この記事は2022年7月4日に「月刊暗号資産」で公開された「債務超過に陥ったヘッジファンド・Three Arrows Capitalが破産申請」を一部編集し、転載したものです。
債務超過や救済等で話題となっていたThree Arrows Capital(3AC)が、米国ニューヨーク南部で破産申請を行ったことがわかった。1日、Bloombergなど複数メディアが報じた。米連邦破産法15条(Chapter15)の適用を申請した格好だ。
米連邦破産法15条は、国際倒産の手続きを行う際に用いられるもので、外国企業が米国にある資産を債権者から守ることを可能とする。通常は海外の手続きに関連して行われるものとなっており、先週、英領バージン諸島の裁判所がThree Arrows Capitalに対して清算命令を行っていることから、この動きと関連したものと考えられる。
なお、この清算に関しては米Teneo Restructuring社が監督をすることになったようだ。Three Arrows Capitalについては事実上の債務超過と言われていたが、結果としてマーケットが予想した通りの結果となった。
同社はBlockFi、Celsius、Babel Finance、Voyager Digital等複数の暗号資産(仮想通貨)関連の企業から多額の借入を行っていたものの、今年5月のテラショックで多額の損失が発生。高レバレッジでの取引を行い損失の穴埋めを図るも状況は改善されず、返済することができなくなっていた。
Three Arrows Capitalが今回引き起こした騒動では、同社へ貸出を行っていた企業にも大きな影響を与えている。
暗号資産取引プラットフォーム・Voyager DigitalはThree Arrows Capitalに対して信用枠として約900億円相当のエクスポージャーを抱えていたものの、返済の目処がたたず、先月27日には債務不履行を通達している。
また、Celsiusについては直接Three Arrows Capitalについて言及していないものの、「極端な市場環境」を理由に顧客資金の引き出しを停止したほか、BlockFiにおいても状況が芳しくないことから、従業員削減および暗号資産取引所FTXによる買収手続きが進められていると報道されている。
暗号資産市場の冷え込みが加速する中、連鎖的に暗号資産関連企業の財務体質悪化についても進行しつつある。Three Arrows Capitalの破綻による影響がさらに多方面へと波及する可能性もあるため、その動向は注目を集めるものと考えられる。(提供:月刊暗号資産)