筆者が暮らす米国では、例年5月最終月曜日のメモリアル・デーから9月第1月曜日のレイバー・デーにかけて「ドライブシーズン」となる。夏の始まりに合わせるかのように、この時期になると人々は行楽地へと大移動する。一方、3連休の初日である5月28日にはニューヨークのパブリックビーチで海開きが行われた。最高気温が30℃に達したこともあって多くの人でにぎわっていた。

米国経済,見通し
comicstocks /pixta、ZUU online

とはいえ、気になる現象も見られる。筆者は5月28日にコニー・アイランドのビーチで過ごし、翌29日は友人たちと自然のアクティビティを楽しむべくアップステート(ニューヨーク州の北部・中部・西部の総称)に愛車を走らせたのだが、道路が思ったほど混んでいない。ニューヨーク市に戻る30日も同様である。大渋滞を覚悟していたのだが、ここ最近の新型コロナウイルス感染者数の増加やガソリン価格の高騰が影響しているのかもしれない。あくまで筆者の体感ではあるが、景気がよいのかそうでもないのかいまいち判然としない感じだ。

しかしながら、最近の経済活動を示す統計には景気後退への警戒を示唆するものも散見される。後段で述べる通り、米住宅市場が変調をきたしているほか、自動車ローンやクレジットカードの返済遅延率が上昇、さらにニューヨーク連銀の調査では6カ月後の景気後退確率が20.0%に上昇している。FRB(米連邦準備制度理事会)としては、景気が後退しない程度まで減速させながら、インフレ率も低下させる「ソフトランディング(軟着陸)」を目指したいところであろうが、いよいよ正念場を迎えつつあるようにも見受けられる。

今回はソフトランディングの可能性について考察したい。