私たちは学校教育を通じて基本的な知識を身に着けていく。学力だけでなく人間関係もしかりである。

「人的資本」という言葉はよく知られているが、もう一歩進めて「知識は人的資本」という考え方に着目してみたい。経済的に成功者といえる富裕層は、子供の教育にどのように臨んでいるのだろうか。

「知識は人的資本」とはどういう意味か

「知識は人的資本」の意味とは?富裕層が子供の教育で重視していること
(画像=Volodymyr/stock.adobe.com)

人的資本(Human Capital)とは、人を資本として捉える人事関係者にはよく知られている言葉である。似た言葉に人的資源(Human Resource)があるが、こちらは人材を資源として消費するという考え方になり、企業が人件費をコストと認識する理由にもなる。一方の人的資本は、人材は利益を生み出すための資本と考えることでより前向きな言葉といえるだろう。

「知識は人的資本」という言葉は、私たちが学校教育等で蓄えた知識が将来の人的資本につながるという意味に捉えることができる。教育費として入学金や授業料などすべてを合計すれば、かなり多くの費用を支払うことになる。しかし、支払った教育費の対価として学力のみならず、人間関係を通じて社会に適応するための知識も蓄えることができるのだ。

専門的な知識やスキルが収入を増やす

人的資本として蓄えた知識は具体的な収入アップにもつながる。資格を持つことやスキルを向上させることで就職にも有利になり、仕事に就いたあとも活躍の場が広がるだろう。業績の向上に寄与することで社内での地位も高くなり、給与面でも優遇されることになる。まさに知識という人的資本が利益を生み出すのである。

富裕層が子供の教育で重視するポイント

では、経済的に成功を収めた富裕層といわれる人たちは、子供の教育でどのようなポイントを重視しているのだろうか。自身が成功を収めた富裕層は、子供にも自身のようなスキルを身に着け、社会で活躍してほしいと願うことだろう。主に次のような能力を重視していると思われる。学校の教育に親が関与するのは難しいので、家庭でできる教育について考えてみよう。

決断力を養う(自分で決めさせる)

会社経営者の子供であれば、親が引退するときにそのまま経営権を引き継ぐ場合もあるだろう。経営者であれば、事業内容の決定においてときに決断しなければならないことがある。幼少期から自分で決めることを習慣づけていくことで、決断力を養うことができる。レストランで何を食べたいか、どんな習い事をしたいかなど、生活のいろいろな場面において自分で決めさせることで自主性も育まれる。

思考力を伸ばす(自分で考えさせる)

思考力を伸ばすには自分で考える場面を提供してあげることが大事だ。進学する学校を決めるときも親がいくつかの選択肢を与えて、どの学校に行きたいか、どのような理由で行きたいのかなどを考えさせる。親が一方的に決めてしまうと、子供は考えることをせず、先に紹介した決断力を養う機会もなくすことになる。また、自分で進学先を決めることでどのような受験勉強をすれば合格できるのかを、子供が自分で考えて取り組むことができる。

企画力を磨く(計画を立てさせる)

将来企業や団体で高い地位に就くには、企画をプレゼンテーションする能力を磨く必要がある。これは社会に出る前に経験する、学校の発表会の場にも同じことがいえる。どのようにすれば聞いている人たちに自分の思いを伝えることができるかが問われる場面だ。企画力を磨く方法として、たとえば家族旅行の企画を子供に立てさせる。家族全員が楽しめる場所か、予算の範囲で収まるかなどをプレゼンテーションさせることでよい訓練になるだろう。

リーダーシップを養う(何かのリーダーを任せる)

人間誰しもリーダーを任せられれば、一生懸命に働くのが普通である。子供でも同様なので、リーダーシップを養うために、何かのリーダーを任せてみるのも有効だ。家庭のクリスマス会の準備や司会を任せたり、町内の子供会で行うイベントがあればチームリーダーに立候補させてみたりするのもよいだろう。子供にとってリーダーを体験する良い機会になるはずである。

精神力を強くする(一人旅など)

社会的に高い地位で活躍するには精神力の強さも求められる。ときには親がいなくても自分一人で行動することにチャレンジさせてみるのも有意義な訓練になる。たとえば一人旅をさせるのは親として心配もあるだろう。しかし、目的地にたどり着くための計画や道中で起こる予想外なトラブルへの対処などを自分一人で行うことが自信につながるだろう。

ポリシーのしっかりした教育が富裕層を育てる

富裕層には教育に対するポリシーがしっかりしている人が多い。お金の活かし方をよく知っているので、教育にかけるお金に見合ったリターンを享受するべく、子供の個性を尊重しながら、将来社会に出て活躍できるだけの「人的資本」を蓄えさせているのだ。

もちろん、ここに挙げた教育方針は富裕層に限ったことではない。普通の家庭でもポリシーのしっかりした教育を与えることにより子供が将来社会で活躍し、新しい富裕層の仲間入りを果たすことは十分可能といえる。「知識は人的資本」を子供の教育で実践し、富裕層に育てることにつながれば理想的である。

(提供:manabu不動産投資

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