各種手続き

これまでは相続開始前に、『中小企業における経営の敬称の円滑化に関する法律』に基づき、会社が計画的な事業承継を行っていることについて経済産業大臣の確認を受ける必要があったが、2013年4月以降の申請は税制改正により確認が不要となった。現在は、相続開始後に同法に基づき、会社や相続人など、被相続人が用件を満たしていることについて経済産業大臣の認定を受けることから始まる。

そして相続税の申告期限までに、この特例の適用を受ける旨を記載した相続税申告書および一定の書類を税務署に提出。同時に、納税が猶予される相続税額および利子税に見合う“担保の提供”を行わなければならない。担保の提供は、特例の適用を受ける非上場株式のすべてを担保として提供すれば、納税が猶予される相続税および利子税の額に見合う担保の提供があったものとみなされる。


納税が猶予される相続税

納税が猶予される相続税の範囲はあくまで対象となる株式の80%相当額。株式の残り20%部分とその他の財産については、相続税の申告期限までに相続税の納付をしなければならない。また、申告期限後5年以内に相続人が代表者でなくなった場合や、対象株式の一部を譲渡した場合、経営承継期間平均で従業員の雇用の8割を維持できなくなった場合には納税猶予が取り消され、相続税額の全額と利子税を合わせて納付する必要がある。

納税猶予の特例を引き続き適用する場合は、会社の経営に関する事項などを記載した継続届出書を提出する必要がある。相続税の申告期限後5年間は毎年提出し、5年経過後は3年ごとに所轄税務署に提出する。


相続税の納税猶予特例を賢く利用した納税資金準備

株式の継続保有や雇用の維持など一定の要件はあるものの、この制度は納税資金に不安があり、事業承継に影響を及ぼす可能性がある場合は有効な選択肢だ。また、相続が発生する前に、この制度を利用して対象株式を生前贈与する方法もある。

留意点は、後継者に時期を選んで株式を渡すことができることや将来当該株の価値が上昇した場合には相続税の節税効果があるというメリットもある反面、将来当該株の価値が下落した際に余計な相続税負担が発生するというデメリットもある。制度の利用には慎重な検討が必要だろう。

特に非上場株式は換金性が乏しく、優良な企業ほど相続税評価額が高くなり、多くの納税資金が必要となる。事業承継対策では早い段階からプランを立てることが重要だ。まずは、後継者を選定し、相続対象の財産をすべて把握すること。そうすれば相続税の課税対象額を推計でき、納税資金に不安があればこの制度の活用も検討できる。

さらに、納税猶予とならない相続税に対しては、生命保険や死亡退職金も併用することで賢く納税資金を準備したい。

(ZUU online)

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