暗号資産と聞くと、「なんだか怪しげで不安」とか「所有するリスクが高そう」とか、警戒する人は少なくないかもしれません。しかし、暗号資産は、めざましい発展をしている注目の分野です。近い将来、誰にとっても身近な存在になるかもしれません。この記事では、暗号資産に関する注目のテーマを5つ集めました。ぜひ、知識を深めてください。
目次
1. 「NFTマーケットプレイス」は次世代デジタル産業への架け橋となるか?
ブロックチェーン技術を活用して、唯一無二の価値を持つデジタル資産・コンテンツの所有権を証明する「NFT(Non-Fungible Token)」。その活用が広がる中、NFTに特化したマーケットプレイスが注目を浴びています。
NFTマーケットプレイスの事例や将来性、投資動向について考察します。
NFTマーケットプレイスとは?
NFTは固有のデジタル資産の所有権証明書や鑑定書として、アートや音楽、コレクターズアイテム、不動産など、さまざまな領域で活用されています。
NFTの普及を後押ししているのは、NFTに特化したマーケットプレイスの存在です。現在、すでに多くのNFTマーケットプレイスがあります。基本的にマーケットプレイスは、以下の3つを行うために設計されたプラットフォームといえます。
1)NFTの製作・発行
2)製作したNFTの販売
3)NFTの売買
NFTマーケットプレイスを介して製作・発行・販売・売買されたNFTのデータは、すべてブロックチェーン上に記録されるため、既存の証明書のように改ざんや複製、紛失の心配がありません。
現在はイーサリアムのブロックチェーン上で発行されるNFTが主流ですが、仮想通貨取引所バイナンス(Binance)が開発した「バイナンス・スマート・チェーン」や、低コストでスピーディーな取引を可能にする「ポリゴン(Polygon)」 などを利用したNFTも増えています。
2. ブロックチェーンが多様化 「マルチチェーン」の時代に突入?
企業や団体といった中央管理者がいない分散型アプリケーションプラットフォームの「イーサリアム」が抱えるいわゆるスケーラビリティ問題やガス代(取引手数料)の高騰を受け、「マルチチェーン」と呼ばれる新たなシステムの採用が活発化しています。
「ブロックチェーン産業の未来を創る新たなトレンド」として注目されているマルチチェーンの仕組みやメリット、将来の展望などについて見ていきましょう。
ボーダーレス・ブロックチェーンを実現する「マルチチェーン化」
DApps(分散型アプリケーション)やスマートコントラクトのアプリケーションの構築を可能にするオープンプロジェクトとして、広範囲な領域で活用が進んでいるイーサリアム。しかし、ガス代の高騰やスケーラビリティ問題(取引時の処理延滞)など、数々の課題が指摘されています。スケーラビリティ問題の解決策として、イーサリアムの次世代ブロックチェーン「イーサリアム 2.0」への移行が進んでいますが、開発は大幅に遅れている状況です。
現在、対応策として採用が進んでいる「マルチチェーン」は、複数のブロックチェーン上でアプリケーションを展開するシステムです。具体的には、複数のDApps間でのデータのやり取りに互換性を持たせることができます。
例えば、これまでDApps「A」で発行される仮想通貨をDApps「B」で使用するためには、仮想通貨取引所を介してAの仮想通貨をBの仮想通貨に交換する必要がありました。しかしマルチチェーンでは、Aの通貨をそのままBで使用できます。これまでイーサリアムのブロックチェーン上だけで展開されていたアプリケーションを、バイナンスのブロックチェーンでも展開するといったことも可能になります。
その実現をサポートしているのが、EVM(Ethereum Virtual Machine/イーサリアム仮想マシーン)との互換性です。EVMはスマートコントラクトの実行に必要なプログラム言語を、コンピューターが理解できるように「翻訳」する役割を果たします。
スマートコントラクト用のプログラミング言語には、イーサリアムで使用されている「ソリディティ(Solidity)」のほか、「バイパー(Vyper)」など複数の種類があります。EVMに互換性を持たせることで、異なるDApps間でのアプリケーションの移植や開発が容易になります。
3. 急成長する新たな暗号資産「ステーブルコイン」とは? 特徴やメリット・デメリットを解説
世界的なインフレ懸念の影響は、投資市場にも広がっています。一部の専門家は米国株や米景気の過熱に対し、「市場の楽観は短期的なもの」と警鐘を鳴らしています。コロナ禍のインフレ局面で、投資家はどのような点に注意すべきなのでしょうか。
ステーブルコインとは?従来の仮想通貨との違い
ブロックチェーン技術を基盤とする仮想通貨は、国境や通貨に縛られないボーダーレスで透明性の高い取引を実現できるのが特徴です。しかし、既存の金融資産と比べるとボラティリティが圧倒的に高く価値が安定しないため、決済手段には不向きとされています。
一方でステーブルコインは、従来の仮想通貨の利点はそのままに、担保資産と裏付けることで取引価格が安定するように設計されています。低コストでスピーディーな取引が可能であるため、法定通貨の代替や決済手段、貯蓄など、多様かつ実用的な用途にも適していると期待されています。
4. 唯一無二の価値を生む「NFTトークン」とは?将来性を予測
ブロックチェーン技術の活用が広がる中、市場に新たな価値を生み出す資産として「NFT(Non-Fungible Token/代替不可能トークン)」が注目されています。NFTの特徴や仮想通貨との違い、具体的な活用法、そして将来性について見てみましょう。
唯一無二の「一点物」の価値を生み出せるトークン
NFTは唯一無二の価値を証明するトークンで、他の資産と交換可能なビットコインなどの暗号資産(Fungible Token/代替可能なトークン)とは異なる特性があります。ブロックチェーン上で発行・取引されるデジタル資産である点は他の暗号資産と同じですが、NFTは「代替不可能=他の資産や現金と一切交換出来ない」ため、唯一無二の価値を生み出すことが可能です。
コロナ禍でデジタル化が急速に進む中、NFTの特性を活かし、既存の所有権や著作権のエコシステムを改善する動きが加速しています。
既存の紙の書類やデジタルデータのデメリットとして、比較的簡単に改ざんや偽造ができることや、紛失や抹消のおそれがあることが挙げられます。
しかし、改ざんが困難で取引の透明性が高いというブロックチェーン技術を活用すれば、このような問題の防止につながります。資産の所有者が自分の資産をNFT化することで、「偽造が不可能なデジタル証明書」が発行されるため、所有権や著作権を保護できます。
NFTを他の資産や現金と交換することはできませんが、購入したNFTは売却可能です。その場合は所有権が購入者に移転し、すべての情報がブロックチェーン上に記録されます。これにより、取引の透明性が飛躍的に向上することが期待されています。
5. ブロックチェーンが創る次世代仮想空間「メタバース」の未来
自分自身のアバターを介して、世界中の人々とリアルタイムでコミュニケーションを楽しめる3DCG仮想空間「メタバース」。Meta(Facebook)を含む大手企業が市場に参入するなど、にわかに注目を浴びています。
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といったテクノロジーの進化により、仮想空間が現実味を帯び始めた今、ゲームからビジネス、教育、日常生活まで多様なシーンで活用するための動きが加速しています。
世界が注目する「メタバース」とは?
「メタバース(Metaverse)」は古代ギリシャ語の「メタ(超過した・高次の)」と英語の「ユニバース(宇宙・全人類)」 を組み合わせた造語で、もともとはSF小説に登場する仮想空間の名称として使われていました。
インターネット上に構築された仮想空間であり、国境を越えたコミュニケーションを楽しめるというコンセプトはMMORPG(規模多人数同時参加型オンラインRPG)と共通しますが、メタバースにはあらかじめ決められたシナリオやキャラクターなどが存在せず、ユーザーは3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)で構築された世界の中で自由に行動できます。
「あつまれ、どうぶつの森(任天堂)」「Second Life(リンデンラボ)」「Fortnite(エピックゲームス)」など、メタバースの構想を用いたゲームはすでに多数リリースされています。
2021年10月下旬にはFacebookが社名をMeta(メタ)に変更し、メタバース事業に本腰を入れる意向を発表しました。同社が目指すメタバースは、ユーザーがメタバース内で実際に働き、学び、現実の世界と融合できるというもので、「仮想空間に存在するもうひとつの現実になる」と期待されています。
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いかがだったでしょうか。暗号資産はこれからの分野。正しい知識を持って関わっていけば、成長していく様子を身近に見ることができるとても魅力的な世界かもしれません。これからも、Wealth Roadでは随時、暗号資産関連の記事を配信予定です。読み逃すことのないように、楽しみにお待ちください。
※上記は参考情報であり、特定企業の株式や暗号資産などの売買及び投資を推奨するものではありません。
(提供:Wealth Road)