資産運用の方法は、実にさまざまだ。株式や投資信託を保有するだけではなく実物資産へ投資する手法もある。株式や投資信託に比べて実物資産への投資は、メジャーではないがリスクヘッジに使えるといったメリットもあるため、基礎知識は持ち合わせておきたい。
「実物資産」と「金融商品」の違いは?
一般的に株式や投資信託などのことを「金融資産」、金(ゴールド)や不動産のことを「実物資産」と呼ぶ。実物資産は、物質として実体があるものでお金に換算・換金できるもののことを指す。一方で金融資産は、実物資産以外でお金に換算・換金できるもののことだ。金融資産と実物資産の具体例を挙げると以下の通りとなる。
金融資産 | 現金、株式、投資信託、ETF(上場投資信託)、債券(国債や社債)、生命保険(掛け捨てタイプは含まず)、年金、商品券、小切手など |
実物資産 | 金(ゴールド)、プラチナ、不動産(土地・建物)、美術品(絵画や骨とう品など)、時計、アンティークカーなど |
代表的な実物資産は「貴金属類」や「不動産」
代表的な実物資産についてさらに詳しく説明していこう。
貴金属類:金やプラチナなど
実物資産の代表的なものの一つが「貴金属類」だ。「金」(ゴールド)や「プラチナ」などが含まれる。冒頭で実物資産は、リスクヘッジ(※リスクをできるだけ減らすための対策のこと)になると記載したが、金はリスクヘッジに使える代表的な実物資産だ。
「有事の金」という言葉を聞いたことがある人もいるのではないだろうか。戦争や経済の混乱などが起きたときに金が買われる(=つまり金の価格が上がる)という相場格言だ。一般的に戦争や経済の混乱が起きると株価が下がることが多いため、株式のほかに金を保有しているとリスクヘッジの効果が期待できる。
不動産:土地や建物、インフレヘッジに
「不動産」も代表的な実物資産の一つである。不動産投資にもさまざまな手法があるが土地・建物を運用もしくは売買するのが一般的な方法だ。土地や建物を貸して賃料・家賃を得たり購入価格より高値で売って売却益を得たりするといった具合だ。不動産は「インフレヘッジ」の効果が期待できる。インフレヘッジとは、物価上昇によって通貨の価値が下落するリスクを抑えるための対策といった意味を持つ。
インフレが起きると物価が上がるため、お金の価値が下がる。例えば今まで1万円で購入できたものがインフレで1万2,000円を出さないと購入できなくなるのだ。これは、1万円が有する購買力(価値)が落ちるという見方ができる。一方、不動産はインフレとともに評価額が上がりやすい実物資産だ。インフレ時は、現金よりも不動産として資産を保有していたほうが資産価値の目減りを防ぎやすい。
不動産への投資方法はさまざま
不動産投資では、実物資産としての土地や建物に投資する方法が一般的だ。しかし「不動産投資」と一口にいっても実物資産に投資しないパターンもある。以下で実際に例を出しながら説明しよう。
土地や建物への投資
土地や建物への投資は、前述の通り実物資産への投資だ。またこの投資形態から得られる収入は「賃料」や「売却益」となる。
不動産小口化商品への投資
土地や建物を1人で所有するのではなく複数の人で共有する形態の不動産投資が「不動産小口化商品」だ。不動産小口化商品への投資は、実物資産への投資といえる。なぜなら単独で不動産を所有するわけではないが、不動産の共同オーナーの1人になるからだ。不動産小口化商品に投資した場合、「賃料」や「売却益」の一部が収入として入る。前述の「土地や建物への投資」と同様だ。
REIT(不動産投資信託)への投資
REIT(リート)は、不動産小口化商品と混同されやすいが似て非なるものだ。REITは、投資家から調達した資金で投資法人が不動産を運用し賃料や売却益などの運用益を投資家に分配する投資信託のことを指す。「不動産投資信託」と呼ばれる。投資信託は、前述の通り金融資産でありREITへの投資は実物資産の投資とはいえない。
REITは、株式と同様に価格が変動し購入価格より売却価格が上回ると利益を出せるほかREITからの「分配金」も投資家の収益となる。
クラウドファンディング型
近年は、クラウドファンディング型の不動産投資も広がりつつある。REITと同様に投資家からお金を集めて運用益の一部を投資家に分配する仕組みであり、投資家自体は不動産の所有権を持たない。そのため不動産投資であっても実物資産への投資とはいえない。REITとクラウドファンディングの主な違いは、以下の通りだ。
- REIT:投資対象が単一であったり複合的であったり様々で投資家の好きなタイミングで換金できる
- クラウドファンディング:投資対象が単一で予め定められたタイミングでの換金しかできない
賢く堅実に資産を増やせるよう努めよう
株式や投資信託を保有していても貴金属や不動産といった実物資産へ投資している人は少ないかもしれない。しかし金(ゴールド)や不動産は、リスクヘッジやインフレヘッジの効果が期待できる。そのため実物資産への投資を検討することは、決して無駄にはならないはずだ。資産運用に関して広い視野を持ち賢く堅実に資産を増やせるよう努めよう。
(提供:manabu不動産投資 )
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