁で対抗するなど、混迷の度合いを強めている。しかし、日米株式市場では、大きく下げてきたハイテク株などに押し目買いが入るなど、相場の底入れを先取りする動きが出始めている。

東京株式市場では2月25日(金)から受け渡しベースで「3月相場」に突入。多くの企業が決算期末を3月としているので、3月に配当の権利を確定する銘柄が多くある。ウクライナ情勢は何かと「不安の種」になりやすいが、株安の中での「配当取り」となれば、中長期的なパフォーマンス向上につながる面がありそう。

今回は3月決算銘柄を主な対象とし「好配当利回り」が狙える銘柄を抽出してみた。

目次

  1. 3月に権利確定の「好配当利回り銘柄」
    1. 20万円未満で買える銘柄のランキング
  2. 抽出銘柄のコメント
    1. ジェイ エフ イー ホールディングス
    2. 住友商事

3月に権利確定の「好配当利回り銘柄」

20万円未満で買える銘柄のランキング

株式投資の目的とは何か。一般的には、預貯金に並ぶ資産運用の手段のひとつだ。元金が減ってしまう可能性はあるが、うまく運用することができれば預貯金よりも資産を増やすことが可能だ。

応援する気持ちで中長期的に成長しそうな企業をみつけ、ある程度、長い期間保有することで、安定した運用を行うことができる。その際、単に値上がり益の獲得だけを狙うのではなく、定期的に配当を獲得しながら、トータルの収益を引き上げることが重要になる。

大切なのが配当利回りだ。株価に対し、1株当たりの配当が何%かを示す指標で、一般的にはその年度の予想1株配当をベースに考える。ここでは、3月決算銘柄を中心に予想配当利回りが高い銘柄を選んだ。

図表1は、主要銘柄の中から、予想配当利回りの高い順に10銘柄を抽出したものだ。条件は以下の通り。

  • 東証1部上場銘柄であること
  • 時価総額1千億円以上であること
  • 業績予想を公表しているアナリストが2人以上いる銘柄であること
  • 証券商品先物業の銘柄を除く

東証1部の主力銘柄について、予想配当利回り(Bloomberg集計の市場コンセンサス)の高い銘柄を10銘柄並べた形になっている。

海運や鉄鋼など、業種的に重複している銘柄もあれば、3月決算以外の銘柄もある。

好配当利回り銘柄(東証1部・時価総額1,000億円以上他)
(画像=SBI証券)

図表2の銘柄は、上記全条件に加え、以下の条件を加えて抽出した銘柄になっている。

  • 3月決算銘柄であること
  • 業種の重複は除くこと
  • 最低投資単位(100株)での投資金額が20万円未満であること
  • 予想PER(Bloombergベースの市場コンセンサス)が15倍以下の銘柄であること
  • 今期予想PBR(同)が1倍以下の銘柄であること

図表2の銘柄は、これらの条件をすべて満たし、予想配当利回り(Bloombergベースの市場コンセンサス)の高い順に10銘柄並べたもの。

予想配当利回りは、あくまでも年間にもらえる予定の1株配当を株価で割ったものだ。東証1部企業の7割弱は3月末が本決算。東証1部の平均予想配当利回りは2.25%(2月24日現在)なので、第10位の銘柄でも予想配当利回り4%台。平均をかなり上回っている。

しかし、株式投資である以上、業績や株価が変動し、最悪の場合は配当が予想から減ってしまう時もある。このランキングでは「 最低投資単位(100株)での投資金額が20万円未満であること」という条件があるため、仮に2022年2月24日(木)の終値ベースで計算すると、投資金額が120万円弱で、図表2の10銘柄すべてに分散投資をすることが可能となり、リスク分散が可能である。

なお、SBI証券では単元株未満での取引を可能とする「S株」のサービスを提供している。「S株」でも配当を受けとることはできる。株式投資初心者であれば、「S株」で保有し、配当を受け取りながら「株主ライフ」のスタートをきるのもオススメだ。

20万円未満で買える好配当利回り銘柄(東証1部、時価総額1,000億円以上、低PER・低PBR)
(画像=SBI証券)

抽出銘柄のコメント

図表2でご紹介した銘柄の一部について、業務内容や配当を中心に、コメントを掲載。

ジェイ エフ イー ホールディングス

予想配当利回りは8%台、インフレ・金利上昇にも強いバリュー銘柄

粗鋼生産量で国内第2位の高炉メーカー。鉄鉱石を原料に、鉄鋼製品を生産する「鉄鋼事業」が主事業だ。鉄鉱石や原料炭の価格などが上昇傾向で、大口需要家向け長期契約に関する「ヒモ付き価格」の引き上げや早期価格転嫁の交渉を進めたことで利幅が拡大し、業績は改善傾向。

経常利益は2022年3期・上半期で1,932億円(前年同期から3,139億円の増加)だったが、第3四半期(10~12月期)も1,106億円(同2.2倍)と改善傾向を維持している。

これを受け、会社側は2月8日(火)付で、上半期の1株60円に続き、下半期に同80円、通期で140円とする配当計画を発表。予想配当利回りは会社計画でも8%を超える見込みになっている。

時価総額を「親会社所有者に帰属する持分」で割ったPBRは約0.6倍(第3四半期末・実績)で、会社予想EPSに対するPERも約4倍にとどまっており、典型的なバリュー銘柄と見受けられる。このため、今後、金利が全般的に上昇し、バリュー銘柄優位の投資環境になった場合、相対的に有利な投資環境が長期化するかもしれない。

東証33業種の中で「鉄鋼」は、CRB商品先物指数との相関係数も0.393(2022年2月24日までの10年間・月足ベース)と、上位から5番目で、インフレ圧力にも強い銘柄と考えられる。

▽ジェイ エフ イー ホールディングス株式会社の値動き

ジェイ エフ イー ホールディングス(5411)
(画像=SBI証券)

期間:2021月8月31日~2022年2月25日13時時点(日足)
*:当社チャートツールを用いてSBI証券が作成
*:上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

住友商事

大手総合商社の中では予想配当利回りが高め

1919年に「住友総本店」を中心に、「大阪北港」として設立。その後、1952年に社名を現社名へ変更した。現在は、住友グループの総合商社になっている。

売上構成比(前期)は資源・化学品が24%、生活・不動産が24%、金属が20%、輸送機・建機が15%。歴史的には、北米鋼管事業に強みをもっている。

業績は好調。2月4日(金)に今期業績予想が上方修正された。予想純利益は従来予想から800億円上方修正され、4,600億円(前期比6,130億円増加)と最高益を更新する見込み。上方修正後の年間配当は1株110円を見込む。

大手総合商社5社(伊藤忠、丸紅、住友商事、三井物産、三菱商事)の予想配当利回り(会社予想)は平均(2022年2月25日時点)で4%を超えた程度。そうした中、当社の予想配当利回り(同)は、5%台と平均を大きく超え、総合商社の中ではもっとも高くなっている。

▽住友商事株式会社の値動き

住友商事(8053)
(画像=SBI証券)

期間:2021年8月31日~2022年2月18日14時時点(日足)
*:当社チャートツールを用いてSBI証券が作成
*:上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません

▽当記事の内容について、著者が動画で詳しい解説を行っています。あわせてご視聴ください。

鈴木 英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長
・出身:東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味:ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技:どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物:サイゼリヤのごはん
・好きな場所:秋葉原(末広町)
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的な寄稿も多数