「琴子、お誕生日おめでとう!」
先日、誕生日プレゼントにデジタルアートをいただいた。友人が心を込めて制作した唯一無二の作品、いわゆる「NFT(非代替性トークン)アート」だ。彼女は考古学者で、昔から「仕事(考古学)以外に興味がないことが悩み」が口ぐせだった。そんな彼女が「NFTアート」を制作するとは驚きである。本人曰く、新型コロナ禍のロックダウン中に新しいことに挑戦したくなって、密かに修行していたのだという。
その作品、原色と二次色を組み合わせたデジタル抽象画で、正直何を表現しているのかさっぱり分からない。しかし、ぼんやり眺めていると女性の横顔や田園、フワフワの猫など色々なモノがデジタルキャンバスに浮かんでくるような錯覚に陥る。なんとも不思議な味わいだ。「ねえ! これって凄い作品なのかもしれない!」と大興奮で友人に伝えると、「何も考えずに色を重ねただけだよ。でも、アート好きの琴子にそういってもらえると嬉しい」と少し照れたように微笑んでいた。新型コロナ禍で何となく始めた「NFTアート」であるが、いまでは休日の多くの時間を創作活動にあてるなど、彼女にとって仕事(考古学)と並ぶほど大切なものとなっているようだ。
さて、このように考古学一筋だった彼女から隠れた才能とやり甲斐を引き出したNFTアートであるが、日本でもVRアーティストのせきぐちあいみさんの作品に1,300万円もの価値が付けられたり、小学3年生が描いたイラストが170万円で売れるなど話題を呼んでいる。さらに注目されるのは融資セクターにおいても存在感を増していることだ。たとえば、「NFT 担保型融資プラットフォーム」を運営するアーケード(Arcade)によると、NFT担保型融資の市場規模はすでに4億ドル(約539億6,883万円)に達したという。
今回は「NFT担保型融資(NFT-Backed Loan)」の話題をお届けしよう。