2022年6月下旬、ドイツでG7サミットが開催される。ロシアによるウクライナ侵攻が世界を揺るがしている中、どのような問題が話し合われるのだろうか。また、G7サミットでの議論や結論が中国経済にどのような影響を与えるのか、想定してみよう。

目次

  1. G7サミットとは? いつ、どこで開催される?
  2. 2022年G7サミットのテーマは?
    1. 3月には緊急首脳会議を開催
    2. 6月のG7サミットでも対ロシア制裁措置を重視か
    3. 脱ロシア依存、エネルギー問題も
    4. 気候変動、パンデミック対策も
  3. G7サミットの中国への影響は?
  4. ロシアとの協調で存在感拡大も?

G7サミットとは? いつ、どこで開催される?

G7サミット(主要7カ国首脳会議)は、日本、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、カナダの7カ国とEU(欧州連合)の首脳が参加する国際会議だ。

例年、外交・安全保障や環境・エネルギー、貿易・経済などさまざまなテーマが話し合われる。会合では首脳間の合意を取りまとめた「首脳宣言」が出されるケースが多く、それが国際社会や経済に影響を及ぼす。

2022年のG7サミットは6月26日から28日まで、議長国であるドイツのエルマウで開かれる予定だ。

2022年G7サミットのテーマは?

今年のG7サミットでは、どのようなテーマが重点的に話し合われるのだろうか。注目されるのは、2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻の対応だ。エネルギー安全保障の問題や気候変動、長引く新型コロナウイルス感染症対策も重要な議題となるだろう。

3月には緊急首脳会議を開催

3月に、ロシアの軍事侵攻についてのG7緊急首脳会議がベルギーのブリュッセルで開かれた。日本からは岸田文雄首相が出席している。

緊急首脳会合では、ロシアに対するウクライナ侵攻の支援を行わないよう、首脳宣言で世界に対して警告した。対ロシア制裁に加わっていない中国の行動を念頭に置いているようだが、G7各国は中国との経済的なつながりが強い。そのため、首脳宣言では名指しを避けたと考えられる。

6月のG7サミットでも対ロシア制裁措置を重視か

外交・安全保障問題は、G7サミットにとって不可欠なテーマだ。緊急首脳会議後もロシアの軍事侵攻は続いており、6月のG7サミットでも経済制裁などの対応が議論されるだろう。

議長国のドイツは、今回のG7サミットにインド、インドネシア、南アフリカ共和国、セネガルの各国首脳を招待する。インドは軍事面でロシアと密接な関係にあるだけでなく、原油などエネルギー面での依存度も大きい。ドイツはインドとの経済連携を強め、対ロシアの経済制裁を確実なものにしようとしているようだ。

脱ロシア依存、エネルギー問題も

ウクライナ侵攻を受け、エネルギーも逼迫している。ロシアは原油の輸出を基幹収入としており、欧州やアジアでも多くの国がロシア産原油に依存してきた。しかし、ロシアから資源を購入するとロシアの軍事費を潤わせることになる。G7は5月9日(日本時間)、ロシア産原油の禁輸または輸入の段階的廃止に取り組むとの声明を発表した。

ロシアは4月、同国の通貨ルーブルによる取引決済に応じなかったポーランドとブルガリアに対して天然ガスの供給を停止しており、今後も敵対的な国に対して一方的に供給を止める可能性がある。EUのガスは40%がロシアから供給されているため、今後の動向によっては欧州の経済や生活が大打撃を受けかねない。

G7にとっては直接的な供給問題に加えて、ロシアから資源を購入する国を減らし有効な経済措置を行うために、エネルギーの「脱ロシア依存」は喫緊の課題だ。

気候変動、パンデミック対策も

例年、気候変動問題もG7サミットの議題となっている。G7各国は、2050年までに温室効果ガス排出ゼロを目標とする「ゼロ・エミッション」を掲げている。一方で、前述のようにロシアによってエネルギーの安全保障が脅かされている中、ガスの代替エネルギーとして石炭・石油の需要が高まる懸念もある。

終息が見えない新型コロナウイルス感染症の対策に関して、ワクチンの安定供給や今後のパンデミックの予防も重要なテーマだ。

G7サミットの中国への影響は?

これらのテーマが、中国や中国経済にどのようなインパクトを与えるのだろうか。

中国が対ロシア制裁に加わっていない点については、2022年3月の緊急首脳会議に引き続き、何らかの明示的または暗示的な批判は免れないだろう。

一方、経済制裁などによって非友好国への輸出が減るロシアが、今後中国との貿易を増加させることも考えられる。特に、行き場を失いつつあるロシア産の原油や天然ガスなどのエネルギー資源を、中国が安く買い受けることになるかどうかに注目したい。

ちなみに2021年のG7サミットでは、特に経済分野での中国の台頭を強く意識した共同宣言を発表した。日米欧によるサプライチェーンの強化や、研究データの流出を防ぐ重要技術保護策などだ。

また、中国が進めている巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗して、途上国のインフラ整備を支援する構想の合意に至った。今年のG7でも、2021年のG7を継承する動きが見られるかもしれない。

ロシアとの協調で存在感拡大も?

このように世界的な重大イベントが中国に与える影響を予測すると、中国株への投資のタイミングを計りやすくなる。

G7がその存在を重要視するほど中国市場は巨大であり、アジア・世界全体に対して絶大な影響力を持っている。中国に対立的だった2021年の共同宣言後も、G7各国と中国の経済的なつながりは依然として強い。

ロシア軍のウクライナ侵攻による安全保障やエネルギー問題の対応に追われ、ロシアの「孤立化」を図るG7に対抗し、中国はロシアとの協調を強め、経済のさらなる拡大を図る可能性もある。いずれにしても、6月開催のG7に注目したい。

ご投資にあたっての留意点
取引や商品ごとに手数料等およびリスクが異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、等をよくお読みください。
外国証券等について
外国証券等は、日本国内の取引所に上場されている銘柄や日本国内で募集または売出しがあった銘柄等の場合を除き、日本国の金融商品取引法に基づく企業内容等の開示が行われておりません。
手数料等およびリスクについて
国内株式等の手数料等およびリスクについて
国内株式等の売買取引には、約定代金に対して最大1.2650%(税込み)の手数料をいただきます。約定代金の1.2650%(税込み)に相当する額が3,300円(税込み)に満たない場合は3,300円(税込み)、売却約定代金が3,300円未満の場合は別途、当社が定めた方法により算出した金額をお支払いいただきます。国内株式等を募集、売出し等により取得いただく場合には、購入対価のみをお支払いいただきます。国内株式等は、株価の変動により、元本の損失が生じるおそれがあります。
外国株式等の手数料等およびリスクについて
委託取引については、売買金額(現地における約定代金に現地委託手数料と税金等を買いの場合には加え、売りの場合には差し引いた額)に対して最大1.1000%(税込み)の国内取次ぎ手数料をいただきます。外国の金融商品市場等における現地手数料や税金等は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて決定されますので、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。
国内店頭取引については、お客さまに提示する売り・買い店頭取引価格は、直近の外国金融商品市場等における取引価格等を基準に合理的かつ適正な方法で基準価格を算出し、基準価格と売り・買い店頭取引価格との差がそれぞれ原則として2.50%となるように設定したものです。 外国株式等は、株価の変動および為替相場の変動等により、元本の損失が生じるおそれがあります。
投資信託の手数料等およびリスクについて
投資信託のお取引にあたっては、申込(一部の投資信託は換金)手数料をいただきます。投資信託の保有期間中に間接的に信託報酬をご負担いただきます。また、換金時に信託財産留保金を直接ご負担いただく場合があります。投資信託は、個別の投資信託ごとに、ご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なるため、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。
投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とするため、当該金融商品市場における取引価格の変動や為替の変動等により基準価額が変動し、元本の損失が生じるおそれがあります。

この資料は、東洋証券株式会社が信頼できると思われる各種のデータに基づき投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成したもので、投資勧誘を目的としたものではありません。また、この資料に記載された情報の正確性および完全性を保証するものでもありません。また、将来の運用成果等を保証するものでもありません。この資料に記載された意見や予測は、資料作成時点のものであり、予告なしに変更することがありますのでご注意ください。この資料に基づき投資を行った結果、お客さまに何らかの損害が発生した場合でも、東洋証券株式会社は、理由の如何を問わず、一切責任を負いません。株価の変動や、発行会社の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込むことがありますので、投資に関する最終決定は、お客さまご自身の判断でなされるようお願い致します。この資料の著作権は東洋証券株式会社に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願い致します。

◇商 号 等:東洋証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第121号 ◇加 入 協 会:日本証券業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会 ◇本 社 所 在 地:〒104-8678 東京都中央区八丁堀4-7-1 TEL 03(5117)1040 https://www.toyo-sec.co.jp/