この記事は2022年6月30日に「月刊暗号資産」で公開された「ビットコイン、上値重く2万ドル割れ マイクロストラテジーは買い増し発表」を一部編集し、転載したものです。
ビットコイン(BTC)が一時前日比2%の下落を見せ、2万ドル(約272万円)を割り込んだ。その後はサポートが機能し、再び2万ドル台に戻している。
具体的な改善の見通しが立たないインフレ状況に伴う金融引き締めへの懸念や、暗号資産(仮想通貨)業界における悪材料が売りを加速させた。
またこうした状況を受け、すでに保有する暗号資産の売却に乗り出す動きもある。
カナダの暗号資産投資企業サイファーパンク・ホールディングス(Cypherpunk Holdings)が、現在の暗号資産市場におけるリスクを乗り切るため、保有していたビットコインおよびイーサリアム(ETH)全てを売却した。28日の発表によると、214.7203BTC(約470万ドル:約6億4,000万円)と205.8209ETH(約22万7,000ドル:約3,000万円)売却し、合計約490万ドルを現金化したという。
さらに、シンガポールの暗号資産ヘッジファンド・スリー・アローズ・キャピタル(Tree Arrow Capital)に対し、英国領バージン諸島の裁判所から清算命令が出たとの報道もあり、暗号資産市場にも何らかの影響が波及するとの懸念が広がった。
現在の暗号資産市場は浮上に向けた材料が乏しいこともあり、全体的に売り圧力が強い状況が続いている。アナリストの中には「底値を付ける前に、最終的な暴落という下げが高い確率で起こり得る」と指摘する声もある。ビットコインは1万2,500ドル(約170万円)まで下落余地もあるが「暴落は買い手にとってロングを積み増す絶好のタイミングになるだろう」と見解を示している。
一方、米企業で最もビットコインを保有するマイクロストラテジー(MicroStrategy)はビットコインを追加購入したことを30日に発表。米証券取引委員会(SEC)に提出した資料の中で、480BTCを平均20,817ドル(約283万円)で追加取得したことを明らかにした。購入総額は1,000万ドル(約13億6,000万円)だという。
今回の購入でマイクロストラテジーはビットコインを12万9,699BTC保有することになった。保有額総額は約39億8,000万ドル(約5,420億円)となる。
同社CEOのマイケル・セイラー(Michael Saylor)氏は、ビットコインの長期的見通しについて強気な姿勢を崩していない。6月のインタビューの際には「逆境の中でホールドする」と発言し、保有するビットコインを売却するつもりはないと語っていた。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は29日、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、英銀行のベイリー総裁とパネルディスカッションを行い、米経済は現在「力強い状態」にあり「金融引き締めに十分耐えられる状態だ」と指摘し、インフレを低下させることへのコミットメントを改めて表明した。そのプロセス上で一定の「痛み」を伴うことを付け加えたことから、米国市場では金融引き締めが加速するとの思惑が広がった。
日本時間30日夜には米PCE価格指数(Personal Consumption Expenditure=個人消費支出物価指数)の発表があり、結果次第ではビットコインをはじめとした暗号資産市場全体に何らかの影響が出る可能性がある。(提供:月刊暗号資産)