いまや欲しい商品があれば、ネット通販で検索し、カスタマーレビュー等の評価を参考にする消費行動が、広く浸透しているようにも見受けられる。わざわざ店舗に行かなくても、スマートフォン1台あればその場で欲しい商品を発注することができる。たとえば、同じ商品であっても通販サイトによって価格が大きく違っていることも珍しくはない。消費者は能動的に色々と情報を調べ、「欲しいもの」を「最も安い価格」で購入することができる。当然のことながら、消費者は「自分が何を求めているのか」理解したうえで買い物をしているはずだ。

投資信託,おすすめ
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一方、投資信託については、まだまだアナログ的な購入方法が圧倒的に多い。金融庁が公表した「投資信託等の販売会社に関する定量データ分析結果」(令和3年6月30日付)をみると、2020年度の投資信託保有顧客数はネット証券利用が278万人と2016年度の84万人から3.3倍に増加した。一方、「大手証券会社」「主要行等」そして「地域銀行」を合わせた数字は721万人から693万人へと3.9%減少したものの、それでもネット証券利用の約2.5倍の規模にある。確かにネット証券経由で能動的に商品を選んでいる層も増えているのかもしれないが、まだまだ主流と呼べる状況ではない。

実際筆者が主宰する「Fund Garage」には個人投資家の方から「何か良い投資信託はないですか?」というお問い合わせが少なからず寄せられている。そもそも筆者が「Fund Garage」を主宰する最大の目的は、1人でも多くの読者が賢明な投資家として成功することである。そのためには「投資家自らが投資判断できるようになっていただくこと」が大切と考えている。しかし、それでも前述のように「何か良い投資信託はないですか?」というお問い合わせが寄せられているのが実情である。筆者としても課題は山積していると言わざるを得ない。